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MarkeZine Day 2025 Spring

5つの不文律を見直し、話題化や売れ行き好調を実現!「シャウエッセン 夜味」開発&プロモーションの裏側


新たな「夜味」で打ち破った“5つの不文律”とは?

 岡村氏らが着目した1つ目の不文律は、ターゲットだった。ブランドのコアファンを若年化していくことは重要である一方、商品の特性上スーパーへの来店者をターゲットにしなければ売り上げは向上しない。

 それでも「夜味」は、思い切って30代~40代の男性をターゲットに設定した。この層は仕事や子育てに忙しい一方、まだまだ食欲旺盛で、場合によっては1人で夕食を食べていることから、シャウエッセンを手に取ってもらう余地は十分にあると考えた。

 2つ目に取り組んだ不文律は、食シーンだ。夜の食卓シーンはコロナ禍以降非常に大きなマーケットになっているため、夕食シーンに食べるウインナーの市場開拓を目指した。

 「夜にウインナーを食べるという考え方がまだお客様にあまりないことから、『夕食にウインナーを食べるならシャウエッセン』というCEPを設けることによって、シャウエッセンがNo.1の地位を獲得できるのではないかと考えました」(岡村氏)

 ターゲット層の男性の夕食の嗜好性に合わせたフレーバーを考えるため社内調査を行ったところ、「味が濃く、がっつりしたものを食べている」という人がいる一方で「あっさりしたものを食べている」人もいる結果が得られた。ただし後者の人々は家庭の小さな子どもに合わせた結果であり、自身は物足りなさを感じていたり自分だけ違うおつまみを食べていたりするケースもあった。これを踏まえてご飯にのせて楽しめる、あるいは他の料理を引き立てるような濃い味付けにする方向性が固まった。

ネーミングとプロモーションも新たな発想で

 3つ目の不文律は、ネーミングだ。これまでは味の特徴から着想しており、今回もそれを踏襲して「濃い味」「スパイス味」などの案が出てきた。しかし「夜の食卓シーンで食べてもらう」という目的を達成できないのではないか、インパクトが不足しておりお客様に手に取ってもらえないのではないかといった懸念があった。

 「発売寸前まで悩んだ」というネーミングにおける突破口となったのは、商品だけに向き合うのではなく、プロモーションをどう展開するのかも含めて考えたことだ。そうして生まれたのが「夜味」という名だった。

 4つ目のプロモーションについても、「テレビCMがないと売れない」という不文律を打ち破ることを目指した。日本ハムでは他の商品も含め、マス広告を大量に投下する従来の手法から、話題化を目指してSNSを中心にプロモーションを展開する方法へと舵を切った。たとえば「夜味」では発売前から話題化を狙うべく、X(旧:Twitter)上で次の投稿を行った。

【ご報告】
本日19時ごろ、
シャウエッセンから大切な発表があります。

 この投稿は瞬く間に拡散し、最終的に約3,900万のインプレッションを獲得した。この投稿のすぐ後に、今度は「まさかの?味」と、意図的に味名を隠すティザー広告を投稿。投稿に対するコメント数は1,000件を超え、カレー味や燻製味、ブルーベリー味など、味を予想する大喜利が盛り上がった。

 最終的には、この2つのティザー投稿だけで5,000万近いインプレッションを達成し、発売前日から発売日にかけて6時間以上Xのトレンド入りを果たした。

 その後もSNS上の勢いは衰えなかった。発売を知らせる投稿では「#夜味って何」というハッシュタグを準備。すると今度は「夜味」の風味を予想するUGCが拡散し、ユーザーの間で「夜味」を試してみたくなる空気が醸成された。同時に公開した2本のテレビCMも、味については詳しく言及せず、「どんな味かわからないが、美味しそうに思える」という感想を狙って制作したと岡村氏は明かした。

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調理法も「夜」に合わせてアップデート

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/18 16:58 https://markezine.jp/article/detail/48594

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