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MarkeZine Day 2025 Spring

5つの不文律を見直し、話題化や売れ行き好調を実現!「シャウエッセン 夜味」開発&プロモーションの裏側


調理法も「夜」に合わせてアップデート

 岡村氏らが見直した5つ目の不文律は、調理法だった。一般に夕食は焼き調理が多いため、「夜味」もそれに合わせ焼き調理を推奨するべきと思われた。しかし社内には、「シャウエッセンは焼いてはいけない」という暗黙のルールが存在していたのだ。

 「シャウエッセンは、発売当時から『美味なるものには音がある』というキャッチコピーを作り、パリッとしたおいしさを売りにしてきました。調理法も、沸騰したお湯にシャウエッセンを入れ、弱火にして3分間ゆでる『黄金の3分間ボイル』を推奨してきました」(岡村氏)

 ところが、シャウエッセンの食べ方について社内アンケートを採ってみたところ、なんと88%の従業員が「焼いたことがある」と判明した。岡村氏らは驚いた一方、「この事実をプロモーションに盛り込んだらおもしろくなるのでは」と考えた。

 そして「禁じ手とは知ってました。でも、おいしかったんです。」というキャッチコピーから始まる画像を公開し、「シャウエッセンの焼き調理解禁」というステートメントを公表した。

 このステートメントはX上で話題となり、様々なメディアから取材依頼が舞い込んだ。さらにそれまで入荷予定のなかったスーパーや小売店からも、多くの問い合わせが入るという好影響が生まれた。

 以上のようなプロモーションの結果、初月の販売目標3倍を超える売り上げを記録した。またスーパーの店頭では「夜味」だけでなく、既存商品であるシャウエッセンの購買にもつながった。さらに、地上波やインターネット番組に加えYouTubeなどで活動するインフルエンサーに取り上げられたことで、課題だった若年層の取り込みにも成功した。

戦略的なプロモーションで「終売」すらも話題に!

 「夜味」は4ヵ月間の期間限定商品だったが、終売の際も戦略的なプロモーションを展開し、さらなる話題を創出した。具体的には、終売の半月前に、Xに「引き際が大事、とききました。」から始まるステートメントを投稿した。

 「『夜味』展開の目的はシャウエッセンを夜に食べていただくことであって、『夜味』を売りたいわけではありません。ですので、引き際は最初から決まっていることでした。しかし終売宣言という形でコミュニケーションを行うことで、多くのお客様に反応をいただけました」(岡村氏)

 一連の取り組みを振り返って、岡村氏は重要なポイントを2つ挙げた。まず、社内に存在する不文律との向き合い方。そのすべてに従うのではなく、場合によっては不文律を逆手にとってリデザインする。「夜味」はこのリデザインにより、売りにつながるようなCEPを設計できた。

 次にSNSを用いたコミュニケーションについて。「夜味」はXの投稿をきっかけに話題が広がった。これにより、社内や得意先からもSNSの施策に関心を持ってもらえることが増えたという。

 岡村氏は「新たな広告手法やブランディングの手法が確立されつつある中で、それらをうまく活用した新しい取り組みをこれからも続けていきたいです」と今後の展望を述べ、講演を締めくくった。

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/18 16:58 https://markezine.jp/article/detail/48594

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