ハッシュタグの占有率が市場シェアに影響を与える
──売上への貢献度はいかがでしょうか?
村岡(ネスレ日本):osinaでの展開が売上に寄与したかどうかは、正確には測れません。しかし、届けたい層に届く言葉でしっかりリーチできた実感があります。

西田(NEL):実は弊社で、SNSプラットフォーム上のハッシュタグ占有率とブランド購買行動の関連性について、POSデータの詳細な分析を行いました。その結果、ハッシュタグの占有率と販売個数が比例して変動しており、明確な相関関係が明らかになっています。

※分析手法はNELが特許出願中
西田(NEL):つまり、特定期間で集中的にブランドコンテンツを展開し、そのカテゴリーにおけるハッシュタグの占有率を高めれば、市場のブランドシェアが変動するということです。お菓子セクターだとネスレさんが中心になりますが、化粧品セクターでも同様の現象が観測されています。SNSでの消費者認知が広がる中で、UGCの活性化による大きなインパクトが生まれているのです。
UGCを活性化するポイントは「表現の余白」
──UGCが想定以上に活性化した要因は、何だと考えていますか?
村岡(ネスレ日本):投稿募集時のブリーフィングで“表現の余白”を設けたことが、功を奏したと思います。具体的には、素材の使い方を指定しませんでした。こちらからは素材をお渡しするにとどめ、その先の素材の編集や表現はインフルエンサーのクリエイティブにお任せしたほうが、より想いが伝わると考えたからです。「こうやって表現してほしい」と要請するのなら、それは自社で制作するCMでやるべきです。
西田(NEL):再生数の推移を時系列で確認したところ、投稿を見た人が商品を購入して、さらに投稿するというサイクルが長期間で生まれていました。村岡さんが話されていた「表現の余白」によって、たとえば「チョコレートが好きな人」や「勉強を頑張っている人」「受験を応援する人」など、様々な価値観を持つセグメントへ効果的に訴求できていたからだと思います。
──キットカットのマーケティング戦略の展望をお聞かせください。
村岡(ネスレ日本):受験生応援キャンペーンでは、引き続きosinaの力を借りたいと考えています。キットカットを部活の応援アイテムにされる方もいるため、「部活応援」の文脈にも注力する方針です。

西田(NEL):osinaでキャンペーンを行うたびに、そのブランドのファンが蓄積されていくので、次回のキャンペーン時には参加者がさらに増えるはずです。そうしたサイクルの中で、CRMのような取り組みにもosinaが伴走できると考えています。