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第111号(2025年3月号)
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社会価値創造×事業成長の両輪を目指して

なぜ今、ヘラルボニーにマーケティング部門から共創依頼が増えているのか?

 社会価値創造と事業成長の両立という難易度の高いテーマに挑む際、自社で取り組みを完結させるのではなく、パートナーと共創する選択肢もある。2018年に創業したヘラルボニーは、障害のある作家が描くアートを活かした企画やプロデュースを通じて、様々な企業とのコラボレーションを進めてきた。同社の根底にある考えと最近の取り組みについて、共創事業の責任者である國分さとみ氏に話を聞いた。

ライセンスビジネスの経験を活かし、共創事業の責任者に

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、ヘラルボニーの創業背景と現在の事業概要について教えてください。

國分:ヘラルボニーの代表は松田文登・崇弥の双子の兄弟です。2人には重度の知的障害を伴う自閉症のお兄さんがいるのですが、「なぜ周りの人は兄のことを可哀想と言うのだろう?」と、お兄さんや自分たちに向けられる社会からの眼差しに、幼い頃から違和感を持っていたそうです。将来は障害福祉者に関わる仕事をしたいという思いがずっとあり、それが創業のきっかけになったと聞いています。

株式会社ヘラルボニー アカウント事業部 シニアマネージャー 國分さとみ氏大学卒業後、広告代理店である株式会社セプテーニに入社。営業を経て、親会社にて経営企画部の立ち上げやインキュベーションオフィスでの起業を経て、2013年より漫画アプ「GANMA!」の編集部責任者として事業立ち上げ、アプリは1600万DLを突破。その後、エンタメベンチャーに転職、役員としてアジア地域のキャラクターやアニメのラインセスビジネスを統括。2018年に生まれた娘が知的障害を伴う発達障害があることがきっかけになり、2024年1月より株式会社ヘラルボニーに入社。アカウント事業部責任者として全体統括。
株式会社ヘラルボニー アカウント事業部 シニアマネージャー 國分さとみ氏
大学卒業後、広告代理店である株式会社セプテーニに入社。営業を経て、親会社にて経営企画部の立ち上げやインキュベーションオフィスでの起業を経て、2013年より漫画アプ「GANMA!」の編集部責任者として事業立ち上げ、アプリは1600万DLを突破。その後、エンタメベンチャーに転職、役員としてアジア地域のキャラクターやアニメのラインセスビジネスを統括。2018年に生まれた娘が知的障害を伴う発達障害があることがきっかけになり、2024年1月より株式会社ヘラルボニーに入社。アカウント事業部責任者として全体統括。

 ヘラルボニーの根底にある考え方として、我々は、障害は「特性」であると定義しており、個性豊かな彼らが持つ「異彩」を信じています

 具体的に展開している事業は大きく2つ。いずれも、知的障害のある作家が描くアートを起点としたものです。1つは、異彩作家の描いたアートのライセンスを活かし、アパレルなど生活者向けの商品を企画販売するリテール事業。もう1つは、企業やブランドとの共創事業です。私は共創事業のビジネスを担当しており、異彩作家のアートの力で、企業やブランドがより選ばれる存在となるようプロデュースをしています。

MZ:國分さんは2024年にヘラルボニーに入社されていますね。どのような経緯で加わられたのですか?

國分:私はキャリアの大半を、エンタメ業界で過ごしてきました。エンタメ関連企業の役員として、アジア地域のキャラクターやアニメのライセンスビジネスを統括するなど、仕事自体はとても充実していました。

 そのこととは別に、2018年に娘を出産しまして、その子が重度の知的障害を伴う自閉症があることがわかりました。出産後も子供の将来のためにと仕事を続けましたが、自分がどんなに仕事を頑張っても、子供の将来が開ける気がしなかったのです。

 単純に言えば、この子が働ける将来って来るのかな、と。それで転職を考えるようになり、出会ったのがヘラルボニーでした。ライセンスビジネスの経験はあったので、自分のキャリアとヘラルボニーのビジネスの可能性を、ともに成長させられるのではないかと思い、入社しました。

企業として儲けることも大切、共創事業の根底にある考え方

MZ:この連載では、事業価値と社会価値の両立について、企業の考え方やスタンスを尋ねています。ヘラルボニーは、どのような考えで事業を展開していますか?

國分:ヘラルボニーの活動は福祉のように見られることもあるのですが、そうではありません。契約作家へ正当な対価を払えるよう、儲けることも大切にしています。そのため別々のものを両立させるという感覚はなく、もともと不可分なものと捉えています。

 それを実現するための1つの柱が、先ほどご紹介した共創事業です。この事業の初期パートナーとなっていただいたのは、JR東日本様やJAL様で、ともに移動にまつわるビジネスをされている企業でした。社会的なインフラに関わる企業の場合、対象とするお客様の範囲が広いこともあって、目に留めてくださったのだと思います。

 入社後に過去3年間の事業状況の分析をしたのですが、初期はどのように事業を拡大していくか糸口が見えなかった時期もあったようです。しかし、最近状況が劇的に変わってきたと感じています。

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/16 10:07 https://markezine.jp/article/detail/48661

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