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社会価値創造×事業成長の両輪を目指して

なぜ今、ヘラルボニーにマーケティング部門から共創依頼が増えているのか?

共創相手となる部門・取り組みの規模に変化が

MZ:どのような変化があったのでしょうか?

國分:1つは共創相手となる部門が変わったことです。立ち上げ初期に我々にご発注いただいていたのは、主にCSR活動に近い方々、たとえばSDGsの担当者様や総務部門などで、ノベルティの制作などをご一緒していました。それが直近では、7割ほどがマーケティング部門や商品開発部門からの依頼に変わっています。

 マーケターの皆さんは生活者の視点に立ち、いま何が求められているかを考えながら仕事をしています。つまり、マーケティングの共創パートナーとしてヘラルボニーを選んでいただけるようになった背景には、生活者の意識の変化があるのだろうと考えています。

MZ:ヘラルボニーの業績は好調に推移しており、共創事業がその成長をけん引していると聞いています。共創プロジェクトの数や内容にも、変化が生じているのでしょうか?

國分:社数に大きな変動はないのですが、ビジネスのより根幹からご一緒させていただく機会が増えるなど、取り組みの規模が大きくなっています。

 たとえば、丸井グループ様との共創では「ヘラルボニーカード」というクレジットカードビジネスを行っており、2025年2月にこのカードの累計新規発行枚数が5万枚を突破しました。

 通常のクレジットカードは、使った分の0.5%がポイント還元される仕組みですが、このカードは0.4%しか還元されません。残りの0.1%はヘラルボニーの作家の創作活動や福祉施設の運営に還元されます。普通のカードよりも経済的には損をするにもかかわらず、このカードのローンチ後のLTVは、通常のカードの4倍となりました。

 最近「贈与経済」という言葉もよく聞きますが、贈ること自体に価値を感じたり、お金を払う意味があると考える方々がいるのだと思います。まさに価値変容が起こっていると感じました。

共創の目的は「売上」と「企業メッセージの発信」

MZ:共創を希望する企業は、どのようなことを期待してヘラルボニーとの共創を進めるのでしょうか?

國分:当然ながら、売り上げへの寄与も目的の1つにあります。それについては、発展途上ながらも、成功と捉えていただけるケースが増えており、直近ではサントリー食品様と共創した天然水「トゥモロー・ウォーター」売上本数が発売6日で1万本を超えるといった事例がありました。

明日をちょっと良くする、アートな天然水「TomorroWater トゥモロー・ウォーター」
明日をちょっと良くする、アートな天然水「TomorroWater トゥモロー・ウォーター」

 「トゥモロー・ウォーター」でも、売上の一部が作家に還元されます。その考えに共感して購入してくださるお客様が一定以上の規模で見込め、ビジネスとして成立し得る。マーケティング部門や商品開発部門の方々にそう判断いただけたこと自体が、大きな変化だと思います。

 しかし、ヘラルボニーへの要望として最も大きいのは、共創を通じて社会にメッセージを発信したい、ということだと考えています。

 企業と生活者の距離が非常に近くなっている現代、企業の発信はとても身近なものになり、そこに倫理観が透けて見えるようになっていますよね。「ヘラルボニーの活動自体を広めたい」あるいは「そういう活動について考えている会社であることを伝えたい」といった目的のもと、声をかけていただくことも増えました。より発信力を高めるために複数社で手を繋ぐ、というパターンも増えてきています。

MZ:共創事業を進める際には、どのようなことを大切にされていますか?

國分:大切にしているのは、作家たちの異彩を実際に体感していただくことです。共創をスタートする時には、共創させていただく会社の経営層も含めて、創業の地であり、始まりの地でもある岩手に来ていただき、契約アーティストが在籍する「るんびにい美術館」を一緒に訪れています。

 我々のビジネスは、彼らの才能がなければ成立しません。我々は企画・プロデュースを行う仲介者であって、価値そのものを作っているのは作家です。その意味で、まずは福祉施設で作家に会っていただき、クリエイティブな活動を目にして、異彩の価値を体感いただいています。

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「100年企業」という目標に込められた思い

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/16 10:07 https://markezine.jp/article/detail/48661

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