検索効率:Airbnb – Categories
時間効率に次いで生活者のニーズが高いのが、情報の「検索効率」です。現代の生活者は多くの選択肢を求めています。一例として、現在急成長中のSHEINでは、多品種小ロット戦略で多くのユーザーを獲得。毎日約2,000点の新商品がサイトに加えられ、常時60万点のアイテムを販売。サイト訪問者はその豊富な品揃えを楽しめます。
一方で、選択肢が多くなるのに比例して顧客は欲しいものを的確に選ぶことが難しくなります。これは「選択肢のパラドックス(多すぎて選べないこと)」と呼ばれており、ユーザーを迷うことなく欲しい商品にたどりつかせることは、良い顧客体験にとって非常に重要なファクターと考えて良いでしょう。
現在Airbnbでは「カテゴリー」という機能を導入。宿泊先をカテゴリーに分類することで、ゲストがユニークな滞在先を発見しやすくするための検索ツールになります。タイトル、説明文、写真のキャプション、ゲストのレビューを機械学習で分析しており、たとえばログハウス、ビーチフロント、国立公園など、利用者が滞在先で求める経験を分類。サイト上でキュレーションを行い、訪問者が望む宿泊先へと簡単にたどりつけるような工夫がなされています。
Netflixでは、2022年より「最高!(Doble-Thums-Up)」ボタンを導入しました。これにより、試聴者の好みをより理解しやすくなり、おすすめ動画を表示する際のアルゴリズムに取り入れるという試みをしています。
調査からも、AirbnbとNetflixは顧客体験評価が高いブランドとなっており、選択肢を増やすだけでなくマッチング効率を高めることは、ユーザー体験にとって重要なことがわかります。
常に迅速な対応:Chawy - Connect with a Vet
同じく効率化を軸にしたニーズとして「常に迅速なサービス」への要望も顕著になっています。特にトラブルが素早く解決されることは、ブランドの評価に大きな影響を与えることが調査からもわかりました。
オンラインのペット用品店であるChewyでは2023年より「Connect with a Vet」という、ペットの飼い主が獣医師に対して、直接相談できる遠隔医療サービスを提供しています。何か困ったことがあれば24時間いつでもチャットで相談が可能。ペットの怪我や病気だけに関わらず、普段の食事や、栄養補給、特定の仕草や行動に対する質問なども受け付けており、受診後には個別のレポートが送られてきます。また通常のチャットだけでなく、必要であればオンライン受診も提供。一部サービスはサブスクリプションで賄われているのですが、いざという時に素早くサービスが受けられるのは、飼い主にとっては大変心強いですね。
このChewyですが、3年連続で米国市場における顧客体験評価で1位を記録。この相談サービスのサブスク加入者増加も一因となり、ビジネスの売上/利益が伸長。カスタマーサービスへの投資が成長に還元されていることがわかります。
