アドフラウド対策を導入したANA Xが今思うこと
チェク・ジャパンのセキュリティ診断を受けたANA Xは、早速不正トラフィック対策としてCHEQ Acquisitionの導入を決めた。導入の後押しになった点について、石井氏は次のように説明する。
「第一に、チェク・ジャパンが高い検知技術を持って日々研究に取り組んでいることです。ネット技術は日々進化しており、手段も変わっていくため、高い技術力がないと取り残されてしまう可能性があるからです。第二に、グローバルでの実績があること。こうした不正は海外から日本へと展開されるケースも多いため、グローバルのデータを持っていることが重要と考えました。最後に、月間約9,000億のトラフィックを監視し、最新の手法に対応できるという点がCHEQ Acquisition導入の決め手となりました」(石井氏)
CHEQ Acquisitionの導入のタイミングでは、不正トラフィック率が一時4%まで向上したものの、日を追うごとに数値は低くなっていき、現在は1%程度に収まっている。また、不正クリック率も導入前と比較し76%減少している。とはいえ、1日のうちに不正トラフィックが一気に発生する“山”は何回も訪れており、ゼロになることは絶対にない。

導入から1年が経ち、ANA XではCHEQ Acquisitionの効果についてどのように評価しているのだろうか。石井氏は「比較的短期間で改善効果が確認できて、その後も安定して1%程度にとどまっているなど、大きな効果を感じています」と話す。とはいえ、「対策は日々アップデートしないと、すぐに不正トラフィックが忍び寄るので、チェク・ジャパンさんとは常に連携して対策していきます」と常に危機感を抱いているという。
「結果として、もっと早く診断を受けて導入しておけば良かったと思っています。広告予算は各社それぞれ異なるので一概には言えませんが、私たちの場合は数%のトラフィックが不正トラフィックに侵されており、それなりの被害が出ていました。おそらくほとんどの企業でも同じ状況だと思うので、もし日頃から気になっているのなら、早めに診断・導入を検討したほうが良いと思います」(石井氏)
「AIエージェントからのアクセス」をどう扱うか
石井氏の総評を受けて、外岡氏も「不正アクセスを100%ブロックすることは難しいのですが、少なくしていくことで、本来得るべき広告成果を正常に戻し、マーケティング効果を最適化することに大きな意義はあります」とした。
「これまで多くの企業の方から依頼を受け、診断を行ってきましたが、不正トラフィックが0件だったという例はありません。まず現状を認識いただき、正しいマーケティング効果を実現できるように対策を検討いただければと思います」(外岡氏)
講演の最後に外岡氏が示したのが、今後社会にますますAIが浸透してきた時の影響だ。
AIの登場により、不正ボットや不正プログラムを作る技術的な障壁は驚くほど低くなった。国内でも、中高生がAIで企業にDDoS攻撃をしかけるなど、犯罪の低年齢化が進んでいる。この「やろうと思えばできてしまう」という環境が、企業にとってますます大きなリスクとなっている。
その一方、社会でのAI活用がますます発展してくれば、AIと人間を分け隔てることが逆にビジネスチャンスを奪うことにもなりかねない。たとえばAIエージェントが航空券やきっぷの予約を行うようになれば、「AIからのアクセス=不正」とは言い切れなくなる。そのためにも、不正トラフィックに関する技術的な知見やノウハウを持ったベンダーの協力は不可欠だ。広告主が投下した予算が正しく活用され、顧客と企業のコミュニケーションが活性化されれば、ビジネスは大きく成長するはずだ。
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