「Meta Agency First Awards 2025」開催決定!
伊東(Facebook Japan):弊社では年に1度、広告代理店様の功績を称える「Meta Agency First Awards」を開催しております。Metaの様々な広告ソリューションを活用し、クライアント様のビジネスに最も貢献していただいた代理店各社様に敬意を称し、表彰することを目的としたもので、日本では2022年からスタートしました。

2024年度は、従来に引き続き企業様を称えるだけでなく、クライアントのビジネス課題をMeta広告を活用して解決し、素晴らしい実績を残していただいたマーケターの方々に敬意を表すべく「Planner of the Year」という個人賞を新設しました。幸いにも各社様より反響が大きく、2025年度も11月に「Meta Agency First Awards 2025」を開催予定です。
本日は当賞、第1回の受賞者であるサイバーエージェントの北原さん、ナハトの栗田さん、ピアラの多和田さん、オプトの新井さん、そしてHakuhodo DY ONEの岩藤さんにお集まりいただいています。皆さん「Planner of the Year」を受賞されて、周りからの反響はいかがでしたか?
多和田(ピアラ):非常に大きな反響がありました。社内でも「来年は自分が受賞したい」といった声が上がるなど、社員の士気向上につながる良い影響があったと感じています。

個人的に嬉しかったのは、担当しているクライアント様が喜んでくださったことです。直接お祝いメッセージをいただくなど、既存のクライアント様とのさらに良好な関係構築のきっかけになったという点で、受賞して本当に良かったと思います。
北原(サイバーエージェント):当受賞は社内でも評価され、全社の賞で大賞をいただくことができました。多和田さんと同じく、クライアント様をはじめ、社内外からお祝いのメッセージをいただき、大きな励みになりました。多くの方々から評価していただけたという実感を持つことができています。
伊東(Facebook Japan):皆様のキャリアにも貢献でき嬉しく思います! さて今日は、皆さんが「Planner of the Year」を受賞する理由にもなった、Meta広告の効果最大化のための取り組み・ノウハウもご紹介いただきたいと思っています。早速、サイバーエージェント北原さんからお願いします。
「Planner of the Year」受賞者が語る、Meta広告ベストプラクティス
1.サイバーエージェント北原氏:ASCを活用したMeta広告の運用ハック
北原(サイバーエージェント):私たちは、「Advantage+セールスキャンペーン(以下、ASC)」を活用した運用ハックに取り組んでいます。AIによるMeta広告の配信最適化は進んでいますが、やはり100%の精度ではありません。どのような運用をすればASCの効果をより向上できるか、日々試行錯誤しながら検証しています。

具体的なノウハウも少しご紹介すると、ASCはMetaの立てる予測CTVRの値で広告配信の優劣が決まる傾向にあります。CTVRの最大値と最小値のレンジが小さくなるようにする、つまりCTVRを安定させることで、ASCの学習が進み配信がより最適化されていくのではないか、というのが私たちの仮説です。
LPやアドフォーマットの違い、静止画か動画かなどCTVRに影響を与える要素は複数あります。そのため、それらの要素を細分化した上で、項目別に配信を設計するようにしています。実際、項目をすべてまとめた時よりも、それぞれ分けて配信した時のほうが、トータルの効率がよくなるケースが多数確認されています。
「サイバーエージェントのASC攻略」について、詳しい情報は以下の記事でチェック!
2.ナハト栗田氏:新しい運用手法「CIBS」の実践
栗田(ナハト):私からは、CIBS(Metaインフレーション予算戦略)に関するノウハウをご紹介します。CIBSとは、CPAを抑えつつ、獲得数と出稿額の増加を図ることができるMeta広告の運用手法です。通常よりも5~10倍ほど大きな広告予算額で配信設定をすることで、ペーシングという機能(24時間均等に広告を配信させるもの)を意図的に解除し、これまで入札がかけられなかったユーザー層や面に対しても広告配信を拡大することができます。

CIBSの手法を採ったキャンペーンでは、CPAが27%削減、CPMが19%削減、獲得件数が3.6倍増と、各種指標を大きく改善させることに成功しました。
ただし、ペーシング機能を解除させたまま配信が暴発してしまうと、大きな損失になります。そのため、一定の基準を超えると自動でキャンペーンがオフになるように必ず設定し、加えて人力で管理画面に張り付く運用体制を組むなどしてリスクを回避しています。
「CIBSの効果」について、より詳しい情報は以下の記事でチェック!
Meta広告の成否を分ける「クリエイティブ最適化」のノウハウ
3.ピアラ多和田氏:大量のクリエイティブ検証・運用を遂行
多和田(ピアラ):当社からは、大量のクリエイティブテストを実施するための方法と、そのクリエイティブをASCに活かすポイントについて紹介します。
Meta広告のクリエイティブ検証を行う際、バナーの良し悪しばかり見てしまい、「誰に・何を伝えるのか」という土台の部分が曖昧になってしまっているケースがよくあると思います。当社では、その前段にあるべき「誰に・何を」という土台を明確にし、基本導線も確立した状態からスタートすることを大事にしています。こうすることで、クリエイティブを大量に運用しても、平均的なCTVR値を担保することができるのです。
また、ASCには様々な拡張機能がありますが、こうした土台をしっかり整えることで、効果を向上させられた事例も多々あります。
4.オプト新井氏:クリエイティブ戦略の要となる、組織と仕組み作り
新井(オプト):当社からは、高いパフォーマンスを出すためのクリエイティブ戦略についてお話しします。
まず紹介したいのは、運用の体制作りに関する取り組みです。オプトではクリエイティブディレクター、運用コンサルタント、デザイナーがワンチームとなり、施策を考案・推進できる体制づくりをしています。クリエイティブと運用を担う人間がそれぞれ同じ目線で議論するため、どのような要素が効果的かなどをデザイナーが理解した上で、クリエイティブを制作することができています。

また、Meta広告のPDCAにおいては、やはり量と質の両面を重視しています。具体的には、Meta広告のクリエイティブ指標「類似度」を意識した上で、商品のターゲットや訴求の方向性をある程度定めた後、迅速にデザインのバリエーションを多数制作できる仕組みを構築しています。さらに、「広告効果の良いクリエイティブ(目標CPAを下回るクリエイティブなど)」の定義を設けるなどして、質の良いクリエイティブを早期に発見する仕組み化も行っています。
「オプトのクリエイティブ運用の体制作り」について、詳しい情報は以下の記事でチェック!
5.Hakuhodo DY ONE岩藤氏:ブランディング目的の施策の効果可視化
岩藤(Hakuhodo DY ONE):私は、ブランディングを目的としたクライアントを中心に担当しています。インターネット上でCVが計測できる施策であれば、その結果を基に最適化したメディア選定やクリエイティブ制作のプロセスが確立できますが、オフラインでの購買や認知に特化した戦略の場合、広告施策の良し悪しを判断する明確な基準が見えにくいという課題があります。また、消費者からどのような反応が得られているのか、認知や意向などの意識指標に影響するかを可視化する必要もあります。

このような背景から、広告接触による態度変容を測定し、さらにSNS上でのユーザーの発話内容や反応を詳細に分析するため、リフト調査とインサイト分析を組み合わせた「価値共創パッケージ」をMeta社と共同で実施しました。具体的には、広告接触によって認知が向上したか、購入意向につながったかといった多数の定量的なブランドリフト調査の結果をもとに施策の効果を判断したり、事前に設定した特定のキーワードの発話量増加を定量的に測定したりすることを可能にしています。
加えて、インサイトの分析においては、たとえばInstagram内での配信面ごとのユーザー発話の違いや、訴求商品に関するコメントや投稿の内容を分析することで、消費者の関心が高い傾向を把握しています。
「価値共創パッケージ」について、より詳しい情報は以下の記事でチェック!
各代理店の考える、AIと人間の共存の在り方
伊東(Facebook Japan):Metaの広告プロダクトのAIによる最適化が進む中、皆さんはどのように共存していますか? 各社対応の方針や考え方を教えてください。

北原(サイバーエージェント):自動最適化は進むものの、最後は今までの経験、社内に蓄積されている過去の事例を踏まえて判断することが重要だと感じています。数字やデータを人間が咀嚼し、優先順位を付け、効果的に運用していく思考プロセスから価値が創出されるのではないでしょうか。
一方、積極的に社内AIツールの開発も行っており、直近では「やり取りAI」というツールを開発しました。これにより、クリエイティブやLPのチェックがボタン一つで完了できる仕組みが構築できています。
栗田(ナハト):運用面ではかなりの自動化が進んでいる一方で、クリエイティブ面においてはターゲットユーザーとの直接的な対話の機会を増やすなど、あえてアナログ方向に振り切るアプローチを採用しています。当社はショート動画制作やドラマ撮影、クリエイティブ制作などを得意としているため、実際に現場のメンバーが撮影に赴いて素材を収集したり、N1インタビューを実施したりしていますね。
多和田(ピアラ):私もペルソナ設計などの基盤部分については比較的アナログな手法を重視し、リアルな声を集めたり、N1インタビューを実施したりといった地道な活動を行っています。
新井(オプト):そうですよね。私も「対話」は人間が担うべき部分として重視しています。実際にターゲットに近いユーザーと対話することで「そういうことだったのか」という深い気づきを得られることが多いです。その対話をもとにアイデアを出すことで、より改善確度の高いアウトプットを生み出せると感じています。
一方、素材制作やLPのフレームワーク作成などの制作面、また分析の壁打ち相手などでAIを積極的に活用しています。
岩藤(Hakuhodo DY ONE):先ほど説明した「価値共創パッケージ」では、インサイト分析の領域でMeta社のAIを活用しています。SNS上の発信・表現の傾向をまとめる、ユーザー全体のペルソナを分析するなど、人力ではとてもカバーしきれない大量のデータ分析はAIを導入すべき領域です。こうした分析では、AIとうまく連携していくことが必要になると思います。
今後も一部領域ではAIを活用しつつも、自分の言葉と経験に基づいた見解をもとにクライアント様とやり取りしていくことが望ましいと考えています。
伊東(Facebook Japan):「AIに任せることと人間が担うべきことを分ける」「特に対話での深掘りの部分では人間同士のコミュニケーションが大切になる」という基本軸は各社で共通するところがありつつ、それぞれ自社の強みを活かして独自の取り組みを行われているんですね。
冒頭でご紹介した通り、Metaは今年も「Meta Agency First Awards 2025」を実施します。弊社としては、Meta広告を活用いただいている企業様、マーケターの皆様を称えるとともに、当Awardsを通してMeta広告に関する業界内の知識やスキルをさらに高め、より良い価値を提供することができればと考えています。本日は皆さんの貴重なノウハウをご共有いただき、ありがとうございました。