正解がわからないからこそ、挑み続ける
──新たな事業を生むために挑戦できる仕組みはあるのでしょうか?
若手からベテランまで、やりたいと思った人が手を挙げ、プロジェクトマネージャーとして取り組めるという体制と文化があります。
私の部署では、毎週1回、担当常務に答申できる会議があるので、そこで「こんなチャレンジをしたい」という意見や、なぜ・どう実現するのかといった詳細を述べます。仮説とそれに対する打ち手の必然性が吟味された上で、ゴーサインが出たら実際にプロジェクトが動き始めるという流れです。
新規事業は正解がわかりません。仮説や裏付けがしっかりあれば、ノーと言われることはありません。たとえプロジェクトが失敗しても、仮説がしっかりしていれば「何が違ったのか」という気づきを得られます。知見の蓄積も1つの成果だと考えています。
また、新規事業の確立という同じゴールを目指しても、社員によってアプローチは異なるはずです。多様なアイデアと打ち手があり、当社がやる必然性を説明できれば、止める理由はありません。このマインドから新しい事業が生まれてくると思います。
加えて、チャレンジする人に対して「やってみればいいじゃん」と後押しする会社全体の風土もあります。DNPは約150年前にはベンチャーからスタートして、その成長の過程で様々な事業に挑戦しながらここまで来ました。事業成長における挑戦の重要性を知っているからこそ、失敗を恐れずに新しいことにチャレンジできるのだと思います。
──コンテンツ・XRコミュニケーション事業は、その組織風土を体現している部門ですね。
そうですね。私たちの事業部門自体が、率先してそれまでと異なるチャレンジを続けることで、全社的にも「DNPでこんなことをやっていいんだ」という空気を醸成できるのではないかと考えています。
また、業界に対する影響力も大きいと思っています。保守的なイメージを持たれがちな当社ですが、「業界の環境を良くしたい」という真剣な思いを持っています。スタートアップ企業や版元の中には、その思いを知って連携してくれる企業も増えています。これからもチャレンジを続けていきたいですね。