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第114号(2025年6月 最終号)
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LINEマーケティング活用最前線(AD)

LINEを活用するマーケター必見!様々な事例や施策のヒントが詰まった3セッションをレポート

 今や社会インフラの一つであり、企業のマーケティング活動にも欠かせないLINE。2025年5月に開催された「Hello Friends! W!th LINEヤフー2025」では、様々な業種・業態の成功企業による事例セッションが行われた。本記事では、これからのLINEマーケティング戦略を考える際に欠かせない、3つのセッションの様子をレポートする。

単なる通知配信にとどまらない「LINE通知メッセージ」

 「LINE通知メッセージで実現する未来、そして目指す世界観とは」をテーマに掲げたセッションでは、LINEミニアプリ委託開発/コミュニケーションの2部門でLINE Technology partnerならびにLINE Sales Partnerとして支援を行うフォーグローブと、ショートメッセージサービス(SMS)事業を日本市場でゼロから立ち上げたアクリートが登壇。両社が「LINE通知メッセージ」を活用し、未来をどう創造していこうとしているのかが語られた。

 LINE通知メッセージとは、会員登録の案内や保険の満期案内、荷物の配送予定などの情報を企業のLINE公式アカウントから直接メッセージとして届ける機能。友だち追加されていない顧客に対しても、電話番号を利用して直接通知をすることが可能だ。

 仕組みとしては、企業が保有する顧客の電話番号を基にメッセージの送信リクエストをLINEのサーバーへ送信すると、その電話番号が登録されているユーザーのアカウントへLINE通知メッセージが送信される。

左:フォーグローブ株式会社 代表取締役 ハタノユウスケ氏、右:株式会社アクリート 取締役副社長 田中 優成氏
左:フォーグローブ株式会社 代表取締役 ハタノユウスケ氏、右:株式会社アクリート 取締役副社長 田中優成氏

 セッションでフォーグローブのハタノ氏は「LINE通知メッセージは、単なる通知配信にとどまらない」と強調した。LINE通知メッセージには「友だち追加」ボタンが設置されており、受信者の判断で企業のLINE公式アカウントと友だちとなり関係を構築できる。友だち追加後、企業は詳細な情報として画像・動画・ミニアプリなどのリッチコンテンツの提供が可能となり、ユーザーへLINEを通じてそれぞれに合った顧客体験をシームレスに実現可能だ。

 上記の特徴を踏まえ、LINE通知メッセージのメリットとしては、次のことが挙げられる。

 まず、料金通知や予約確認などがLINEで届くことで、顧客の情報管理負担を軽減できる。電話番号のみで配信可能なため、友だち追加をしていない顧客にも漏れなく情報を届けられる点も特徴的だ。そして、従来の配信方法と比較して運用コストを抑制できるため、業務効率化も実現できる。

 最後に挙げたコスト面では、電子メール・SMS・LINE通知メッセージを比較すると、電子メールが最も安価でSMS、LINE通知メッセージの順で費用がかかる。しかし到達率においては、SMSが99%という圧倒的な数値を示すという。

 今回2社で取り組む予定である、コミュニケーションサービス機能も紹介された。LINE登録時の電話番号認証を経ているLINE通知メッセージは、日常利用されているツールという強みを活かした想定開封率とLINE公式アカウントからの配信による信頼度の高さが魅力だ。そこにSMSの高到達率が合わされば、より確実にお客様に届く強力なメディア配信機能となり、企業にとって大いに活用メリットのある手段になると、ハタノ氏は強く語った。

LINEは「第5のキャリア」──SMS×LINEで広がる可能性

 アクリートの田中氏は、LINE通知メッセージに注目する理由を次のように説明する。

 「LINE通知メッセージの特徴は、包括的なカスタマージャーニーを描ける点にあります。SMS配信にはメッセージ以後動線が途切れる課題がありますが、LINE通知メッセージではメッセージの配信と友だち追加により、継続的なコミュニケーションを実現し最終的なメッセージ到達率向上を目指すことができます」(アクリート 田中氏)

 さらに、SMSとLINEの共通項である電話番号を活用することで、両チャネルでの配信展開も可能だ。具体的には、まず電話番号をキーにLINEのユーザーID(UID)を照会してLINE通知メッセージとして配信、配信不可の場合はSMSで配信するといった方法である。

 また、休眠アカウントの掘り起こしにも活用できるだろう。LINE公式アカウントの友だち追加をしていながら通知をオフにしているユーザーに対して、携帯電話番号を活用してSMSで配信アプローチを行える。日本のほぼ全国民が携帯電話を保有している状況である中、この通信インフラは4社の主要キャリアにより提供されている。一方、LINEは9,800万人(2025年3月末時点)の月間アクティブユーザーを擁しており、事実上「第5のキャリア」としての機能を果たしていると捉えられる。

 従来の企業は、SMS配信システムとLINEを個別に運用する必要があったが、両社を組み合わせることで運用効率の大幅な改善が期待される。加えて、2025年5月にはフォーグローブとアクリートが協業を拡大し、SMSとLINEを活用した新たなコミュニケーションサービス機能を共同開発することを発表した。

 「ユーザー目線で欲しい時に欲しい情報が手に入る世界を、作り上げていきたいと考えています」(フォーグローブ ハタノ氏)

「洋服の青山」のLINEマーケティング戦略を探る

 セッション「"洋服の青山"がLINEとLiglaで実践する『顧客の気持ちを動かす』デジタル戦略」では、日本全国に「洋服の青山」「SUIT SQUARE」「THE SUIT COMPANY」など734店舗を展開(2025年4月末)する青山商事が登壇。「OMO戦略による顧客接点の拡大」に注力する同社から、洋服の青山のリアル店舗とデジタルを横断したLINE公式アカウントの実践方法が紹介された。

 実店舗は高い認知度を誇るものの、女性向け事業をはじめ販売商品の認知度が低い課題を抱えていた洋服の青山。解決策の一つとして2020年から始めたのがLINE活用だった。

 青山商事の薮田氏によると、当初直面した課題が「友だち獲得の難しさ」だ。そのため、獲得単価の低いスタンプを活用して新規顧客の取り込みを図ることに。しかし、友だちになった顧客の約70%がブロックするという事態に陥った他、企業側からの一方通行のメッセージ配信では反応も得られにくかったという。

左:株式会社TimeTechnologies 代表取締役 CEO 柴田剛氏、中:青山商事株式会社 マーケティング部 デジタルマーケティンググループ グループ長 薮田直司氏、右:DOTZ株式会社 代表取締役社長 稲益仁氏
左:株式会社TimeTechnologies 代表取締役 CEO 柴田剛氏、中:青山商事株式会社 マーケティング部 デジタルマーケティンググループ グループ長 薮田直司氏、右:DOTZ株式会社 代表取締役社長 稲益仁氏

 そんな洋服の青山が活用したのが、TimeTechnologiesが提供するLINE特化型のマーケティングオートメーション「Ligla(リグラ)」だ。

 Liglaの主な特徴は次の3つ。

1.パーソナライズ配信

 LINE友だちに対して、一人ひとりに合わせたメッセージを自動配信。個別の顧客属性や行動履歴に基づいたカスタマイズされたコミュニケーションが可能となる。

2. AIチャット自動接客

 24時間態勢でAIが顧客からの質問に自動応答。人的リソースに依存せず、継続的な顧客サポートを実現する。

3. 簡単な友だち獲得

 従来課題となっていた友だち獲得プロセスを簡素化し、容易に実行できる仕組みを提供している。

開封率が2倍以上に改善!Liglaで推進するOMO戦略

 Ligla導入後の結果を比較すると、顕著な改善が見られた。具体的には開封率が36.7%から79.3%と2倍以上、CTRは1.75%から15.96%、CVRも0.23%から1.61%に改善している。顧客データ基盤を活用したセグメント別パーソナライズ配信により、顧客の関心に合わせたコンテンツを届けることで、大幅な向上が実現したと考えられる。加えて、RR(配信あたりのCV)の向上も見られた。

 運営を支援したDOTZの稲益氏は、次のように語った。

 「従来の一斉配信ではCVRが低い状況だったため、初回配信に反応した顧客のみをセグメント化し、配信対象とすることで効率的な配信を実現しました。そしてパーソナライズ配信に加えて、クリエイティブの検証を継続的に実施。リッチメディアの活用やメッセージ配信の設定方法など、様々な検証を通じて最適化を図っています」(DOTZ 稲益氏)

 セッションでは、洋服の青山が実際に展開した事例の一つが紹介された。同社は、初めてスーツを購入する顧客は主に店舗を利用する傾向があることに着目し、店舗での接客時にLINEキャンペーンを紹介する施策を実施した。友だち紹介制度を導入し、紹介した人・紹介された人の双方にクーポンをプレゼントする仕組みを構築した他、抽選というゲーム要素も組み込まれたポイント制度を採用した。

 結果として、3ヵ月間でエンゲージメントの高い既存顧客のうち1万3,000人の友だち獲得に成功した。リアル店舗の特性を最大限活用し、既存の優良顧客をデジタル接点へと効率的に転換させた取り組みといえるだろう。

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本記事で興味を持たれた方は、「Ligla(リグラ)公式サイト」からお問合せください。

LINE活用で実現する「CXM(顧客体験マネジメント)」

 トランスコスモスは「国内大手飲食チェーンのCXM支援における、LINEを軸としたチャネル横断の現状と今後の展望」をテーマに講演。全国の顧客と企業・ブランド、そして各店舗とのコミュニケーションはどうあるべきか。同社が大手飲食チェーンと取り組んでいる「CXM(顧客体験マネジメント)」プロジェクトで描こうとしている世界観と、それを下支えする約1,000のLINE公式アカウント運用のリアルを、現場視点で紹介した。

 LINEのサービス開始当初から、プロダクト導入から顧客支援まで一貫したサービスを提供し、長期にわたる実績を積み重ねてきたトランスコスモス。その結果、豊富な成功事例を有するに至っている。

 今回事例として紹介した大手飲食チェーン企業が抱えていた課題は、オウンドメディアとポイントプログラムの最適化だ。これらの改善を通じて顧客満足度の向上を図り、さらにデジタル施策を起点とした店舗への送客強化、特にF2転換(初回来店客のリピート化)を促進する必要があった。

左:トランスコスモス株式会社 CX事業統括 CX事業推進本部 CXプロデュース統括部 2部 1課 百瀬裕美氏、右:トランスコスモス株式会社 CX事業統括 DI事業本部 DMC第2統括部 DMC2部 1課 阿部俊士氏
左:トランスコスモス株式会社 CX事業統括 CX事業推進本部 CXプロデュース統括部 2部 1課 百瀬裕美氏、右:トランスコスモス株式会社 CX事業統括 DI事業本部 DMC第2統括部 DMC2部 1課 阿部俊士氏

 トランスコスモスが顧客企業と共に目指す世界観について、同社の百瀬氏は次のように語る。

 「データに基づいて来店前から来店行動に至るすべてのプロセスを、一貫した顧客体験として提供することを目指しています。顧客満足度とロイヤリティの向上を通じて売り上げ最大化を実現するイメージです」(百瀬氏)

 具体的には、LINEやメールによるOne to Oneコミュニケーションを起点とし、オウンドメディアやアプリでの来店予約、実店舗やECでの顧客体験から得られる情報をコンタクトセンターでの対応やMAを含むVOC(顧客の声)活動に反映。循環的なコミュニケーション深化を図る仕組みを構築しているという。

約1,000もの公式アカウントを効率的・安定的に運用するには

 中でも現在注力しているのが、One to Oneコミュニケーションの軸であるLINEの活用だ。担当するトランスコスモスの阿部氏は「複数の公式アカウントを一つのグループに統合して一括運用できる、グループ機能を導入しています。これにより運用担当者は個別アカウントへのログインが不要となり、グループ単位での一括配信や設定変更が可能です」と説明した。

 同社のLINE運用チームでは、クライアント企業の3ブランド・各店舗の合計約1,000アカウントもの大規模配信代行業務を担当。各ブランドから発生する業務依頼をプロジェクトマネージャーが一元管理し、3〜4名の専任メディアプランナーとの連携により、円滑な運用体制を確立している。

 運用過程では、急な配信変更や顧客要望への迅速な対応を実現する一方で、業務の属人化やケアレスミスによる品質低下を防止する体制を整備した。年間配信数2億通超、月間平均40件の大規模配信を効率的かつ安定的に運用するため、独自のツール開発とフロー再構築に取り組んだ。

 その結果、配信準備作業工数を従来の月60〜100時間から20〜40時間に短縮し、35%の工数削減を実現。また、ヒューマンエラーを防ぐ運用フローの導入により属人化リスクを解消し、配信ミス0件の安定運用を継続している。

 今後はLINEと顧客データベースとの連携を予定しており、会員データを活用することで、よりパーソナライズされたメッセージ配信の実行が可能になるという。阿部氏は「顧客体験価値の向上を図り、より深い顧客関係の構築を目指していく」とした。

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本記事で興味を持たれた方はお気軽にトランスコスモスまでお問い合わせください。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:LINEヤフー株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/10 11:00 https://markezine.jp/article/detail/49154