深く届けるためにチャネルはあえて限定
MZ:progistaは取扱店舗が限られていますね。狙いを教えてください。
ファーマノフスキー:小さく産んで大きく育てる戦略です。発売初年度の配架店舗はロフト、アットコスメオンライン、Amazon、一部の百貨店のポップアップに限っています。
疋田:店舗はビューティグルーミングの大切さや、我々からのメッセージを伝える場所と考えています。細かなこだわりを伝えるためにあえて店舗数を絞っています。
ビューティグルーミングアドバイザーを配置し、シェービングからスキンケアまでのステップをきちんと説明して販売しています。商品ラインナップが多彩だからこそ、理解して用法を守っていただくことで使用時の満足度が上がります。
店舗やバイヤーの皆さんに対しても、技術開発本部の研究員が訪問してしっかりと商品説明をして、理解してもらった上で商品を置いてもらっています。
今は認知を上げるために広く浅く届けるのではなく、限られた方に深くきちんと理解をしてもらうためのフェーズだと考えています。Schick自体のブランド認知度は90%あるので、Schickを前面に打ち出してマス広告を展開したほうが効率的かもしれません。しかし、私達が求めているのは一時的な売上ではありません。きちんと知り、実際に使ってご納得いただくという体験作りが重要です。そこで、サンプルやテスターでその機会を増やしています。ポップアップも四半期に1回、2~3ヵ所で実施しています。これまでに6回ほど行い、今後も継続予定です。
MZ:アドバイザーさんがリアルで拾った声をフィードバックとして受ける体制もあるのでしょうか?
ファーマノフスキー:フィードバックは定期的に確認し、ビューティグルーミングアドバイザーとは月1回のミーティングで効果的なアプローチを話し合っています。たとえば、Schickの6枚刃を持ちながら「日本カミソリ市場No.1のSchick発のスキンケアブランド」と紹介する方法は反応が良く、シックの認知度や信頼感がポジティブに働いていると感じています。
パーセプションチェンジからグローバルへ、シック・ジャパンが見据える未来
MZ:今後の展開も教えてください。
疋田:短期的にはまずprogistaの名前と、使用する利点を浸透させます。シェービングからスキンケアが1つのブランドで揃っているのは当社だけの強みです。希少性もあり勝算があると思っています。今後はシェービングの棚にもスキンケアの棚にもprogistaが進出できるといいですね。
その過程で、当社がシェーバーだけではなくスキンケアにも強い「ビューティグルーミングカンパニー」であると認識を変えていき、最終的にはスキンケアまたはビューティでの想起獲得を目指します。現在の「Schick=シェービング」、「安心」や「No.1」というイメージに、「ビューティー」や「ワクワク」などが加わるイメージです。
イメージ定着後は、ビューティーに特化したドラッグストアにも配架を広げることも視野に入れています。progistaは今までのSchickブランドよりも高価格帯ですが、10年後には当社を代表するブランドにしていきたいと思っています。どのカスタマー様からも「置きたい」と言ってもらえる状態にしたいですね。
そして日本発の海外展開も視野に入れています。Z世代に向けた日本発のシェーバー「Schick FIRST TOKYO」は、現在、台湾やアジア圏なの国で採用されています。progistaにも興味を持つリージョンが多々あります。こちらも同様に海外でも展開できると嬉しいですね。

MZ:progistaはスキンケアとグルーミング全体の考え方や習慣を変えていく取り組みなのですね。10年後、20年後の男性の肌ケアが変わっていそうです。
疋田:今の10~20代は男性もビューティーがもたらす外面・内面へのポジティブな影響を理解しています。一方40~50代男性は、ビューティーが気になりつつも、まだ心理的距離があると思います。しかしprogistaが浸透することで、男性にも「綺麗になることで内面も変わる」という認識が広がると、人生がもっと楽しくなると思います。progistaは当社を変えるブランドです。そして社会にも良い影響力のあるブランドに育てていきたいです。