相談事例:後発参入の勝ち方がわからない
課題
SEO支援事業を立ち上げたいけれど、業界内には既にポジションを確立した先行企業が存在する→後発での勝ち筋がイマイチ見つからない。
解決策
後発参入の企業として成功するためには、オーソドックスなマーケティング戦略だけでなく、後発ならではの戦略が必要です。具体的には以下の3つのポイントが重要です。
後発参入:BtoBマーケティング戦略のポイント
- 新チャネルを開拓し、独占的な認知を取る
- 巨人の方に乗る(コラボをうまく活用する)
- イノベーションのジレンマを利用して攻める
1.新チャネルを開拓し、独占的な認知を得る
どのマーケティングチャネルにも基本的には先行者優位な状況が存在します。典型的な例はSEO対策でしょう。SEO対策はどの業界でもレッドオーシャンの状態です。ブランドのある先行企業の方が、ドメインパワーが高く、後発参入だと基本的にはかなり厳しい戦いです。
だからこそ、業界的にまだ他社が取り組んでいないチャネルに注目しましょう。2024年の段階だと、BtoBマーケティングにおけるYouTubeの活用が効果的です。
直近では、有名なSEO支援会社がYouTubeに参入し始めましたが、まだYouTubeにアジャストできていないように思います。このような新たなマーケティングチャネルが確立するかどうかの境目は、後発企業にとってチャンスです。本来不利な状況から戦いが始まるはずですが、フラットな条件で勝負できます。
また、先行企業は他の既存のマーケティング施策を同時並行で動かす必要があるため、基本的には新しいチャネルに対して腰が重いケースが多いです。そこにリソースを投入できれば、十分にチャンスがあります。
Point:他社がまだ成功していないけれど、ターゲットの顧客が存在するマーケティングチャネルの独占
→そのチャネルのアセットを横展開し、競合がいるマーケティングチャネルにも参入
上記のような展開を狙うのは、後発企業の戦略として鉄板です。
実際にSAKIYOMIも、Instagram運用支援を始めた時は後発だったため、初期の段階から競合他社が参入できていなかった「YouTube」と「Instagram」で公式アカウントを作り発信に注力していました。これらが、リード獲得や第1想起の獲得に与えたインパクトは計り知れません。

2.巨人の肩に乗る
これは具体的に言うと、先行企業と共催セミナーを開催したり、YouTubeや記事などで対談したりすることで、認知度と信頼度を高めるという選択肢です。
他にもお金はかかりますが、著名人をホームページにアンバサダーとして掲載したり、「ホリエモン」や「キングコング西野」にPR案件を依頼するほど影響力を持ったPIVOTや、NewsPicks、新R25などに出演する、なども選択肢でしょう。
SAKIYOMIも初期は、知名度のあるマーケティング支援会社と多数の共催セミナーを開催していました。
身近な例として、「ChargSPOT」もまさにこの事例にあてはまります。スマートフォンのレンタル充電器はいくつか種類がありますが、ChargSPOTが多くのシェアを占めています。しかも急速に広まりました。それはなぜでしょうか?

きっと身近な存在であるコンビニの棚を押さえたからでしょう。今ではどのコンビニに行っても目にしますよね。大手コンビニチェーンとのコラボによってうまく巨人の肩に乗ることで成功し、圧倒的な露出と信頼感を勝ち取った結果、充電器をレンタルするならChargSPOTを使おう、と第1想起を取ったのではないでしょうか。
3.イノベーションのジレンマを利用して攻める
次の3点のような手法を取って差別化していきます。
(1)逆張りする:既存のやり方だと取れない選択をする。
例:あえて超低単価のAIによる記事制作支援を行う。競合他社だと売上や単価が下がることを嫌がって参入しにくいため
(2)極端に特化する:後発企業は「顧客の絞り込み」を行っても、リスクが少ない。
例:BtoB企業に特化したWebサイト専門の制作会社を立ち上げる。Web制作会社は無数に存在するものの、基本的には全業界をターゲットにしている。あえてBtoB企業だけに絞り込むことでノウハウの専門性を強化し、第1想起を取りやすくする
(3)フック商材を作る:初期に低価格または無料で提供することで、リード獲得の役割を担うサービスを作る。
例:月額1万円でLPの修正し放題サービスを行う。顧客にとってリスクが少ないため、広告のCPAが圧倒的に安くなる。あえて利益度外視で行い自社やサービスの認知を広げるための広告費として捉える。また、LP修正後、新規LP制作を提案するなどして利益を作る
今回はよくある課題とその解決策をご紹介しました。皆様の参考になれば幸いです。
※本稿は『営業してない相手から“契約したい”と言わせる マーケティングの全施策60』(ブックダム刊)の一部を、著者の協力を得ながらMarkeZine向けに再編したものです。