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小さな会社でもECで売上を伸ばせる「LINE接客」成功の法則 SHARP補聴器は購入率42%超に

 ECおよびD2C市場の成熟にともない、顧客獲得コストの高騰やリピート率の低迷に悩む事業者が増加している。そんな中、LINE公式アカウントを接客から決済まで可能なコミュニケーション手段に変え、効果を生んでいるのが、IRISデータラボ株式会社が提供するECツール「Atouch(アタッチ)」だ。同ツールを用いたEC販売の平均リピート購入率は32%を超えているという。今回は、企業がLINE公式アカウントを運用する際に陥りがちな失敗例も含めて、同社代表取締役の安達教顕氏に話を伺った。

SHARP補聴器の販売で本体購入率42%に!

──御社のサービス「Atouch」を導入したSHARPは、補聴器の販売で驚異的な成果を上げたと伺っています。まずAtouchの簡単な概要と、具体的な成果から教えていただけますか?

 「Atouch」は、LINEの公式アカウント上でネットショップを簡単に開設・運営できるサービスです。初期費用は無料・月額5,000円から利用でき、LINEのトーク画面内で商品閲覧から決済まで完結できるのが最大の特徴になります。店舗で実際に接客するように、LINE上で接客できます。

IRISデータラボ 代表取締役社長 安達教顕氏
IRISデータラボ株式会社 代表取締役 安達教顕氏
20年以上IT業界でSIerベンダー、デジタルマーケティング支援やシステム構築におけるIT戦略コンサルティングに従事。IRISデータラボは、「LINEヤフー Partner Program」において2024年度の「Technology Partner」のコミュニケーション部門「Premier」に認定されている

 Atouchを導入したSHARPは、補聴器の販売においてわずか3ヵ月で圧倒的な数値を達成しました。新聞の折込チラシにLINE公式アカウントのQRコードを印刷して友だち登録を促したところ、登録者の71.3%が「1ヵ月お試しレンタル」を申し込み、最終的に42%が本体購入に至ったのです。

SHARPの補聴器販売の実績
SHARPの補聴器販売の実績

 この結果を導入直後の頃と比較すると、購入率は25%も伸びる結果となりました。一般的なECサイトのコンバージョン率が2〜3%程度であることを考えれば、これは本当に驚異的な数字です。

──従来の販売方法では、どのような課題があったのでしょうか?

 補聴器は高齢者向けの高額商品です。従来の販売手法は、テレビショッピングや新聞の折込チラシを使い、コールセンターで注文を受けるというのが基本的なスタイルでした。そこで、うちの営業担当が先方にお伝えしたんです。「そもそも耳が不自由な方に、電話で注文を受けるやり方は正しいんですか?」と。それに加えて、新聞の購読率やテレビからの流入も年々減少しています。

 こうした課題を受けて、SHARPはLINE公式アカウントを活用したコミュニケーションに力を入れ始めました。お試しユーザーに対して、チャットによる丁寧なフォローを行ったことが、高い購入率につながったと考えています。

ECモールを使わない72歳でもLINEは利用

──安達さんは、長年デジタルマーケティング支援にも携われてきた中で、なぜLINEに注力したECツールを提供されるようになったのでしょうか?

 2019年に創業した我々は「LINEマーケティングのプロ集団」として、様々な自治体や企業から相談を受けてきました。その中で共通していたのが「LINEの中で商品を購入できるようにしたい」というニーズでした。

 私の72歳の母親もですが、楽天やAmazonなどECモールですら利用しない方はまだまだ多いです。実際に年代別のEC利用者数を見ると、30代をピークに年齢が上がるほどECの利用者数は下がっており、50代以上の市場は未開拓なのです。でも、9,700万人のユーザーを抱えるLINEなら、高齢者層でも使っています。

年代別EC利用者数の推移
年代別EC利用者数の推移

 加えて、これまで中小企業を支援する中で感じていたのは、もの作りへの熱意があって良い商品を作っているのに、販売や営業が苦手な会社が多いということです。そういった中小企業が、無理なく販売機会を創出できる環境を作りたかったのです。

700社の中から厳選した成功事例集

導入実績は700社超。特に注目すべき、成功企業の事例をピックアップしてご紹介しています。

ECは「接客できない」という前提条件を覆す

──一般的なECサイトとAtouchの大きな違いについて教えてください。

 そもそも、ECモールや一般的なECサイトは、「接客」ができないという大きな問題があります。それ故に差別化が図りづらく、他商品との価格競争に陥りがちですし、広告費に頼る必要がありました。

 しかし、Atouchならリアルな店舗のような接客が可能です。LINE公式アカウントに友だち登録した方は、明確に商品に興味があって来店されたお客様です。また、チャットを通じて「4個セットしか売っていないけれど、本当は5個欲しい」といった、お客様の本音を聞き出すことも可能です。

Atouchの操作画面
LINEのトーク画面上でメッセージのやりとりから、商品情報の案内、商品購入・決済まで可能
※クリックすると拡大します

 また、多くの企業がLINEを用いたマーケティングに取り組む際に、自社ECサイトやLPに遷移させています。しかし、コミュニケーションツールのUIから外部サイトに飛ぶこと自体が、良い顧客体験とは言えず転換率が下がる要因になります。

 一方Atouchなら、会員登録もID・パスワードの入力も不要ですし、2回目以降の購入はワンタップで完了します。この「ストレスフリー」な体験により、平均リピート購入率は32%を超えています。

──通常のECサイトでは大きな課題となる「かご落ち」についてはどうでしょうか?

 Atouchの場合、トーク画面で商品を即時決済できるので、かご落ちする確率を低減できます。また、かご落ちメッセージも送信可能です。加えて、友だち登録した全員の情報を、Atouchの管理画面上で確認できます。「何かお困りのことはありますか?」と1to1でコミュニケーションを行うだけでなく、流入経路の分析や顧客の属性や好みに合わせたセグメントを行い、クーポン配信やシナリオ配信もできます。

LINEでは「コミュニケーション」に徹しなければ失敗する

──LINE公式アカウントを使ったECにおける成功と失敗は、どこが分かれ道になると考えますか?

 LINEは「コミュニケーションツールである」という点が非常に重要です。多くの企業ではLINE公式アカウントをユーザーへの「案内板」としてしか活用していません。そうではなく、お客様が求める情報を必要なタイミングで届けることに徹する。そこに取り組まなければ、公式LINEでのECの試みは大体失敗すると考えて良いでしょう。

──それでは、成功させるにはどうすれば良いのでしょう?

 我々は常々、「友だち登録の"数"自体は、少なくて良い」と伝えています。友だち数は少なくても、コミュニケーションを通じてエンゲージメントをいかに高めるかが大事です。

──「1to1の接客では、事業がスケールしないのではないか?」という懸念の声もあると思います。その点についてはいかがですか?

 「1to1だから事業がスケールしない」のではありません。実際、リアル店舗で丁寧な接客を行っていれば、1日に30~40人を接客するのは当たり前なことですよね。それを毎日続ければ、年間で1万4,000人ものお客様に購入いただくチャンスがあるわけです。コールセンターがあるなら、そのリソースをLINEチャットに配分するのも一つの手です。

 そもそも、お客様とのコミュニケーションを重視しない企業は、長期的な成長は期待できないと考えています。お客様からすると、購入のお礼とともに「おまけに、当店自慢のさくらんぼをいくつか入れておきますね!」なんて気が利いた一言があったら、リピートしたくなりますよね。LINEを使ったコミュニケーションにおいて本当に大切なのは、そういう商売に懸ける想いの部分なのだと思います。

自社サイトとInstagramから情報発信、販売はLINEで完結

──Atouchを用いたベストプラクティスがあれば教えてください。

 「旬の駅 okuribito 山形」という農作物を取り扱うショップでは、栽培方法にひと手間かけたお米の「つや姫」を生産している農家を支援しています。

旬の駅 okuribito 山形のチラシ
旬の駅 okuribito 山形のチラシ
※クリックすると拡大します

 同社の場合、Instagramの投稿や自社のホームページで"想いやこだわり"を発信し新規顧客を集め、販売はLINE公式アカウントで完結させています。LINEはチラシやDMとも非常に相性が良いです。新規のお客様にはInstagramやLINE公式アカウントを知らせるチラシを配り、既存のお客様にはDMを送信する。これで価格競争に陥りがちなECモールに出店せず、運営コストの負担が大きいECサイトを持たなくても、商品を売り切っています。

──Atouchは、BtoB企業に導入しても成果が期待できるのでしょうか?

 そうですね。BtoB領域にも事業を拡大していきたいと思っています。たとえば、電気工事の事業者に向けて検電器を販売する「マルチ計測器」の場合、アナログな販売方法のみを続けてきました。取引依頼書を書いてもらってから、与信管理を行い振込依頼書を送付してと、売上までに煩雑な事務手続きが必要でした。

 そこでAtouchを導入し、カード決済を利用することで与信管理が不要になり、業務を効率化しました。今では1人の担当者が通常業務の合間に対応しており、年間売上の18%をAtouchだけで実現しています。こうした事例に続き得る企業は、まだまだ相当数に上ると思います。

マルチ計測器のLINE公式アカウントでの購入までのフロー
マルチ計測器のLINE公式アカウントでの購入までのフロー
※クリックすると拡大します

LINE限定商品を販売することでライトな顧客層を獲得

──Atouchは、特に中小企業が成果を上げやすいサービスですが、大企業が効果的に利用するためのノウハウがあれば教えてください。

 大手企業にAtouchを利用していただく際にお勧めしているのが、「LINE限定商品」を作ることです。カジュアルなキャンペーンを開催しやすくなりますし、LINEだけの商品を用意しキャンペーンを行うことでLINE公式アカウントの友だち登録者数が増えます。また、LINE上で完結できるため、キャンペーンのための制作費も必要なくなります。

 実際に大手企業でテストした結果、LINE限定商品の購入者の8〜9割が会員登録していなかった方でした。つまり、これまでスルーされていたようなライトな顧客層も取り込めるメリットがあります。

──最後に、今後の展望について聞かせてください。

 日本の地場産業に携わっておられる方々はみな、もの作りに懸ける思いがとても強いです。我々としては、こうしたこだわりを持った日本の生産者の方々をサポートしていきたいと思っています。販売に関してお困りの方がいらしたら、ぜひ利用してみていただきたいですね。

「売上1,000万円達成」「購入率90%」の成功事例を見る

「Atouch導入初月で売上1,000万円」を達成したハウスクリーニング会社、「友だち登録者の購入率90%」を実現した美容代理店など、成果を上げている企業の取り組みを解説しています。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:IRISデータラボ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/29 16:24 https://markezine.jp/article/detail/49463