SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第114号(2025年6月 最終号)
特集「未来を創る、企業の挑戦」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る 注目キーワード大研究

失われた“遊び心”をAIで取り戻そう──AI時代の広告と代理店のこれから【横山隆治×菅原健一】

非効率を恐れない。「遊び心×AI」でインタラクティブ広告を再発明

菅原:最近は、むしろインタラクティブ広告に追い風が吹いているかもしれないと思っています。SNSで体験がシェアされるのが当たり前になった時代。昔のようにおもしろい仕掛けを作ったら、それを見た人が自発的にシェアし、バッと全国的に拡散されていく可能性が高いでしょうし。

横山:一つの仕掛けでも話題性や拡散性があれば、十分に効果が見込めるかもしれませんよね。

画像を説明するテキストなくても可

菅原:ええ、特に交通広告のサイネージなどと相性がよさそうです。現代のインタラクティブとは、「広告を見た人が動画を撮ってシェアするアクション」と言えるかもしれません。デジタル広告に限らず、交通広告などでの物理的な仕掛けでも、SNSが加わることによって、双作用性のあるコミュニケーションが可能になりましたよね。

横山:まさに。これからインタラクティブ広告はまだまだ発展する可能性を秘めているはずなのに、広告業界はそれを置き去りにしてしまっているのではないでしょうか。

菅原:テレビで大量に広告を見せる手法が通用しなくなった今こそ、インタラクティブ広告を再発明していくべきタイミングかもしれませんね。

横山:「脱テレビ一強」の新たなコミュニケーション開発の仕組みを、AIで作らないといけない時が来ています。でもその仕組みの中に本来の広告のスピリット、つもり仕掛け(企て)を盛り込まないといけない。きっと「インタラクティブな仕掛けを考えるAI」を作ってしまえば、効率よくアイデアを展開できるでしょう。人間が面倒がってやらなくなってしまったことこそ、AIを使って再現していってほしいと思います。

菅原:効率よくマーケティングできた時代には、非効率なインタラクティブ広告は避けられていたかもしれませんが、もうそんな時代は終わってしまいましたからね。非効率でもどんどんチャレンジしていかないと。

横山:非効率なことも、AIに覚え込ませて鍛えていけば、効率的なことになっていきますから。AIと一緒に、もう一度インタラクティブ広告を見つめ直す時代が来ているはずです。

「忙しいからAIを使えない」は本末転倒

菅原:マーケターって忙殺されている方が多いじゃないですか。実際に話を聞いてみると、AIをほとんど使っていないか、ちょっと触っている程度なんですよ。

横山:忙しい人こそ使えばいいのに……。

菅原:本来そうですよね。効率的なマーケティングで通用する時代が終わり、非効率なマーケティングが必要になってきている中、マーケターが自力で頑張ろうとしたら、もう倒れてしまいます。しかし、忙しさを理由にAIを使わない。だから、マーケターは怖くて非効率なマーケティングに突入できない。見て見ぬふりをしているのだと思います。

画像を説明するテキストなくても可

横山:作業領域はどんどんAIに任せるべきですよね。自分のアイデアや作家性が求められるような領域は手元に残しておいたっていいんです。まずは「面倒なこと」と「自分ではできないこと」を手放していく。

菅原:まず「試すことにリソースを使えるかどうか」が勝負だと思います。AIで生まれた余白を活かせる人が、これからのマーケティングで新しい価値を生み出していけるんじゃないでしょうか。

次のページ
広告代理店に求められるのは「提案」ではなく「伴走」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業界キーパーソンと探る 注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/07/18 08:30 https://markezine.jp/article/detail/49469

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング