Criteoの新たな主戦力は「新規獲得」
──Criteoというと、“リターゲティング広告の会社”とイメージするマーケターが多いようです。最近はリターゲティング以外のソリューションも提供されているそうですが、どのような相談が寄せられていますか? 代表的なテーマを教えてください。
確かに、Criteoはリターゲティングで市場をリードしてきたという自負があるので、そのイメージが強いのは自然なことだと思っています。しかし、近年は「新規ユーザーの獲得」や「特定のターゲット層へのリーチ」といった観点で利用いただくことが増えています。そして、今まで通りのCPA・ROASを維持した成果を出せています。

──それらの課題に対して、Criteo はどのようなソリューションで応えているのでしょうか。
パフォーマンス広告ソリューション「コマース・オーディエンス(旧名称:ニューソリューション)」を提供しています。
「従来の取り組みに限界を感じている、リーチできるユーザーにはリーチしきった」という課題を抱えられている企業様は少なくありません。その後は顧客単価を増やせば売上は上がるものの、件数が増えない壁にぶつかります。コマース・オーディエンスはこのような悩みに応えるソリューションです。
年間1兆ドルの購買データから「買う人」を見つけ出す
コマース・オーディエンスは、Criteoが保有する膨大なコマースデータを活用して、ターゲティングできるオーディエンスプールを構築し、AIで最適化を行った上で広告を配信するソリューションです。
このコマースデータとは、実際の購買行動に基づく「どのユーザーが何を買ったか」「何を申し込んだか」といった実行動データです。これは単なるeコマースの購買データにとどまらず、旅行予約、人材登録、不動産問い合わせなど、オンライン上のあらゆる商取引データを含んでいます。そのデータ規模は、世界で1万8,000のeコマースサイトと数千のオープンウェブ・パブリッシャー、40億商品、年間1兆ドルの取引に及びます。日本国内だけでも、約2,000社との契約によるコマースデータを保有しています。
リターゲティングは、既にそのブランドを知っているユーザーが対象ですが、コマース・オーディエンスは異なります。膨大なコマースデータから購買パターンを分析し、「そのブランドを知らないが、高い購買意欲を持つユーザー」を発見できるのです。
──企業にとっては、"思いもよらない"ような、新規ユーザーへ効率的にリーチできるということですね。
その通りです。広告主様には新規ユーザーでも、CriteoのAIには「購買傾向を把握済みのユーザー」です。だからこそ、やみくもではなく、確度の高いターゲティングで新規獲得を実現できるのです。
プライバシー配慮とCookie問題への対応を機に進化
──個人の購買傾向を把握することによる的確なターゲティングで成果につなげるとのことですが、プライバシー保護の面では問題ないのでしょうか?
フランスで創業したCriteoは、世界最高水準のプライバシー規制であるGDPRに完全準拠して運営しており、日本でも法に則って適切にデータを管理しています。

最も重要な点として、Criteoは個人を特定できる情報を一切保有していません。個人の行動傾向を理解しているだけで、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報は収集・保有していないのです。匿名化されたユーザーの行動パターンを分析し、「Aさんが○○を買った」ではなく「○○のような商品を好む傾向のユーザー群」という匿名セグメント情報として蓄積しています。
──Googleが3rd Party Cookieの廃止を棚上げした件は、どのように考えていますか?
業界にとって非常に良いことだったと考えています。前提として、3rd Party Cookie廃止問題が上がったことで、新たなイノベーションが大きく進んだと感じています。
Criteoでも、Cookieに依存しない世界に備えて技術開発を進めました。これにより、お客様はご自身のマーケティング課題を解決するための選択肢が、これまで以上に広がっています。そして、3rd Party Cookieを利用できることで、従来のリターゲティング広告も引き続き高い成果を維持できる状態が整いました。
【事例】ROAS維持でCV約7割増!アパレル・人材で高い成果
──コマース・オーディエンスは、どういった業種で成果を出しているのでしょうか?
主に、小売と旅行、クラシファイド(人材や不動産など、いわゆる購買ではなく、申し込みや会員登録を主とする業種)が挙げられます。全体平均では、CPA105%でコンバージョン件数は20%増という結果が出ており、アパレル業界はこれを上回る成果を示しています。
たとえば、ある国内大手アパレルブランド様のEC事例では、配信ボリュームを約40%増加させたにも関わらず、ROASをほぼ維持することに成功しました。具体的には、CPAの上昇を5%程度に抑えつつコンバージョン数を約70%も増加させており、これは効果的な新規顧客層の開拓につながった結果と言えます。
一般的に新規施策を実施するとCPAやROASが悪化する傾向がありますが、コマースデータとAIの力を活用することで、パフォーマンスを維持しながらボリュームを拡大することが可能です。このアパレルブランド様でも、2024年7月から開始し、2025年5月現在でも同水準の高い成果を継続しています。
注意点としては、AIエンジンを使用しているため学習期間が必要なことです。成果が出るまでには2~3ヵ月かかる傾向はあるものの、その後は、高いパフォーマンスを継続して発揮します。
──EC以外の活用事例も教えてください。
人材業界もコマース・オーディエンスと相性が良い業種です。ユーザーが見る求人の傾向や転職を考えるタイミングをエンジンが予測し、適切なタイミングで適切な求人広告を提示します。
また、旅行業界向けには専用オーディエンスを開発済みで、ヨーロッパでは高い実績を上げており、日本ではテスト運用中です。このオーディエンスは、旅行業界専用の最適化エンジンでAIが学習したデータを基に構築されています。
ユーザーの旅行予定や予約傾向(直前に予約する人や前々から予約する人など)、さらにはファミリー旅行か一人旅かといった行動傾向を基に、ユーザーにとって最適なタイミングで、適切な商品を提案することが可能です。
AIにお任せから精密ターゲティングまで。柔軟な配信設定
──コマース・オーディエンスによる配信設定は、どのように行うのでしょうか?
コマース・オーディエンスは、新規ユーザー獲得のために約20種類のスタンダードパッケージを用意しており、これらをカスタマイズしたり組み合わせたりして、広告主様のニーズに合わせたターゲティングが可能です。
たとえばアパレルブランドが、ある特定のブランドを見ている女性ユーザーを獲得したい場合、「インマーケット・オーディエンス(※1)」で指定ブランドとデモグラフィックデータを組み合わせてターゲティングできます。また、AIに完全にお任せする「プロスペクティング・オーディエンス(※2)」も利用可能です。
※1:インマーケット・オーディエンス
特定の商品カテゴリーやサービスを積極的に探しているユーザーにリーチ。商品やサービス、ブランドを閲覧している見込み顧客層にアプローチし、コンバージョンを後押しする。
※2:プロスペクティング・オーディエンス
行動シグナルとコンテクスチュアル・シグナルを組み合わせて新規の見込み顧客を特定。最近サイトを訪問したのに商品を購入しなかった人や、似たような関心を示している人が含まれる。
基本的には、既存ユーザーの売上を最大化する「リターゲティング」と新規ユーザーをAIで獲得する「プロスペクティング」を必須とし、さらに業種に適した「インマーケット」などのオーディエンスを追加した3本立て構成での運用を推奨しています。

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どのようなパッケージを組み合わせて設計するかは、Criteo担当者がお客様の課題に合わせて提案いたします。
操作性と透明性を両立し、戦略を描けるソリューションへ
──過去にCriteoを利用されていた方に、現在のコマース・オーディエンスの進化をどのように伝えたいですか?
コマース・オーディエンスは、今やCriteoの事業基盤の1つになっています。過去5年間で、2桁成長を続けており、これは既存のお客様に継続していただかない限り実現不可能な成長率です。
また、過去にCriteoをご利用いただいた方は、Criteoは「ブラックボックスのような存在」というイメージをお持ちかもしれません。しかし、現在では管理画面で細やかなコントロールが可能です。オーディエンスの種類も選べますし、一度購入したユーザーを配信対象から除外する設定や、特定のユーザーペルソナへのターゲティングもできます。また、以前は成果を出せても「誰に当たっているか」というインサイトを出せませんでしたが、現在はレポーティングも可能になっています。
特定のペルソナにアプローチすることはもちろん、単に成果を出すだけでなく、どのような人に広告が配信されているかを可視化し、広告運用者でも、ある程度コントロールできるようになっているのです。
──導入を検討する場合、どのように進めれば良いでしょうか?
新規のお客様はホームページからお問い合わせいただくか、お取引先の代理店様にご相談ください。既にCriteoをご利用中の方は、担当者にお声がけいただければと思います。
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