Netflixは「エンターテインメントサービス」である
MarkeZine:Netflixが広告事業を開始してから約3年が経ちました。2025年7月には日本でもプログラマティック広告の配信がスタートし、いよいよNetflix広告の活用が本格化していくのではと見ています。
まずは、広告事業においてNetflixが掲げているミッションからうかがえますか?
田中: Netflixのミッションは「Entertain the World(世界を楽しませる)」です。これはNetflixとして掲げているものであり、広告事業でも同様に「Entertain the World」を追求しています。

もう少し具体的にご説明すると、我々は「Netflix=広告プラットフォーム」であるとは自認していません。あくまで、エンターテイメントサービス上で広告を配信していくという位置付けで考えています。ですので、既存の大手グローバルプラットフォームのように、広告マネタイズを目的にプラットフォームを改変していくようなことは基本的にありません。
メンバーの皆様に楽しんでいただくためのサービスであり、広告も視聴体験の一部となることを目指しています。
MarkeZine:広告付きプランで契約している日本のユーザーは、この3年でどのくらい増加しているのでしょう?
田中:日本のメンバー数は公開していないのですが、MAUは大きく成長しており、2024年の1年間でおよそ3倍になっています。既存プランからの乗り換えより、新規で広告プランを契約される方のほうが多く、プラットフォーム全体の成長の大部分を広告プランのメンバーが占めている状況です。
有料だからこそ、Netflix広告の「注視率」の高さ
MarkeZine:他の動画プラットフォームにはない、Netflix広告ならではの強みは何でしょうか?
田中:Netflix広告の最大の特長は、注視率(アテンション)の高さ。この注視率を支えているのが「1.コンテンツ」「2.テクノロジー」「3.有料課金のメンバー」の3つの要素です。
Netflixは、今まで語られたことのないストーリーが紡がれる場所です。今年は『イカゲーム シーズン3』『ウェンズデー シーズン2』『ストレンジャー・シングス シーズン5』など世界中を熱狂させた大ヒット作品が、さらに想像を超えた物語とともに帰ってきます。
これらのコンテンツを世界190超の国や地域で・3億以上の世帯に配信し、視聴可能にしているのが「テクノロジー」です。最大33の言語と1,700を超えるデバイスに対応するなど、Netflixはプロダクト側も作り込んでいます。Netflixがエンターテイメントカンパニーであると同時にテクノロジーカンパニーでもあると言われるのは、こういった部分です 。
そして、Netflixのメンバーには、広告付きのプランであっても月額890円をお支払いいただいており、地上波やソーシャルプラットフォームとは異なる視聴意欲があります。これら3つの要素が組み合わさり、結果として53.1%というTVや他動画配信サービスよりも高い注視率に繋がっているわけです。