認知させるだけではない、ユーザーの心を動かす力がある
MarkeZine:ここまでのお話を踏まえると、Netflix広告はブランディング目的の出稿が主になるでしょうか?
田中:ファネルで言うとミッドファネル、具体的には「検討意向(Consideration)」や 「購入意向(Purchase Intent)」といった指標において高いリフトが見られることが多いです。
たとえば、金融サービスの広告の事例では、カンター社とのブランドリフト調査で、検討意向が業界平均の0.3%に対し14%アップという結果が出ました。ブランドを「知ってもらう」(アッパーファネル)だけではなく、その先の「興味を持って検討する」「実際に購入を考える」という段階で、メンバーの心を動かせていると言えます。
現在はブランディングやアッパーファネル、ミッドファネルの部分からスタートしていますが、コンバージョンなどさらに下層の指標についても計測できるように開発を進めていく計画です。

ちなみに、海外メディアでは最近「Netflixエフェクト」という言葉が使われています。これは、Netflixに出演したタレントのソーシャルフォロワーが数十倍になったり、『イカゲーム』の緑のトラックスーツが爆発的に売れたり、ロケ地の聖地巡礼が起こったりと、Netflixから新たなトレンドが生まれ、その影響が大きいことを示す言葉です。広告主企業においては、こうした副次的な効果も見逃せないのではないでしょうか。
広告の在庫は拡充、日本でもプログラマティック配信がスタート
MarkeZine:Netflix広告はスタート当初、広告在庫の不足が問題となっていました。7月には日本でもプログラマティック配信もスタートしており、この問題は解消されたと認識していますが、実際どのような状況でしょうか?
田中:広告の在庫は十分にあります。これには広告プランに契約しているメンバー数の増加が影響していますが、実はもう1つ重要な要因として、視聴者が見たい様々なジャンルの作品群が広がり、クオリティの高い作品が多いことも強く影響しています。
大きく話題になる作品は、新規メンバーや解約をしているメンバーを呼び起こし、個々のメンバーの視聴時間を伸長させます。広告在庫を拡充するためには、やはり作品の力が不可欠なのです。
そして、7月から日本でも主要なDSPからのプログラマティック配信が可能になりました。特にこの数週間、Netflixで広告が配信される機会が増えたと感じていらっしゃる方もいるかもしれません。実際、海外の広告主がプログラマティックで日本に広告を配信するケースも増えています。