AIで描くGoogle広告の未来 「発見を後押しする広告」へ
Google広告の未来について、クラハム氏は「Googleが長年描いてきたビジョンが、AIの力によって現実味を帯びてきています」と語る。そのビジョンとは、「ユーザーの情報探索を妨げることなく、自然な形で商品やサービスと出会わせる広告」だ。
さらに、「ユーザーが想定していなかったタイミングで、最適な形で表示される広告であり、共感を生むクリエイティブであること。さらに精緻な評価指標に裏打ちされ、実際の成果につながる広告であること。ユーザーがインスピレーションを得ることができる広告こそ、本当に価値のある広告です」と強調する。
Googleは、こうした「寄り添う広告体験」を目指し、プライバシーを守りながら広告パフォーマンスも高める新たな検索環境の構築を進めている。
2025年5月には、「AIによる概要」や「AIモード」に表示される広告が正式に発表され、現在は米国など一部英語圏で検証が進んでいる。この変化を理解するには、次の3つの観点が鍵となる。
- AIによる発見(Discovery)
- マルチモーダルな理解(Multimodal Understanding)
- エージェント型AI機能(Agentic Action)
これらはいずれも広告の可能性を広げ、広告主に新たなビジネスチャンスをもたらす要素だ。それぞれ詳しく見て行こう。
AIがもたらす発見と「AIモード」の進化
まずAIによる発見について。これは「AIモード」における検索を指す。クラハム氏によれば、Geminiの高度な推論能力をGoogle検索に組み込むことで、ユーザーはより複雑な(あるいはより曖昧な)質問を行うことが可能になった。
注目すべきは、たとえ購買意欲がはっきりしない検索でも、AIがユーザーの意図を汲み取れることだ。ユーザーの検索背景にある“潜在ニーズ”に企業の製品やサービスが該当すると判断されれば、それらが検索結果に表示される。
たとえば、「小型犬を飛行機に載せる方法」と検索すると、航空会社の規定やチケット情報だけでなく、小型犬用キャリーバッグの提案も表示されるといった形だ。
また、「限られた予算で中小企業向けサイトを作る方法」と検索すれば、ステップごとのガイドに加え、おすすめサービスやツールの紹介も一体化して提示される。
「このように、AIモードでは一度の検索で様々な情報とインスピレーションが得られます。新たな情報の取り込みから、従来にはないアウトプットを生み出します」とクラハム氏は話す。
この体験を支えるのが「クエリ ファン アウト」という技術だ。Geminiはユーザーの長い検索クエリをサブトピックに分け、それぞれを同時に検索することで、従来よりも広範かつ深い検索を可能にしている。また集められた情報はGoogleの品質基準でチェックされ、不足があれば追加で検索されるという。
