2027年目標値を上方修正、成長が加速している花王ヘアケア事業
市場シェアのV字回復とハイプレミアム製品の構成比向上を目標に掲げ、2024年春からヘアケア事業の変革を進めてきた花王。
2025年第2四半期までに、当初11%だった市場シェアは13%に上昇、花王内ハイプレミアム製品の構成比は20%強となり、目標を上回る速度で推移している。売上も2023年比で126%の成長が見込まれるなど、順調に成長中だ。

この成長を牽引しているのは、2024年春に発売された「melt(メルト)」と、同年秋に発売された「THE ANSWER(ジアンサー)」の2つのハイプレミアムブランド。meltは現在約1万5,000店舗で展開され、販売店内で3%のシェアを獲得し、出荷本数は250万本を突破。THE ANSWERは約8,000店舗で展開され、販売店内では4%強のシェアを獲得、出荷本数140万本を突破している。
これらのブランドの成功により、花王のハイプレミアム市場におけるメーカーシェアは、従来の32位から4位へと大きく躍進した。
新ブランド「MEMEME」のキーワードは“推し活”“自己表現”
花王は、ヘアケア事業の変革で「感性マーケティング」を推進している。
感性マーケティングとは、ヘアケアにおける消費者の“感情”ニーズを「1.Intense(躍動的・エネルギッシュ)」「2.Classy(洗練された・贅沢な)」「3.Balance(こだわり・調和)」「4.Comfort(やさしさ・安心感)」「5.Natural(自然体・リラックス)」「6.Playful(ポジティブ・リフレッシュ)」に分類し、これら6つの感情ニーズを軸にブランドのポジショニングを行うもの。今回発表されたブランド「MEMEME(ミーミーミー)」は、「1.Intense」の感情ニーズに応えるブランドとして加わった形だ。これにより、花王ヘアケア事業全体のブランドポートフォリオが完成したことになる。

花王のヘアケア事業を統括する野原氏は、「各感情ニーズの違いを明確にすることで、ブランド間のカニバリゼーションを最小化し、ヘアケア事業全体の成長に貢献できるポジショニングが実現すると考えています」と話す。
今回発表したMEMEMEは、「私(ME)」を表現したい人々をエナジェティックに“ブースト”するランド。この背景には、「推し活」や「自分基準のカワイイ」など、自分の好きなモノ・コトに正直に生き、自己表現する人が増えている近年の社会潮流がある。

ブランドステートメントは「PLAY ME」。髪型などで自分自身を表現し、毎日過去最高の自分を楽しんでほしいというメッセージが込められているそうだ 。
花王 ヘアケア事業部は変革の戦略をどう「実行」してきたのか? 成長転換の舞台裏を明かす
9月開催のMarkeZine Dayで、花王ヘアケア事業の感情軸戦略の舞台裏を公開! 描いた戦略を、現場はどう実行してきたのか――マーケターが一番気になる部分が明かされます。
