「コミュニケーション文脈のUGC」に目を向ける
UGCには、商品について直接言及する「商品・サービス文脈」と、コンテンツによって生まれる「コミュニケーション文脈」が存在します。そこで、商品・サービスだけでUGCが生まれていない場合は、「コミュニケーション文脈」でのUGC発生を目指しましょう。
UGCの文脈について、食品を例にすると下記のように分類されます。
【商品・サービス文脈のUGC】
- 〇〇を買ってみた
- 〇〇がおいしい
【コミュニケーション文脈のUGC】
- 〇〇のCMが好き
- 〇〇の広告のタレント、かっこいい
- 〇〇のSNSを見るとおなかがすく
コミュニケーション文脈のUGCは、消費者からの好感や共感によって発生します。テレビCMや広告だけでなく、SNS上のコンテンツが起点になる場合も多いです。
大切なのは、コンテンツを見た際に「そういえば、よく〇〇を使っていたな」と商品を思い出したり、「実は〇〇が好きなんだよね」という投稿のきっかけを提供したりすることです。このように、ユーザーからの共感によってUGCが生み出されることを目指します。
5つの施策例と意識すべき3つのポイント
では、具体的にどのような投稿が考えられるのでしょうか。比較的実践しやすく、効果が見込める代表的な施策をご紹介します。
施策例(1)エンタメ・タイアップ型
人気マンガ家やクリエイターと組み、商品を題材にしたコンテンツを発信する方法です。商品の訴求を前面に出すのではなく、まずは“おもしろい”“共感できる”という体験を届けることで、自然とUGCが生まれる流れを作ります。
施策例(2)ユーザー参加型キャンペーン
「#〇〇チャレンジ」「あなたの使い方教えて」など、誰でも気軽に参加できるハッシュタグや投稿テーマを用意します。明確でおもしろいお題は、ユーザーが「発信してみよう」と思うきっかけになり、参加のハードルを下げます。
施策例(3)UGC投稿用テンプレートの提供
「何をどう投稿すればいいかわからない」という迷いをなくすために、投稿例や画像素材をあらかじめ用意しておきます。ユーザーがUGCを投稿する負担を減らし、参加しやすさを高めます。
施策例(4)インフルエンサー活用
UGCが出づらい商材は、まずは話題のきっかけを作ることから始める必要があります。インフルエンサーを活用して接触機会を増やし、ある程度UGCが蓄積されれば、その後のオーガニック拡散にもつながりやすくなります。広告と組み合わせることがおすすめです。
施策例(5)リアルイベント・体験型施策
サンプリングやイベントなど、「体験を共有したくなる」場づくりも効果的です。SNSとの連動を前提に、体験→投稿という導線を作ることがUGC創出のきっかけになります。
これらの施策を実施するうえで、共通して押さえておきたいポイントも紹介します。次の3つです。
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ユーザーによる投稿は「きっかけ」が必要
コンテンツの中に、ユーザーが話題にしたくなる小さな「ネタ」を意図的に仕込みます。ツッコミどころ、比較したくなる切り口、誰かに見せたくなるビフォーアフターなど、会話が始まるような仕掛けを意識しましょう。 -
ユーザーが今何を話題にしているかを常に観察する
ソーシャルリスニングによって、流行や口調、使われている言い回しを把握します。自社でも活かせそうな文脈があれば、自社の発信にも取り入れてみましょう。 -
いきなりUGCを狙わず、まずは距離感を詰める
ブランドとユーザーの距離感を念頭に、まずはエンゲージメントが高くなるコンテンツ(思わずリポストやリプライ、保存したくなるもの)を継続的に届けます。好意的な接触の蓄積が、のちの自発的な投稿やブランド想起につながります。
いずれの施策も、ただやみくもにやるのではなく、ユーザーの視点に立って「話題にしたくなる理由」を設計することが成功のポイントです。小さな接点の積み重ねがUGCの創出に寄与します。
ここで、(1)エンタメ・タイアップ型の事例をご紹介します。