“語りたくなる話題”がUGCを生む━━マンガ活用の成功例
とある自動車関連の情報サービスでは、UGCの自然発生が難しいという課題に直面していました。サービス特性上、ユーザーによるポジティブな投稿が生まれにくく、既存のオーガニック運用だけでは若年層との接点も限られていたのです。
そこで同社が取り組んだのは、Xでの連載マンガを中心としたエンタメ型コンテンツの展開でした。車をテーマにしながらも、サービスや商品そのものはほとんど登場せず、SNS上ではラブコメディ作品として広く親しまれる設計にしたことで、「おもしろかった」「こういうのを待っていた」といった好意的なUGCが若年層から多数投稿されました。

本取り組みでは、「マンガとして純粋に楽しめるか」を第一に設計し、繰り返しコンテンツに触れることでブランドが刷り込まれる状態を目指しました。結果として、これまでにないほどのフォロワー増加と高いエンゲージメント率を記録。同社の中で、「若年層への認知獲得はSNS経由でも実現できる」という認識が広がり、以降も継続的にXでマンガ施策を実施しています。
マンガコンテンツやショート動画でユーザーからの共感を喚起する、季節の行事や暮らしの工夫(新生活、梅雨、夏休み、受験期など)を扱うなど、身近な「あるある」をお題化することも有効です。ユーザーが商品を語るのではなく、「おもしろかった」「役に立った」「自分でも試したい」という体験を語る中で、自然と商品が想起される設計を目指します。
UGCが出にくい商材は、広告で「確実に届ける工夫」も必要
どれだけ優れたコンテンツを用意しても、ユーザーの目に触れなければUGCの発生には寄与しません。オーガニック投稿だけではリーチが限定され、企業アカウントの投稿が届くのはごく一部のフォロワーにとどまるのが現状です。だからこそ、広告を併用し、確実にユーザーに届ける仕組みを整えることも検討しましょう。
特にUGC施策と広告配信を連動させることで、より大きな効果を生み出せます。たとえば、キャンペーン投稿やマンガなどのエンタメ型コンテンツに対して広告配信を行い、初動から話題を拡散。投稿への反応や保存、フォロー誘導といったエンゲージメントを高めることで、UGC創出のきっかけと参加者の母数を拡大します。
さらに、「UGCが投稿される→それを広告で広げる→さらにUGCが生まれる」という循環を設計すれば、短期的な接触にとどまらず、中長期的なブランド想起や認知拡大にもつなげられます。SNS広告は単なる売上獲得の手段ではなく、ユーザーの認知・想起・検討といったファネル全体を強化する役割も担っています。
施策と広告を組み合わせることで、「コンテンツを発見してもらえる状態」を意図的に設計できます。まずは小さな企画やコンテンツから試し、配信や反応を見ながら改善を重ねましょう。この積み重ねが、やがてブランドを「当たり前に選ばれる存在」へと育てていきます。