リアルなクチコミを生み出すために捉えるべきインサイト
「SNSで話題」につながる投稿を分析した結果、より“リアルなクチコミ”らしさが重要視され、拡散されていることが見えてきました。
ここでは、より”リアルなクチコミ”を生み出すためにどのような投稿内容がユーザーに刺さっているのかを深掘りしていきます。実際のユーザーヒアリング調査でも、同様の傾向が見られています。
- PR投稿ではないか見極めるために、さまざまなキーワードで検索して情報を集める
- 自分ではできないような商品の比較を、何種類も実際にやってくれているのを見ると信頼できる

このように、個人の語りがあるか、情報の確からしさがあるかが重要視されているのです。特にコスメやスキンケアなどの美容商材は、F1層(20~34歳の女性)のインサイトとして、実利的インサイトと情緒的インサイトを満たすことが重要だと考えられます。

F1層が「確からしさ」と「情緒的価値」を求める理由
1つ目の「実利的インサイト」は、特にインターネットネイティブ世代に強く見られる特徴だと考えます。
この世代は日々、膨大な情報に触れており、その中から「本当に自分にとって価値のある情報」や「失敗しない商品」を見極めたいと強く感じています。そのため、単なる商品のメリットだけでなく、実際の使用感がわかるレビューや、他の商品との比較、特定の肌質に合うかどうかの検証など、より具体的な「確からしさ」を求めます。
2つ目の「情緒的インサイト」は、商品を使うことで得られる「心の豊かさ」や「自己肯定感」につながる価値です。
これは、単に機能的なベネフィットだけでなく、憧れの存在が使っているという共感性や、「これをつけていたら褒められた」といった、自身の感情を高めてくれる体験を重視する傾向です。こうした情緒的な価値は、ユーザーの生活に寄り添い、単なる消費を超えた「特別な体験」として記憶されるため、商品への愛着や熱狂的なファンを生み出す要因にもなります。
つまり、F1層は商品の購入において、合理的な判断を下すための「確かな情報」と、自身の感情を満たす「物語」の両方を求めていると言えます。この2つのインサイトを満たす商品や投稿こそが、共感と拡散の連鎖を生み、「SNSで話題」となるのではないでしょうか。
クチコミは「お役立ち」と「共感」から生まれる
今回のソーシャルリスニングから見えてきたのは、「SNSで話題」は偶然生まれるものではなく、「インフルエンサーの投稿」から「リアルなクチコミの拡散」という明確な流れの中で生まれるということです。
特に重要なのは、商品画像やテキストで「実利的な価値」と「情緒的な価値」を同時に訴求し、ユーザーの「リアルなクチコミ」を誘発すること。ハッシュタグに頼れない今こそ、このユーザーインサイトを理解し、クチコミを意識した投稿作りがSNS戦略の鍵となります。
そのためには、ただ商品を宣伝するのではなく、ユーザーの「ハズレを選びたくない」という実利的なインサイトと、「気持ちを高めたい」という情緒的なインサイトの両方を満たす投稿を設計する必要があります。
ユーザーにとっての「お役立ち」情報を、「共感」を以て伝えることで、「SNSで話題」に近づくことができるのではないでしょうか。