日本のPrime Video視聴者の特徴
Amazon Adsは2025年9月4日、日本初開催となる「Amazon Japan Upfront 2025」をパレスホテル東京で実施し、Prime Video広告の新たな広告フォーマット3種類を発表した。
同社のPrime Video VP, Global Video AdvertisingのJeremy Helfand(ジェレミー・フェルファンド)氏は、2025年4月8日から提供を開始したPrime Video広告が、15ヵ国で月間平均2億人以上(※Amazon内部データ、2024年5月)にリーチしていることを明かした。
また、日本のPrime Video視聴者の特徴を挙げた。まず、93%が毎月Amazon.co.jpで買い物をしており、非Prime Video視聴者と比較して広告商品を購入する傾向が33%高い。
特に美容、ファッション、自動車、旅行などプレミアムカテゴリーでの購買が活発で、既知ブランドに対しては22%高い支払い意欲を示している。また、3分の1以上がモバイルデバイスで視聴しているという。

さらに、ストリーミングTV広告とAIの未来について3つの重点領域を提示した。
第1に「エンターテインメント・デスティネーション」として、Prime Videoを視聴者が最初に選ぶエンターテインメントサービスになることを目指す。技術によってコンテンツの質と広告体験の両方を向上させ、視聴者にとって魅力的なプラットフォームを構築するという。
第2の「ユニークオーディエンスへの理解」では、「Amazonのファーストパーティーの購買、閲覧、ストリーミングなどの数兆におよぶシグナルを通じて、視聴者が誰で、何を見たがり、何を購入したがるかを理解し、ファネルの各段階でより関連性の高い広告機会を創出する」と説明した。
第3に「AIによる革新」を掲げ、「生成AIを活用し、より大きなインパクトとパーソナライズされた視聴体験を提供する広告ソリューションを開発する」と未来像を描いた。
現在、シーンレベルのコンテキストを理解し、リアルタイムで関連性のあるダイナミックなカスタマイズメッセージを動画で配信する生成AI技術をテスト中であることも明かした。
3つの新広告フォーマットを順次投入
今回発表された、Prime Video広告の新フォーマットは3つ。
まず、2026年上半期に提供開始予定の「インタラクティブ動画広告」は、視聴者がリモコン操作やスマートフォンによるQRコードの読み取りを通じて、広告商品をAmazonカートに追加したりブランドページへ遷移したりできる。視聴者に能動的な行動を促せることに加えて、アクションのシグナルを効果分析や他の広告キャンペーンに活かせるのが特徴だ。

2つ目は、2026年上半期の提供開始の「インタラクティブポーズ広告」。視聴者が動画を一時停止した際に、画面上にブランドメッセージとイメージ画像で構成された半透明の広告が表示される。広告上部には「Amazonカートに入れる」「スマホに送信」といったオーバーレイも表示される。
3つ目は、2025年内にβ版が提供される予定の「FITO(ファーストインプレッションテイクオーバー)」だ。Prime Videoで動画再生時に最初に表示される、プリロール広告枠を独占配信できるフォーマット。幅広い視聴者層へのリーチが可能なだけでなく、印象に残りやすいタイミングでブランド認知と記憶への定着を促すという。
アマゾンジャパン合同会社 Amazon Ads Principal Video Strategy & GTM, JPの高村幸恵氏は、新フォーマット開発の指針として「視聴者の邪魔をしない自然な形でのモーメント創出」「インタラクティブ性の追求」「ブランドがより自由に表現できる豊かな広告体験」の3点を挙げた。
フルファネル戦略で動画広告市場に本格参入
Amazon Ads ジャパン カントリーマネージャーの石井哲氏は、同社の戦略について「動画広告は、フルファネル戦略の要」と位置づけを説明した。

Amazon.co.jpの開始から25年を経て、販促領域と広告宣伝領域の両方を網羅できる体制が整ったと強調。「我々はAmazon Adsを『フルファネル広告』と呼んでいます。認知を取るところから比較検討、最終的な購買まで並走させていただきます」と述べた。
同社の広告効果を支えるのが、Amazonが展開するサービス上のシグナルだ。石井氏は「Alexa、Amazon Music、Amazonのストア、Prime Video、Fire TVなど様々なタッチポイントが購買を含む数兆のシグナルを生み出している」と説明。
同社は広告効果測定にも注力している。Amazon Marketing Cloud(AMC)を活用し、プランニングから実施、分析、最適化までのPDCAサイクルを一貫してサポート。シグナルを活用した分析により、広告接触経路の特定も行う。
アドテクノロジーでPDCAサイクルを支援
Prime Video視聴者の93%が、毎月Amazon.co.jpで購買行動を行っているという強力な基盤も広告効果を後押しする。
石井氏によると、Prime Video広告とAmazon Adsが提供する他の動画広告フォーマットを複数組み合わせることで、単一で動画広告を利用する時と比較してブランドリフトが182%、検討率が56%、購入率が176%、新規顧客獲得率が230%向上することが確認されているという。
石井氏は、事例としてPrime Video広告、Amazon DSP、スポンサー広告を組み合わせた際の購買率向上を紹介。「Prime Video広告から開始してスポンサー広告、Amazon DSPの順で接触した場合、スポンサー広告単体の利用と比較して933%の購買率向上が確認された」と具体的な数値を示した。

日本におけるPrime Video視聴者の93%が毎月Amazon.co.jpで購買行動を行っている(2023年8月~2024年8月、Amazon内部データ)。
複数の動画広告を組み合わせたキャンペーンでは、ブランドリフト+182%、購入率+176%、新規顧客獲得率+230%を達成(2025年4~7月、日本、Amazon内部データ)。
スポンサー広告とPrime Video広告などを組み合わせたメーカー事例では、購買率が最大900%以上向上(2025年4~5月、日本、Amazon内部データ)
総務省が発表した「日本国内での動画配信サービスの利用率」の調査結果でも、動画配信サービスの利用率は、2019年の17.4%から2022年には52.1%まで拡大する中、同社の取り組みは、ストリーミング時代における広告のあり方に新たな可能性を示すものといえる。
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