AI×インフルエンサーでSNSバイラル化
DoveはCrumblとのコラボレーションにより、「嗅覚」と「ビジュアル」の両面でSNS映えする製品を設計した。Z世代の嗜好とSNSアルゴリズムに適応したプロダクトデザインとなっている。
この施策は、ユニリーバ自身が「文化発のコンテンツ」と位置づけているように、インフルエンサーによる投稿だけでなく、Crumblのファンコミュニティを起点としたユーザー投稿(UGC)が自然に波及した構造になっている。ユーザーの“体験共有”が起点となるような、ソーシャルファーストの設計がなされていたのだ。
@turnuptwinstv Lookie, lookie, lookie it’s Dove and Crumbl cookie #DovePartner @Dove Beauty & Personal Care ♬ original sound - TurnUpTwinsTV
香りを想起させるパッケージ、カラフルなビジュアル、フォトジェニックなボトルデザインなどは、生成AIによって事前に複数パターンを検証・シミュレーションして最適化されている。
また、投稿素材の設計も重要だ。ユニリーバは数万人規模のインフルエンサーに対し、プラットフォーム別・地域別に最適化された画像・動画アセットを配布。これにより、フォーマット崩れのない統一されたブランド表現と、ローカライズされた多様性の両立が可能となった。
この“AI×共感×拡散設計”の三位一体構造が、従来にないマーケティングのスケールを実現したのである。
NVIDIA Omniverseが担う“見えない中枢”
このキャンペーンの裏側には、NVIDIAのOmniverseプラットフォームによる「製品のデジタルツイン化」という先進技術がある。
Omniverseとは、複数の3Dデザインツールと連携可能な仮想空間プラットフォームで、ユニリーバはここに自社製品を完全再現した3Dモデルを構築している。石鹸の形状、ボトルの材質、パッケージラベル、ロゴ位置、さらには香りごとの色味のニュアンスまで、すべてをデジタルで再現している。

このデジタルツインは統一フォーマット(USDファイル)で保存され、AIコンテンツ生成スタジオ「Gen AI Content Studios」とシームレスに連携。プロンプト入力だけで、様々なアセットを自動生成できる。
- SNS向けの縦型動画・画像
- ECサイト用のパッケージ画像
- 地域別・言語別ラベルを含んだカスタマイズ素材
- キャッチコピーやCTAのコピー案
これらが週単位で数千点規模で生成されており、すべてがブランドガイドライン準拠の状態で整備されている。そのため、制作と品質管理の両面において大幅な効率化が実現されている。