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AI時代の「攻め」のMeta活用術(AD)

Meta広告「クリエイティブ疲弊」改善2ヵ月で売上3割増 D2Cアパレル「Lumier」は何をしたか

 Instagram広告で多数のコンバージョンを獲得し、オンラインD2Cブランド「Lumier(リュミエ)」を急成長させてきた3rd株式会社。同社は、Meta社から指摘を受けていた「クリエイティブ疲弊」を改善したことで、わずか2ヵ月で売上額の大幅な増大に成功した。その鍵となった「クリエイティブの多様化」と制作体制の見直しについて、同社ブランドマネージャー小山月夜氏とMeta社 ストラテジックアカウントマネージャー 黄ヒユン氏に話を聞いた。

Instagramをメインチャネルにクリエイティブ×マーケティングで急成長したD2Cブランド「Lumier」

──「Lumier」の概要と、現在展開されているマーケティングコミュニケーションについて教えてください。

小山:Lumierは、ディレクターの金澤楓とクリエイティブディレクターの森洋一郎が2019年に立ち上げた、レディースアパレルのD2Cブランドです。

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3rd株式会社 「Lumier」 ブランドマネージャー 小山 月夜氏
「Lumier」の物流からCS、Instagramのリール撮影までを含めた運用全般を担当

小山:自社ECのみで運営しており、現在は年商20億円規模を目指して成長を続けています。 集客は、Meta広告やLINEを中心にサイト流入を獲得しています。Meta広告を運用する上で特に重視している指標は、「新規顧客の獲得単価」と「LINEの友だち獲得単価」です。

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Lumierのサイト

──Meta広告のクリエイティブ改善に取り組んだ背景として、どのような問題に直面されていましたか?

小山:3~4年前からMeta広告を本格運用していましたが、新規顧客やLINEの友だち獲得のためのCPAがかなり高騰していました。加えて、売れ筋の商品でも販売期間がどんどん短縮化されて頻繁に「売り逃し」が発生していたのです。社内でもこの問題に関して議論される中、黄さんから「クリエイティブが疲弊しています」と聞かされて驚きました。

 クリエイティブ疲弊を起こしていた一番の原因は、「類似度」でした。Lumierでは6年前から同じディレクターが、同じグレーの背景を使って撮影してきたため、MetaのAIには、どの新製品も同じクリエイティブに見えると判断され、パフォーマンスがどんどん低下していたのです。

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一番左が改善前のクリエイティブ。グレーの壁を背景にしたカットがパターン化していた。右がクリエイティブを改善した後
※クリックすると拡大します

撮影手法のテンプレート化で「クリエイティブ疲弊」に

──黄さんは、Lumierが抱えていた課題についてどのように分析されていたのでしょうか?

黄:Metaでは、クリエイティブ投稿時にAIで類似性を判断しています。また、消費者のアテンション変動も注視しています。同じようなクリエイティブを繰り返し同じ消費者に配信すると、“既視感”から興味関心が低下するため、それを避ける必要があるからです。

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Meta ストラテジックアカウントマネージャー 黄 ヒユン氏
アパレルやサプリ、コスメといった有形商材のクライアントを担当

黄:ただ、アパレルや大手ブランドでは、“ブランドらしさ”を追求するあまり、クリエイティブがテンプレート化しがちです。確かに、レガシーメディアの広告クリエイティブではそれで良かったのですが、ソーシャルメディアでは消費者の関心低下に直結します。

 Lumierの場合は、新製品の投入数が増え、投稿量が増えるほど疲弊度が早く限界に達していました。つまり、クリエイティブの「見え方」が類似していると、いくら商品を変えたところで疲弊度はすぐ高まります。そこで「手を打つタイミングですね」と提案しました。

 クリエイティブ疲弊から脱する上では、「クリエイティブの多様化」が必要です。Metaが推奨する多様化とは、たとえばアングルを少し変える程度ではなく、シーンや見せ方を根本から変えるドラスティックな変化を指します

社内に「メディアチーム」を立ち上げ、リール撮影体制を確立

──当時、Lumierにおけるクリエイティブの制作体制はどのような課題を抱えていたのですか?

小山:実は、Lumierのディレクターとクリエイティブディレクターが札幌にいる関係で、リール動画は、通常札幌のスタジオで撮影していました。当時は、Lumierの売上が下がり続け、もっとリール動画に力を入れなければならないと考えていました。

 ただ、札幌の撮影チームもほぼ毎日スチール撮影を行っているのでリール撮影に回すリソースが残っていない状況でした。そこで、「このままじゃダメだ、東京でやろう」と考えを変えたのです。

──方針をどのように変更されたのですか?

小山:その日のうちに、Instagramで約100名に「モデルをやりませんか?」とDMしました。そして、札幌からサンプルを取り寄せて、東京の複数のスタジオで常時撮影できる体制を構築しました。

 カワイイ系やキレイ系、ハーフ系、ショートカット、ロングヘアなど、多様なモデルを起用し、どのペルソナや見せ方が売上につながるかテストしながら、背景や撮影テーマのバリエーションを増やしました

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現在は、8名ほどのモデルを常時起用。「冬のおすすめコーデ」といったシーズナリティ動画、日常のワンシーンを切り取った動画、スタイリングTipsなどの多彩なクリエイティブに取り組んでいる

──具体的に、どのようにクリエイティブをブラッシュアップしていくのですか?

 たとえば、ダンスを試して数値が良かったとします。その次に、2人組のモデルを撮影して、これも良かった。そしたら2人組でダンスを試す、といった具合です。このように、勝ちパターンをパズルのように組み合わせています。

 ほぼ同時期に、社内で「メディアチーム」が立ち上がったのも追い風となりました。メディアチームは、感覚軸から海外でバズっているテンプレートや新たな構成要素を試してくれて、その中で数字が出たものを運用側が再利用します。

 そして、そのクリエイティブが疲弊し始めたタイミングで、またメディアチームが見つけてくれた新たなクリエイティブへと切り替える。そうすれば、売上を作りながら新たなクリエイティブにチャレンジし続けられます。この運用とメディアの二軸体制がLumierでは非常に効果的でした。

──配信設定の面で方針を変えたことはありますか?

小山:Meta推奨の配信設定を守るようにしました。実は、売上の初速を確認してからキャンペーン予算の設定を急遽変更するという非推奨の運用を続けていたのですが、状況の悪化を機にやめました。

黄:以前はまるで、デイトレーダーのように予算を変更されてましたよね(笑)。

売上額は30%増、CV数1,000を超えるリールも出現

──方針転換後の成果についても教えてください。

小山:2025年3月からクリエイティブの多様化に着手してすぐ、まずはクリエイティブの疲弊度がかなり下がりました。そして売上に関しては、2ヵ月後の5月時点で予算比130%を達成しました。

 今はリール動画を月200本制作する中で、伸びるリール動画の場合、1本でCV数が800〜1,000に達することもあります。方針転換前にはそんなリール動画が1本もなかったことを考えれば、かなりの成果だといえますね。

黄:特に、リール動画の反応が高かった月の新規獲得数が顕著でしたね。

小山:そうなんです。最近は認知とトラフィック向けの配信も始めましたが、リールとの相性が非常に良く効果を実感しています。今年は、Meta推奨の配信設定にしたこと、認知・トラフィックへの投資、クリエイティブを多様化させたこと。この3本の軸が見事にハマり、成果につながりました。

 結果として、新規獲得単価と友だち獲得単価がともに低下しました。重視していた指標が軒並み改善し、ご提案内容が非常に有効だったのを実感しています。

ビジュアルで勝負しづらい業界こそクリエイティブの多様化が重要

──Lumierが実践した、クリエイティブの疲弊度を改善する「クリエイティブの多様化」は、他の企業にとっても有効な施策ですか?

黄:もちろんです。実は、アパレルブランド以外の業界こそ、もっとクリエイティブの多様化に取り組むべきだと思っています。アパレルはビジュアルで差別化しやすいのですが、たとえばサプリやコスメは、ビジュアルで見せられるのはブランド名とパッケージくらいで、訴求内容も似通いがちです。

 消費者にとって無限の選択肢がある中で、他社と似た訴求とビジュアル、しかもそれがワンパターンでは、特にソーシャルメディアでは賢い戦い方とは言えませんむしろビジュアルで勝負しづらい業界だからこそ、クリエイティブの多様化が重要なのです。

「何もしないことが最大のリスク」圧倒的なスピード感の秘訣

黄:ここ数年で痛感しているのは、従来のマーケティングの考え方がソーシャルメディアでは全く通用しなくなったということです。

 かつては、テレビを中心としたマスメディアが主流であり、「多くの人に同じブランドイメージを持ってもらう」ことが重要視されていましたが、今は違います。パーソナライズされたアルゴリズムの普及により、多様な価値観を持つユーザー1人ひとりに対して、ブランドの多様な面を見せることで、エンゲージメントを高めることが可能になりました。ただ、この意識転換は容易ではありません。私も、クライアントの社内説得に時間を割くことが多いものです。

 Lumierは3月に方針転換し、5月には結果を出されました。スピード感に加え、クリエイティブの質を保ちながら投稿数を担保し、ナレッジを全ブランドに横展開した点が素晴らしい。クオリティを保ったままPDCAを高速で回せている企業は、日本でも稀です。

画像を説明するテキストなくても可

小山:そのスピード感の背景には、3rd特有の組織文化があります。当社には「承認」という概念がなく、マネージャーが良いと判断すれば即実行できます。「何もしないことが最大のリスク」「失敗はプラス」という考え方が浸透しており、社内説得のプロセスが不要なことが強みだと思います。

──最後に、今後の展望について聞かせてください。

小山:Lumierは今後、海外展開を進めていきます。2024年5月に海外から注文が入ったことをきっかけに、台湾と香港向けに広告配信を開始したところ、意外と売れることがわかりました。そこで、2025年6月には台北でポップアップを実施し、Lumierとアジア圏の親和性を実感しています。ゆくゆくは、中国やシンガポールに展開し、さらなる成長を遂げたいです。

黄:Lumierの事例が示すように、媒体への理解に基づいた戦略があれば、Metaではパフォーマンスのポテンシャルを大きく引き出せます。今後も、広告主の皆様の媒体理解を深めていただきながら、そのポテンシャルを最大化するサポートをしていきたいと考えています。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Facebook Singapore Pte Ltd

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/03 11:30 https://markezine.jp/article/detail/50062