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グローバルの風向き、トレンドを知る。海外カンファレンスレポート

CES2026参加者の「必須確認項目」――出張準備の前に読んでおきたいCES攻略のポイント

CES2026で注目すべき技術・産業領域

 ここで筆者が考える、CES 2026で注目すべき技術・産業領域もいくつか紹介しておきます。

フィジカルAI

 「フィジカルAI」と一言で言っても、「ヒューマノイド型AI:人のように歩き、話すロボット」「産業・物流ロボット型AI:工場や倉庫でモノを運ぶロボット」「AIエージェント型ロボット:音声や表情でコミュニケーションし、話すロボット。接客や介護、教育分野などでの実用化」と色々あります。

 CES2025でも、ロボットは多数展示されていました。特に、NVIDIAの基調講演で登場した2足歩行ロボットは、「14体(14社)」も並んでいました。CES2026に出張する方は、これら「14体」のロボットの名前、製造会社、そして本社がどこの国かは、12月までに覚えておくことをおすすめします。14社の中には既に日本企業との協業、提携している企業もあります。

モビリティ/EV 

 ヒューマノイドの製造は、自動車製造と共通する点が多くあります。自動車メーカーの視点で、「2足歩行ロボットが4足歩行ロボットになったら?」「足が車輪やローラーになったら?」などをイメージしておくとよいでしょう。さらに、ドローンの延長で、空を飛ぶ車をイメージすれば、会場内のブースから学べることや新しい気づきはまだまだたくさんあるはずです。

AI×デジタルマーケティング(C-Space)

 CES2025では、生成AIに関しては「クリエイティブ」「メディアバイイング」「バックオフィス」領域の話が多かったのですが、AIエージェントが関与してきた際のデータ利活用、リテールメディアの動向は、この1年で激変していることが予想されます。  

 生成AIにより、SEO(Search Engine Optimization)からGEO(Generative Engine Optimization)、LLMO(Large Language Model Optimization)へと移行している今、北米市場の最新のトレンドや生の声を拾いたいものです。

マーケティング関連のコンテンツの中心地「C-Space」会場
マーケティング関連のコンテンツの中心地「C-Space」会場

ヘルスケア/ウェルネス/エイジテックなど

 主催者が強調するエイジテック、ヘルスケア関連は、今後ますます成長が期待されています。「PHR(Personal Health Record:生涯にわたる個人の健康・医療に関する情報)」「EHR(Electronic Health Record:電子健康記録)」「EMR(Electronic Medical Record:電子カルテ)」なども理解しながら進めていく必要のある領域であり、国ごと・業界ごとに様々な意見もあります。

 また、個人の認証、個人情報保護に深く関係する領域でもあります。日本では近年顔認証がポピュラーになってきましたが、私はCES2026では「静脈認証 (vein authentication)」と「虹彩認証(iris authentication)」に注目しています。

その他の新潮流

スマートホーム、XR/メタバース

 実はとても広いスペースで展示されているのがスマートホームです。この業界では、家電やキッチン、セキュリティ関連までがメーカー間の垣根を取り払い、消費者にとってより自由で便利な環境を構築するために進めている共通規格「Matter」に注目が集まっています。

 Connectivity Standards Allianceの活動が活発になり、日本支部も誕生しました。アライアンスには北米はもとより欧州、中国、韓国企業も多数参加しています。LVCCの会場内で「Matter」のロゴマークを見つけたら、関心を持って、ブース内に入っていくことをお勧めします。

Matterロゴ
Matterロゴ
XR/メタバース

 CES2025で、行列ができていたのがスマートグラスの「Ray-Ban Meta」でした。VRヘッドセットとしての「Meta Quest 3」はデフォルトになってきた感がありますが、生成AIとの融合でXR/メタバースの領域に何が起きているのか、あまり日本では情報が入ってきていないように感じています。

CES 2025 Day 2: Meta Ray-Bans, Razer's Project Arielle, VR Chair & more!

 没入感(イマーシブ)というキーワードが当たり前になってきた中で、「Ray-Ban Meta」「Meta Quest 3」のバージョンアップ、コラボする企業の新しい用途の開発などが見込まれます。フィジカルAI、ヘルスケア/ウェルネス/エイジテックに関連するソフトウエアとのコラボも注視し、試着、装着の機会があれば、積極的にトライしましょう。

復習(20%)の重要性:ホテルに帰ったら、まずやること

 ホテルに戻ったら、日々、名刺整理を行いましょう。ブースのスタッフの方も、1日数十名とのやりとりをこなして、スキャンによる登録、訪問時の目的などを担当者にフィードバックするために作業していますが、自分も含め双方の記憶力には限界があります。

 ホテルでは以下の4点を必ず行ってください。

1.即日整理:その日の夜に「印象に残った展示・人物・示唆」を3点メモ

2.名刺のデジタル化:LinkedInで一括管理

3.社内共有フロー:Slack/Teams速報:写真+短文。後日のレポート用のパワポにはテーマ別/企業別に編集。写真などは貼り付けだけ先に行っておきます。

4.顧客・社外共有の工夫:社内レポートで終えない。マネタイズへのロードマップをパワポでまとめるように意識します。

CESを成果に変えるために、会社代表としてCESに挑む意識を持とう

 繰り返しになりますが、見学者ではなく、「次の事業・顧客・市場を見つける会社代表」としての意識を持ちましょう! 最後にまとめたいポイントを確認します。

•「予習50%/会期中30%/復習20%」を徹底し、帰国後に具体的なアクションへと落とし込むこと、レポートをまとめる意識を持ちましょう!

• CESは観光ではありません。マーケティングとマネタイズの武器を獲得する場として、見学で終わらせず「次のアクション」に結びつけることです。

• CESで得た示唆、ヒントを日本国内市場・顧客提案にどうつないでいくか、マネタイズのヒントを見つけ、自身の事業部に持ち帰り、先輩、後輩に報告すること。ここまでゴールだと思って、取り組みましょう。

 そのためのサポートが必要であれば、弊社にお声がけください。出張前の予習、つまり12月中に作業しておくことは、ご自身のゴール設定で、より高みを目指すことが可能となります。

 改めての質問です。

 「What’s the purpose of your visit? (今回の訪問の目的は何ですか?)」

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この記事の著者

菊地 伸行(キクチ ノブユキ)

株式会社デジタルマイス 代表取締役社長

日本経済新聞社入社後、アメリカ西海岸に駐在。帰国後、日経電子版、デジタル、グローバル、メディアビジネスの業務を担当。現在は株式会社デジタルマイス代表取締役社長として、広報・宣伝のデジタルでの情報発信の支援を行う一方、コラム執筆や講演活動を行う。CESに関しては出張前の準備のための講演「CES2026~2025年12月までにできること~」や視察レポート等マーケティング支援を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/11/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50127

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