社内でマーケティング予算が承認されるために
マーケティング活動において、CFOや財務担当者などの社内から効果を理解され、予算を確保することも必要となる。細野氏は、成果を出すために必要な予算獲得の考え方として、「1、KGI/KPI設定目標を明確に」「2、施策実施コストを明確に」「3、ROIを算出」の3つを挙げた。
加えて、最適な予算配分のために意識したいポイントとして、「1、KPI設定/コストの算出データ」「2、施策の優先順位」「3、施策実施後の効果検証」「4、施策効果と柔軟な配分」の4つを挙げた。
実際、どのように算出しているのだろうか。ゴンドラが手がけたBtoC企業のLINE友だち登録を目標とした事例では、KGI(LINE経由の売上目標)を3億円とした。
まず、既存の友だちの獲得単価と顧客単価(LTV)、新規友だちのCVRを割り出す。そして3億円から既存の友だちの売上を引いた額2.4億円をまかなう新規友だちの人数と、その獲得にかかる予算を計算する。その結果、必要な新規友だち数は約23,000人、獲得予算は約930万円となった。さらに費用対効果(新規売上に占める広告費の割合)を3.81%と算出した。「2.4億円の売上を作るためのコストが4%弱で済む」という具体的な根拠を示すことで、財務担当者に対しても「この投資は利益を圧迫せず、確実にリターン(ROAS)が見込める」と判断させる強力な説得材料になる。
「当社では、どこがKGIで何がKPIかを具体的に算出してお見せできます。そうすることで、CFOや財務担当者がマーケティング予算の必要性に納得し、社内で投資してもらえるようになります」(細野氏)
理屈だけでなく感覚も重視した取り組み
ことリテール業界においては、マーケティングの成果は「買ってもらってなんぼ」だと言える。ゴンドラではデータやツールに基づく施策だけでなく、KPIを考慮したロジックにコンシューマーの感情創出を掛け合わせ、クリエイティブに落とし込む活動もしている。
「たとえばブランディングでは、しっかりとストーリーを立ててコピーやビジュアルの制作をします。昨今はSNSの運用代行の引き合いも多くなっていますが、動画も含めたコンテンツの制作から手掛けることもできます。しっかりとお客様が気づいていない価値を引き出したい、あるいはお客様のお客様がまだ気づいていない価値を引き出したいと考え取り組んでいます」(細野氏)
最後に、細野氏は「なぜ私たちはそこまでやるのか。それは、お客様のゴールが私たちのゴールだからです。そのために一気通貫でご支援していきます」と力強く述べ、講演を終えた。

