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MarkeZine Day 2026 Spring

COLUMN

Z世代とY世代、時代の変化を比較 「合理的すぎる若者像」と体験・効率・安心重視の消費行動を紐解く

2.Z世代は「体験・消費」に積極的?

検証する仮説:Z世代はモノよりコト、体験型消費を好む

 Z世代は、「推し活やフェスにお金を惜しまない」「高級ブランドより旅行やライブにお金を使う」といった、“モノ”よりも“コト”を重視するイメージを持たれているのではないでしょうか。ここでは、Z世代が旅行やイベント、グルメなどの体験に価値を見出す傾向があるのかについて、余暇の過ごし方や購買行動のデータをもとに検証していきます。

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月2回以上の外食率は全体的に増加傾向にあり、Y世代、Z世代ともに全体平均を大きく上回りました。
「グルメ・食べ歩き」への関心は全体的に増加傾向にあるものの、Z世代は17.8%と高い関心を示しています。

 データからもわかるように、2009年と比較すると外食の頻度は全体的に上昇しています。

 その一方で、Z世代に特有の傾向として際立っているのは、グルメや食べ歩きなどの体験型消費への関心です。

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読書率は全体的に大きく減少しており、Y世代、Z世代ともに全体平均を下回る傾向です。
家庭菜園の実施率も全体的に減少傾向にあり、Y世代、Z世代ともに全体平均を大きく下回る結果で、Z世代は2.3%と極めて実施率が低いです。
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コンサートへの参加率は全体傾向で横ばいですが、Y世代が全体平均と同程度だったのに対し、Z世代は全体平均を大きく上回る22.4%と活発に参加。
国内旅行の実施率は全体的に微増傾向にありますが、Y世代が全体平均をわずかに下回ったのに対し、Z世代は全体平均を上回る28.4%と意欲的です。

 読書や家庭菜園などの比較的インドアの活動は時代とともに減少している一方で、コンサートに行くことや2泊以上の旅行などのアクティビティに参加する人が多いことは、Z世代特有の傾向であることがわかります。

検証結果:Z世代は「体験型消費」に積極的。しかし消費全般に積極的とはいえない

 「グルメ」「コンサート」「旅行」などの体験型消費において、若年層で特に増加していることがうかがえます。これにより、“体験”に価値を感じる傾向があることが読み取れます。

 消費傾向に関する補足として、別のデータをご紹介します。

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持ち家志向は全体的に減少傾向にあり、Z世代では39.4%に。
気に入ったものへの出費意欲は全体的に横ばいですが、Z世代はY世代と比較して5.0ポイント減少しています。

 自分の家を持ちたいと考える人は全体的に減少しており、時代とともに趣向が変化しています。

 Z世代は「体験型消費」に積極的ですが、それは“選択的”です。グルメ・コンサート・旅行など比較的手の届く体験には支出を惜しまない一方、物の所有には慎重な姿勢を示します。このバランス感覚こそがZ世代を特徴づけるポイントで、Z世代の体験型消費は、合理性と併せて考える必要があります。

 体験を楽しむ一方で、金額やリスクを冷静に天秤にかけるバランス感覚こそが、Z世代の消費行動を特徴づけています。

3.Z世代は「個人主義」で家庭や結婚にこだわらない?

検証する仮説:Z世代は結婚や子育てを「義務」とは考えず、家庭観よりも個人の自由を優先する

 Z世代は「結婚しても子どもを持たない選択をする」「家庭より自分の生き方を優先する」といった個人主義のようなイメージを持たれているのではないでしょうか。昨今は未婚率の増加、出生率の低下などが広く知られておりますが、家族観に関するデータから順に検証していきます。

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夕食後の家族団らんの実施率は全体的に減少傾向。
「幸福な家庭」への志向も全体的に大きく減少しています。
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子どもはつくらなくてもよいとする考えは全体的に大きく増加。「恋愛・結婚」への関心は全体的に微減していますが、Y世代の26.3%に対しZ世代は16.5%と大きく関心度が低下しています。

 時代全体の傾向として家族団らんの時間が減少し、幸福な家庭への憧れも低下しています。そのため、必ずしも家庭を築く必要性が薄れている可能性があります。さらに、結婚しても子どもを持つことが必須ではないという多様な価値観が全体的に浸透しているようです。Z世代では、恋愛や結婚への関心が薄れてきている傾向がうかがえます。

検証結果:Z世代は「個人主義」で家庭や結婚にこだわらないといえる

 Z世代は家庭よりも個人志向が明確で、Y世代が重視した「家庭的価値」や「家族団らん」の重要性が低下しています。自分のスタイルを優先しがちな傾向について、別のデータをご紹介します。

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在宅勤務志向は全体的に増加傾向にあり、Y世代、Z世代ともにそれぞれの全体平均を上回る結果に。
定職にこだわらない意識も全体的に増加傾向。両世代ともに全体平均を上回る結果となりました。

   定職や出社などの“従来の標準的な働き方・生活の枠組み”よりも、自分のスタイルを優先する傾向が見られます。時代全体として、結婚・出産を「必須」とする意識が低下傾向にありますが、Z世代ではさらに一歩進み、「恋愛・結婚」という価値観そのものを相対化している点が特徴的です。家庭を安定基盤とみなしてきたY世代と比較して、Z世代にとって「恋愛や結婚や子育ては選択肢のひとつ」に過ぎず、より個人の生き方や自分のスタイルを優先する傾向が読み取れます。

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4.Z世代は「健康意識」が高い?

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この記事の著者

野口 宗矩(ノグチ ムネノリ)

株式会社Skyfall リサーチ事業部 リサーチ本部 本部長 執行役員待遇
他業界を経て2015年から総合調査会社にてリサーチャーとしてマーケティングリサーチ業に従事。マーケティング支援会社で更に経験を積み、2022年DataLab株式会社を起業。代表の一人。リサーチャー組織を構築し、多くの企業の課題解決・戦略決定を支援...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50170

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