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COLUMN

Z世代とY世代、時代の変化を比較 「合理的すぎる若者像」と体験・効率・安心重視の消費行動を紐解く

4.Z世代は「健康意識」が高い?

検証する仮説:Z世代は食生活や体調管理に敏感で、予防やウェルネスに投資する傾向

 Z世代は「ジムやフィットネスに通う」「サプリや健康食品で体調管理する」など、健康に対する意識が高いイメージを持たれているのではないでしょうか。健康意識は行動にも影響を与えているようです。まずは、健康にまつわる行動に関するデータから検証します。

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飲酒率は全体的に減少傾向にあり、Y世代、Z世代ともに全体平均を下回る結果となりました。
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「スポーツクラブ・ジム」の利用は全体傾向で横ばいとなり、Y世代・Z世代間でも大きな変化はありませんでした。
サプリメントや健康食品で栄養を摂取していない割合は全体的に低下しており、世代間で比較しても低下しています。

 全体的に飲酒率や喫煙率は低下しており、全世代に共通する変化が見られました。スポーツジムに行く人の割合は大きな変化が見られない中で、サプリメントや健康食品で栄養を摂取する人は増加しています。

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健康維持のためならお金を使いたいと考える割合は全体的に増えていますが、Y世代が全体平均を下回っていた一方で、Z世代は全体平均と同程度となりました。
定期的に病院に行く割合は全体的に増加しており、特にZ世代は13.5%とY世代を5.9ポイント上回る結果となりました。
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食事を気にしない層は全体的に微減していますが、世代間でみるとZ世代は34.6%と減少幅が大きくなりました。
ウォーキング実施率は全体的に微増していますが、若年層は全体平均を下回る傾向にあり、Y世代の8.7%に対しZ世代は13.8%と実施率が上昇しています。

 Z世代特有の傾向として、健康維持にお金をかけたいという意識が高まっており、その意識からか定期的に病院に行く人も増えています。また、日常生活においても食事で体重を気にしたり、ウォーキングする人が増えるなど、ライトな健康志向が広まっていることがうかがえます。

検証結果:Z世代は「健康意識」が高いといえる

 Z世代は、生活習慣のリスク回避や健康への投資に積極的であることが読み取れます。一方で、ジムに行く人は増えておらず、ウォーキングなど無理なく続けられる範囲での行動が中心です。さらに全体として、飲酒・喫煙率の低下に見られるように健康志向は高まっていますが、その上でZ世代は、軽運動・サプリ・健康を念頭に置いた“食生活”を取り入れるなど、積極的に「健康投資」を行う傾向が見られ、持続可能な形で健康を維持しようとしています。

5.Z世代は「社会問題や政治」に関心が強い?

検証する仮説:Z世代は政治や社会課題への関心が強く、特に環境問題などのテーマは反応しやすい

 Z世代は「社会問題に敏感」で、「政治的な発言がムーブメント」につながることも多いとされます。ここでは、社会問題への関心についてデータを検証します。

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「国の政治」への関心は全体的に大きく減少しており、Y世代、Z世代ともにそれぞれの全体平均を下回る結果ですが、Z世代は23.9%と特に低い関心度です。
「国の経済」への関心も全体的に大きく減少しており、Y世代、Z世代ともにそれぞれの全体平均を下回る結果ですが、Z世代は23.4%と低い関心度です。
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「国の外交」への関心は全体的に減少傾向にあり、Y世代、Z世代ともにそれぞれの全体平均を下回る結果に。
「地球環境問題」への関心も全体的に減少傾向にあります。

 全体として、政治・経済・環境問題に対する関心は低下しています。

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「エネルギー資源」への関心は全体的に大きく減少しており、Y世代、Z世代ともにそれぞれの全体平均を下回る結果ですが、Z世代は6.4%と極めて低い関心度です。
家電の省エネ性能の重視も全体的に減少傾向にあり、Y世代は全体平均を下回ったのに対し、Z世代はさらに低下し15.2%と省エネへの意識が低い傾向が見られます。
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「地域のリサイクル活動」実施率は全体的に減少傾向にあり、Y世代・Z世代も全体平均を下回りました。
高齢者の医療費負担への賛同は全体的に増加傾向(+4.4ポイント)だったものの、Y世代と比較しZ世代は8.5ポイントと伸びました。

 エネルギー問題についても同様に、全体として関心は低下しています。この傾向は社会全体に共通しており、Z世代特有のものではありません。一方で医療費の負担など、自分に直接影響があるテーマについては、Z世代なりの意見や考えを持っている傾向が見られます。

検証結果:Z世代は「社会問題や政治」に関心が薄いといえる

 大きな社会課題への関心は時代全体で低下している一方、特に20代では「医療費負担」など自身の損得に直結する身近なテーマへの関心は高いことがうかがえます。社会全体では政治から距離を置きながらも、自身に損失の可能性がある事柄には敏感に反応し、「個人を守ること」に焦点を絞っていることが読み取れます。この傾向は、健康意識における行動パターンとも共通しています。

総括.データで見る、Z世代攻略のヒント

 Z世代の特徴は単なる若者像ではなく、社会全体の変化を最も純化して示す存在である点にあります。家庭観の希薄化、効率的な食や住まいの選択、政治・社会問題からの距離を置くことは時代的傾向である中、その上でZ世代は「体験投資」「合理性の徹底」「個人の安心」を行動の基準にしています。

 マーケターにとって重要なのは、この傾向を「Z世代特有の一過性」と片づけないことです。彼らの行動様式は次第に他世代にも広がり、未来市場の標準基準になる可能性が高いといえます。すなわち「所有から利用へ」「義務から選択へ」「社会から個人へ」。

 この変化を踏まえ、商品設計ではサブスクやシェアリングサービスの導入、サービス開発では効率性や安心感の付与、コミュニケーションでは個人の納得感や体験価値の明確化が求められます。Z世代の合理性と体験志向を同時に満たす戦略が、今後の市場攻略におけるカギとなるでしょう。

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この記事の著者

野口 宗矩(ノグチ ムネノリ)

株式会社Skyfall リサーチ事業部 リサーチ本部 本部長 執行役員待遇
他業界を経て2015年から総合調査会社にてリサーチャーとしてマーケティングリサーチ業に従事。マーケティング支援会社で更に経験を積み、2022年DataLab株式会社を起業。代表の一人。リサーチャー組織を構築し、多くの企業の課題解決・戦略決定を支援...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50170

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