【事例:食品メーカーB】SNSデータを基にしたリブランディング
続いて、大手食品メーカーBのリブランディングに関する事例が紹介された。
【課題】「小腹を満たす」というコンセプトで商品Bを展開していたが、実際の消費シーンや目的に関して、明確な根拠に基づいた理解ができていなかった。
現状を把握する目的で、ユーザーの属性分析調査を実施。従来の肌感覚に頼った推測ではなく、AIを活用したソーシャルリスニングによってユーザー群を抽出し、クラスタリング分析を行った。その結果、健康志向、筋トレ、ボディメイクといった運動後の摂取を目的とした層が相当数存在することが判明した。ブランドが気づいていなかった、ユーザーにとっての商品価値が明らかになったのだ。

このインサイトを鑑み、従来の「小腹を満たす」という商品メッセージから、健康志向食品としての機能訴求へとシフトすることを決定。プロテイン含有量などの具体的な栄養成分を前面に押し出したメッセージングに変更し、健康志向層へのリーチを拡大した結果、購入率およびリピート率の向上につながったという。
AI上でブランドがどのように語られているか
以前からソーシャルリスニングの重要性は認識されていたが、前述の事例のように、AIを活用することで、分析のPDCAをより早く回していくことが可能になる。さらには、生活者の多くが情報収集やリサーチを目的に生成AIを活用していることから、「AI上でどのようにブランドが語られているか」を認識することが、顧客理解において欠かせない。
そこで注目したいのが、Meltwaterが展開する「GenAI Lens」である。GenAI Lensは、ChatGPT、Gemini、Perplexity、Claude、Grok、DeepSeekなどの主要なAIアシスタント/LLMにおいて、自社のブランドや製品、競合がどのように言及されているかを収集・分析する。LLMの回答内容を取得し、それがどこから情報を取得しているかも可視化できる。

【主な活用例】
・生成AIツールにおけるブランド・製品のモニタリング
・ブランド認知や炎上リスクの早期検知や管理
・PR戦略やメディアアプローチの最適化
・競合分析やインテリジェンス収集
・AEO(Answer Engine Optimization)/GEO(Generative Engine Optimization)対策
・特定ブランド・業界・テーマのカスタムモニタリング
最後に、髙橋氏は今日の講演のポイントを三つにまとめ、セッションを締めくくった。
「一つ目は、選ばれる理由は社内データだけでは見えてこないということ。外部データに注目することで、お客様のリアルな悩みや声を把握できる。二つ目は、ソーシャルリスニングでインサイトを可視化すること。SNSや口コミから、選ばれる理由や選定要因を発掘していく。三つ目は、生成AIと外部データの組み合わせで打ち手を加速できること。効率的にインサイトを導き出し、それをアクションにつなげるためのAI活用が、今後のブランド戦略の鍵となる。Meltwaterでは学びやインサイトが得られる情報を伝えていきたい」(髙橋氏)

