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サイト訪問者の99%を逃す“機会損失”に終止符を。CVR1%の壁を壊す「対話するWebサイト」の力

 多くのBtoB企業がWebサイトからのリード獲得に注力する一方、そのコンバージョン率(CVR)は平均1%未満と言われることが多く、実に99%の訪問者を逃しているのが実情だ。この「当たり前」とされてきた現実は、マツリカが提唱する新概念「AIドリブン・グロース」によって解消できるという。その概念を具現化するマーケティング・営業AIエージェント「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」は、導入企業のウェブサイトで「CVR1.8倍」などの成果をあげている。本記事では、長年BtoBセールステック事業を牽引し、米国の最新BtoBマーケティングにも精通する事業責任者の中谷真史氏に、CVR1%の壁を壊す「AIドリブン・グロース」の全貌と、いかにしてWebサイトからの「見込み顧客を2倍にする」のかを、具体的な事例を交えて伺う。

AIエージェントが目指す「バイヤーイネーブルメント」

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、中谷さんの現在の事業ミッションを教えてください。

中谷:マツリカではカスタマーサクセス統括やセールス&マーケ統括、事業開発を経て社内起業を2度経験しました。1度目は“日本初のデジタルセールスルーム”である「Mazrica DSR」の立ち上げです。そして2度目が、マーケティング・営業AIエージェント「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」のリリースです。私はプロダクトオーナーとして、ビジョンや機能の定義、そして事業全体の統括をミッションにしています。

株式会社マツリカ BizDev 中谷 真史氏
株式会社マツリカ BizDev 中谷 真史氏

MZ:「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」開発の背景には、どのような課題感や想いがあったのでしょうか?

中谷:前提にある最大のテーマは「バイヤーイネーブルメント」の実現です。売り手と買い手の間に情報格差がある時、売り手が優位だと不適切な押し売りや誤情報が増え、逆に買い手が過剰に優位だと過剰要求やカスタマーハラスメントが起きてしまいます。

 そうではなく、両者のパワーバランスを取って情報格差を整え、買い手が主体的になって適切な検討推進・購買決定ができるような環境を作ることが大切です。その観点で見ると、日本のBtoB企業のWebサイトは大きな課題があると考えていたのです。

なぜ日本のBtoBサイトは「99%の機会損失」が起きているのか?

MZ:具体的には、どのような課題でしょうか?

中谷:日本のBtoB企業のWebサイトは、問い合わせなどに結びつくCVRは平均約1%未満と言われることが多いです。米国だとCVRはその2倍以上とされるデータもあり、明らかに日本のBtoBサイトは低い傾向があるのです。

 CVRが低い背景には、日本的な「人に価値を持たせる」営業観があると考えられます。直接人が会って信頼を築くことが価値だという思想が強く、人に会ってもうらために、Web上の情報開示は控えめにしてしまっているケースが多くあります。すると、その企業やサービスを知ったばかりの人や、少し興味がある程度の来訪者は、情報が少ないため関心も高まらず、わざわざ問い合わせせずに離脱してしまいます。これではナーチャリングが機能しづらく、ハウスリストからの再CVも伸びません。つまり、「情報を出さない」という姿勢が、CVR低迷の構造を生んでいるのでしょう。

 また、CVRが低い背景のもう一つに、Webサイトの技術や法規制上の限界があります。現在のWebサイトでは、サイト訪問者一人ひとりに対して、本当の意味で情報を出し分けるというパーソナライズされた体験を作ることは不可能です。どんな訪問者が来ても、一律で同じ情報を出し、訪問者に読み解いてもらうという、いわばWeb上に置かれた「ただの看板」になってしまっています。個々の関心に即した「最適な体験」を提供できないこの状態が、結果としてCVRの向上を阻む大きな壁となっているのです。

「AIドリブン・グロース」の全貌:顧客接点にもたらす変革

MZ:そうした状況のなかで、マツリカは「AIドリブン・グロース」という概念を提唱されています。このAIドリブン・グロースという概念と、それがBtoBマーケティングにもたらすインパクトを教えてください。

中谷:AIドリブン・グロースとは、字義どおり「AI主導で企業・事業成長を実現すること」です。

 「グロース(成長)」というところが重要な点です。特に日本ではテクノロジー・AIへの投資が、社内業務の「効率化」「コスト削減」のために採択されがちですが、本来はトップラインを上げるための直接的な投資でなければなりません。人間の社内的な業務の工数削減に留まらず、顧客接点においてもAIが判断し、AIが実行することによって、人間が使える「1日8時間」という枠を超えた成長を実現できる投資となります。

画像を説明するテキストなくても可

MZ:「AIドリブン・グロース」がBtoBマーケティングにもたらすインパクトはどんなものでしょう?

中谷:BtoBマーケティングにおけるAIドリブン・グロースの鍵は、「人間がやって当然」という枠を外し、AIによって顧客接点の体験を改善していくことにあります。

 特に改善余地が大きいのは、企業と顧客の最初の接点となりうるWebサイトやコンテンツです。検索などで企業・サービスを知って、そこから一番最初にたどり着くWebコンテンツや記事、資料などを含め、情報収集のあり方や顧客体験を改善していくことが、一番最初に着手すべきポイントだと考えています。

MZ:これはグローバル的な流れなのでしょうか?

中谷:グローバル的な流れです。たとえば2024年から2025年にかけてセールス&マーケティング領域で非常に注目された言葉に「AI SDR(Sales Development Representative)」があります。

 米国の最先端の(Inbound)AI SDRは、顧客が自社サイトやコンテンツに触れた瞬間に、AIがインサイドセールスとして接客を始めます。顧客とコミュニケーションを取りながら、コンバージョンへ誘導したり、営業へつないだりして、パイプラインを増やすのがミッションです。つまり、いかにWebサイトの「入口」で顧客の離脱を防ぎ、顧客体験と問い合わせ獲得数を上げるか、という点にAIが活用されているのです。

CVR向上に加え、質の高いゼロパーティーデータの獲得も

MZ:「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」は、まさにその最初の顧客接点を担うエージェントなのですね。具体的にどのようなものなのか教えてください。

中谷:「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」は顧客接点に介在し、最適な情報・コンテンツをお客様に届けるAIエージェントです。

 お客様に情報を届ける経路は、大きく2つあります。1つはWebサイト来訪時にAIが接客するという経路です。もう1つは、インサイドセールスや営業/マーケが資料を提供する際に、AIが説明・追加提示・ヒアリングといった一連の顧客対応まで担う経路です。今回は、Web体験を中心に特長を説明します。

 Webサイトの接客といえば、「従来のチャットボットと何が違うのか」と疑問を持たれる方もいるかもしれません。最大の違いは、「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」は「人間らしい自然言語コミュニケーションで接客すること」です。

 人が事前にシナリオを細かく作るのではなく、お客様への説明に必要な資料やナレッジを投入すれば、AIエージェント自身が自律的に「今どの情報を出すか」「お客様にどんなことを伺うか」を判断し、対話して適切な情報を届ける。従来のチャットボットが一問一答形式で、決められた回答しか答えられないのに対し、AIエージェントは、状況に応じて適切なヒアリングをしながら、パーソナライズされた情報・コンテンツを提供します。これにより、お客様の理解度を上げたり、「もっといろいろな情報が欲しい」という意欲をわかせたりする存在です。

「Mazrica Engage」活用イメージ(クリックで再生)

MZ:そうした顧客体験の向上により、商談化率や売上向上につながっていくのですか?

中谷:そうですね。「今すぐこの情報が欲しい」ということに対して瞬時にレスポンスし、正しい情報提供によって顧客体験を上げていくことで、コンバージョン向上につながると期待できます。

 そして、セールス&マーケティング領域におけるもう1つ大きいインパクトがあります。それが、極めて質の高いデータが収集できることです。

 MA(マーケティングオートメーション)で得られるページ閲覧などの行動ログではなく、お客様が自発的に発したテキスト情報から、どんなニーズや課題を抱えているのか、何をしたいのかといった詳細な生の声を得ることができます。いわゆるゼロパーティーデータ、もしくはファーストパーティーインテントデータといわれる情報です。

 たとえば、お客様が「〇〇という機能はありますか」と尋ねた場合、AIは単に回答するだけでなく、その質問内容を「特定の課題を持つ見込み客」としてデータ化します。従来の行動ログでは分からなかったこの具体的なニーズが、後の営業活動における仮説の精度を劇的に高めるのです。

 数字からの推測ではなく、お客様が直接、自身の言葉でそのニーズを表明してくれる。これをデータとして使えるというところは非常にインパクトが大きいですし、今までこういったソリューションがなかったので、画期的なところだと考えています。

CVR1.8倍に! Mazrica Engageの導入成果

MZ:導入効果の実績があれば教えてください。

中谷:最大の効果はCVRの向上です。企業のWebサイトの設計や商材の違いにより幅はありますが、1.3~1.8倍ほどの効果が見込めます。LPに資料請求ボタンがあり、そこにAI接客を重ねたところ、今まで100件/月の問い合わせだったものが130〜180件に増えるというイメージです。また実際、マツリカでも「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」を導入しているのですが、CVRが0.8ポイント改善しました。一般的な企業なら約2倍規模の効果を狙えるケースもあると見ています。

MZ:アポイントや商談化率はいかがでしょう?

中谷:そこは現在まさに検証強化中ですが、一定以上の効果は見込めると見ています。なぜなら事前にお客様の関心ポイントが“言葉”として収集できるため、仮説の精度も上がるでしょうし、それがアポイント獲得や商談化にも良い影響を与えることになるからです。たとえば同領域のアメリカの(Inbound)AI SDRツールではパイプラインが2〜3倍になったという事例が公開されています。実際、私たち自身も「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」を導入し、その効果を体感しています。

MZ:先ほど「商材やWebサイトの設計によって成果の幅がある」という話がありましたが、「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」はどのような業種に向いていますか。

中谷:メーカー、ITソリューション、コンサル/各種サービスは特に相性が良いと思います。いずれも営業担当者の説明コストや商材理解の学習コストが高く、情報が多く複雑だからです。メーカーであれば多種多様な商材の特徴を覚える必要がありますし、ソフトウェアやサービスのように目に見えない商材の価値をしっかり伝えるには、相応の工数がかかります。こうした領域と「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」はとても相性がいいはずです。

 逆に「水のペットボトル24本はいくら?」といったように、わかりやすく売り手と買い手の情報格差が小さい商材には向きません。“情報非対称が起きやすい領域”でこそ真価を発揮すると考えています。

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AIが変える、BtoBセールス&マーケティングの未来

MZ:AIが浸透すると、BtoB領域のセールス&マーケティングはどう変わっていくでしょうか。

中谷:マーケとセールスの境界は薄れてくると思います。特に営業の領域は狭まるでしょう。AIエージェントが進化すると、訪問者がWebサイトに来た瞬間、AIアバターと“初回商談”が始まるようなイメージです。ちょうど展示会で、担当者が通りかかった人を呼び込み、そこから会話して商談につなげていくような感じですね。初回接客がWeb上に置き換わる感覚です。そうなると、初回接客から初回商談の体験設計はマーケターの範囲へ広がっていくと思います。

 一方、営業領域では、お客様の上申支援であったり、Web上にはない情報でインサイトを提供したりなど、より高付加価値な業務が残っていくでしょう。これまで、ただひたすら説明に費やしていた「商談発掘」から「初回商談」という、最も生産性が低かったゾーンはAIとマーケティングが吸収し、営業はより付加価値の高い領域にシフトすることで、全体生産性は劇的に上がるはずです。米国では技術的には既に実現段階で、あとは浸透スピードの問題です。日本でも5~10年で同様の姿に近づくと見ています。

MZ:最後に、読者へメッセージをお願いします。

中谷:AIの進歩で情報は増え、精査もしやすくなり、正しくて最適な情報が買い手に届きやすくなる未来はすぐそこです。小手先でCVRをいじる時代は終わりました。売り手が情報を開き、体験を磨き、顧客の成功を支援するという「バイヤーイネーブルメント」こそ、正当で正直な営業スタイルです。私たちはその正解をテクノロジーで後押しします。みんなで正直に、良いビジネスを前に進めましょう。

WebサイトのCVR改善にお悩みの方におすすめ!

 「Mazrica Engage(マツリカエンゲージ)」はサイトにAIを設置し、一人ひとりにコンテンツを出し分け、CVRを向上させるAIエージェントです。通常のCVR改善施策(LPO、EFO、ポップアップ、チャットボット等)の繰り返しでは、CVRは1%が頭打ちになることが多いでしょう。Mazrica EngageはこのCVR1%の壁を突破します。本記事で興味を持たれた方は、Mazrica Engage公式サイトからお問い合わせください。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社マツリカ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/22 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50175