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博報堂リサーチ&データ

富裕層マーケットの解像度を高める。世帯年収と資産額から紐解く意識の違いと、新たなセグメンテーション

 一括りに「富裕層」といっても、そのライフスタイルや価値観はかつてないほど多様化しています。高付加価値なビジネスを展開する上で重要となるのは、彼らを多角的に捉えることです。博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)による2025年の最新調査では、世帯年収3,000万円および5,000万円を境に、意識や資産状況が大きく変化する実態が見えてきました。本稿では、自らの力で道を切り拓く「キャリア富裕層」と、伝統的な「資産家富裕層」の傾向を分析。データから見えた新たな視点を通じ、これからの時代に求められる対話のあり方をひも解きます。

なぜ今、富裕層マーケティングなのか

 近年、富裕層をターゲットとした商品・ビジネスに商機を見出す企業やブランドの相談を多くいただきます。

 人口減少が進む一方で富裕層人口は増加していることから、購買力の大きい富裕層をターゲットとして高単価・高収益のビジネスを模索する動きが強まっているのです。「富裕層」という一括りのターゲットを想定される場合が多いのですが、実際の富裕層は「富裕層」という一言で括れないほど多様化しています

 実際、「どこから富裕層と設定すべきか」「どのような富裕層にポテンシャルがあるのか」という相談を多くいただきます。富裕層向けビジネスを展開していく上で、ターゲットとなる富裕層の解像度を上げることが、成否を分けるといっても過言ではありません。

 大きく変化する富裕層の属性や価値観を捉えるため、博報堂では2024年に「博報堂富裕層マーケティングラボ」、通称“HAML”を立ち上げました。HAMLでは、富裕層を捉える要素として「年収」を重視しています。一般的に富裕層の定義として野村総合研究所の推計などでも用いられている「純金融資産1億円以上」という明確な基準が設定されています。しかし、多くのマーケティング担当者が富裕層のラインについて悩むのは、資産という基準だけでは消費の観点を捉えきれないためです。このような背景から、HAMLでは世帯年収1,500万円以上を「インカムリッチ」と定義しました。

 本稿では2025年3月にインカムリッチを対象に実施した定量調査をもとに、「どこから消費行動が変わるのか」「ポテンシャルの大きい富裕層はどこにいるのか」を明らかにしていきます。

一般的なイメージと合致する富裕層は世帯年収3,000万円以上

 HAMLは2024年に初めて世帯年収1,500万円以上の人をインカムリッチと定義、関連するレポートを発表しました。様々な反響をいただく一方で、世帯年収1,500万円よりももっと上の富裕層、つまり一気に意識や消費が変化するラインが知りたいという声も多くいただきました。

 そこで2025年の調査では、世帯年収と金融資産の関係性について分析を行いました。一定の世帯年収ラインを超えると、将来に備えるための資産形成が進み、今の消費に回す金額が大きくなるという見立てです。

 世帯年収1,500万円以上、世帯年収3,000万円以上、世帯年収5,000万円以上という3つのレンジで、金融資産額の内訳をみたところ、世帯年収3,000万円を超えると金融資産1億円以上が過半数を占めることが明らかになりました。また、世帯年収5,000万円を超えると、金融資産5億円以上の超富裕層が過半数となることもわかりました。このことから、世帯年収3,000万円が大きく生活の変わる「富裕層」の、世帯年収5,000万円が「超富裕層」の境界線といえそうです。

世帯年収別の金融資産構成比(%・30,00万円以上)
世帯年収別の金融資産構成比(%・30,00万円以上)
世帯年収別の金融資産構成比(%・50,00万円以上)
世帯年収別の金融資産構成比(%・50,00万円以上)

 さらに重要なポイントは、世帯年収と金融資産の関係性を、生活・消費行動の境界線として捉えてよいのかという点です。そこで、「1ヵ月で自由に使えるお金」と「消費意識」に着目しました。

 「1ヵ月で自由に使えるお金」は世帯年収1,500万円以上で17万円のところ、世帯年収3,000万円以上は52万円、世帯年収5,000万円以上は72万円となり、大きな差があることがわかりました。

世帯年収別「1ヵ月あたりの自由に使える金額」
世帯年収別「1ヵ月あたりの自由に使える金額」

 また意識面でも、世帯年収が上がると「好きなことにはとことんお金をかける」と回答した割合も上がっていました。お金で欲しいものを我慢することが減り、消費への意識が変わる境界線としても、世帯年収3,000万円、5,000万円という境界線は機能すると思われます。

世帯年収別「すきなことにはとことんお金をかける」割合
世帯年収別「すきなことにはとことんお金をかける」割合

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キャリア富裕層と資産家富裕層

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この記事の著者

那須 優一(ナス ユウイチ)

株式会社 博報堂 ストラテジックプラニング局 マーケティングプラニングディレクター
日系大手メーカーや外資系企業中心に、戦略、クリエイティブ、メディアまで一貫したプラニングを行う。博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)にも所属し、富裕層を対象としたブランドの戦略立案を行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50276

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