「体験がない、価格以外の評価軸がない」からの脱却
本記事では、MarkeZine編集部が主催するマーケティングアワード「BEST OF MARKETING AWARD 2026」において、ブランディング部門にノミネートされた株式会社JERA Cross(以下、JERA Cross)の事例を紹介する。
「日本では停電がほぼなく、生活者にとって電力は『あって当たり前』の存在。ペイン(悩み)がなく、体験自体が存在しません。一方でB2Bの世界では完全にコモディティ化しており、価格以外の選択軸を持ちにくいのが現状です」
JERA Crossのマーケティング責任者を務める趙権益氏は、エネルギー業界におけるマーケティングの難しさをこう語る。
しかし、グローバルトレンドに目を向ければ、欧州を中心としたESG規制の強化により、脱炭素化されていない製品は「選ばれない」という、企業の死活問題に直結する課題が浮上している。日本でも多くの企業がGXを掲げるが、戦略は描けても、実際に「いつ、どこで、どれだけのカーボンフリー電力を供給するか」という実行フェーズで足踏みしているケースは少なくない。
JERA Crossは、この課題に対し、戦略策定から電力供給までを担う「脱炭素のワンストップパートナー」として立ち上がった。競合となる戦略コンサルティングファームとの決定的な違いは、日本最大の発電アセットを背景に、実効性のある「電気そのもの」を届けるデリバリー能力にある。
