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ピジョンが実践する“商品別に深める”顧客理解 行動データ分析で掴んだリアルなカスタマージャーニー

 既存の調査手法だけでは「ユーザーの潜在ニーズを捉えきれていないのでは」と悩むマーケターは多い。育児用品大手のピジョンはこの課題を打破すべく、LINEヤフーのビッグデータからユーザー動向を可視化できるリサーチツール『DS.INSIGHT』を活用。通常の調査を行うと2ヵ月かかる課題解決に対し、1日で示唆を得られるケースが生まれるなどの効率化から、施策実行の加速につなげた。新商品の需要予測から販売計画の効果的な見直しにも貢献し、EC売上の向上につなげるなどの大きな成果を得ているという。本記事では、ピジョンでリサーチグループに所属する冨田祐未氏と、マーケティング戦略グループの小林梨沙氏に、導入の背景や行動データ活用の実践例について聞いた。

マーケティング施策に不可欠な「示唆」を出す

――ピジョンのマーケティング部リサーチグループの役割について、教えてください。

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(写真左)ピジョン ベビーケア事業本部 マーケティング部 リサーチグループ 冨田 祐未 氏
(写真右)同部 マーケティング戦略グループ 小林 梨沙 氏

冨田:商品・マーケティング戦略に生かせる示唆を出すために調査することが、リサーチグループの役割です。社内状況を把握しつつ、調査で得たユーザーの実態やニーズなどを関連部署へ共有し、実際の企画に役立ててもらう、という流れです。商品企画だけでなく、販売戦略、プロモーション施策など、伴走する領域は多岐にわたります。

――同じ部署内のマーケティング戦略グループでは様々な商品カテゴリについて施策の企画と実行を担うそうですが、どのように連携を取っていますか?

小林:施策を考える際などには、リサーチグループのメンバーに加わってもらうことも多いです。検討中のコンセプトが受け入れられるユーザーの規模感、価格設定に対するユーザーからの購入意向度などはリサーチグループが実施した調査結果から得られるデータや示唆を活用しています。そうした事情からもリサーチグループに対する社内の期待は大きいです。

冨田:市場には商品が溢れているため、お客様から価値あるものとして選んでいただくには消費者のインサイトや潜在ニーズをいかに掴むかがますます重要になっていると感じています。

「無意識の分析」「スピード感」を求めて行動データを活用

――近年では、調査分析環境の強化の一環として、LINEヤフーが展開するデスクリサーチツール『DS.INSIGHT』を導入、活用の幅を広げていらっしゃいます。既存の分析の手段や成果にどのような課題を感じ、活用に至ったのでしょうか。 

冨田:理由は大きく分けて二つあります。一つは、既存の手法でユーザーのインサイトや潜在ニーズを捉えることの難しさです。従来のアンケート調査、インタビュー調査などにもそれぞれ強みはあります。一方で、従来の手法では、回答者自身が調査に協力していると意識しており、ノイズを生んだり、バイアスがかかっていたりするケースもあると考えていました。潜在ニーズを探るのは容易ではありません。もう一つはクイックな調査の必要性です。より素早い判断が成果を左右する状況では、当然リサーチにもスピード感が求められています。

 「ユーザーのニーズをより潜在的なレベルで、クイックに理解できないか」と考えていたときに、『DS.INSIGHT』を知り、2022年に導入しました。

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 『DS.INSIGHT』は、ふとした疑問があるときに気軽に使い、結果をデータで視覚的にわかりやすく見ることができます。また、ユーザーが日常で何気なく商品ページへ行くときの検索キーワード、実際に購入まで至ったかなどの行動データが分析できる点は大きなメリットに感じました。行動データを活用できるからこそ、見えづらい無意識、潜在ニーズを読み解くことに役立っていると感じます。

――既存の調査手法と比べて、『DS.INSIGHT』を活用することで、調査期間をどれぐらい短縮できたのでしょうか。

冨田:調査の内容や種類にもよりますが、一般的に、調査を開始してから示唆出しまでには、2ヵ月程度かかります。しかし、『DS.INSIGHT』を活用してデータ分析をすることで、そのときに知りたい課題に対する示唆を1日もかけることなく、得られることもあります。最近は、『DS.INSIGHT』からの出力データを従来の調査データとかけ合わせて考察し、示唆を出すようなケースも頻繁に見られるようになってきました。

“商品ごと”にユーザー深掘りを実現。競合との差異も可視化

――『DS.INSIGHT』では2025年、ユーザーセグメントを指定し、該当するユーザーの「時系列キーワード」と「ペルソナ」を可視化できる「セグメント連携機能」の提供が開始され、強化されました。『DS.INSIGHT』の活用の幅が広がったと思いますが、ピジョンではどのように「セグメント連携機能」を使っていますか。

冨田:今までは主に検索データで、特定の商品名で調べるよりも、たとえば「哺乳びん」「離乳食」「ベビーフード」といった、大きなカテゴリでユーザーの悩みやインサイトを調べていました。

 しかし、『DS.INSIGHT』の新しい「セグメント連携機能」を使えば、特定のページへのアクセスデータや特定商品の購買データといった行動データを基に、ユーザーセグメントをつくり、そのユーザーが前後に行った検索キーワードを分析できるため、特定のユーザーの行動の背景について分析することができます。特定の商品のユーザーに対しても、より詳細にデータを深堀りし、示唆を得ることができるようになりました

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セグメント連携機能において指定可能な行動データの種類。たとえばYahoo!ショッピングユーザーなら特定の購買をしたユーザーを商品名などの条件で指定することができる
(クリックすると拡大します)

冨田:具体的には、特定の検索キーワードの前後に検索されているキーワードまで時系列を可視化する機能『Journey』と、先述のセグメント機能を組み合わせて使っています(「カスタム時系列キーワード」)。これにより、ユーザーが自社商品にたどり着くまでの検索内容が時系列でわかるだけでなく、自社商品と他社商品が認知されるタイミングや検索量の違いも把握できます

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「カスタム時系列キーワード」のデモ画面。この画面ではユーザーセグメントに「Yahoo!ショッピングでスキンケアカテゴリの商品を購入した人」が設定され、そのユーザーが購入(アクション)の前後で検索したキーワードを時系列で表示している
(クリックすると拡大します)

冨田:競合の商品名・ブランド名で調べて自社と比較したり、競合の商品単体に対してのユーザーのニーズを分析したりすることも可能です。

――ピジョンでは、リサーチグループ以外の方も『DS.INSIGHT』を使っているそうですね。

小林:はい。マーケティング戦略グループの各担当者も手元でサッと調べたい時に使っています。『DS.INSIGHT』は、直感的に使い方がわかるUIになっているので、基本的な使い方は理解しやすいと思います。加えて、リサーチグループで定期的に使い方の勉強会を開いてくれているので、他グループの社員も参加して学ぶようにしています。

売上好調の裏側を分析!隠れた需要の発見へ

――『DS.INSIGHT』を活用した、具体的な事例があれば教えてください。

小林:ピジョンでは、妊娠中の方々の骨盤・腰周りの悩みをケアする『妊娠中から使える骨盤ベルト 履くタイプ』の全国販売を2024年2月に開始しました。この「履くタイプ」は、もともとの骨盤ベルトの不満やニーズを調査して開発し、弊社でも販売していた『妊娠中から使える骨盤ベルト ベルトタイプ』に続く新しい商品として発売したものとなります。

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(写真左)『妊娠中から使える骨盤ベルト 履くタイプ』
(写真右)『妊娠中から使える骨盤ベルト ベルトタイプ』

小林:「履くタイプ」を発売すると、当初の予想を大きく越える売上が上がり、今後の需要を予測する必要が出てきました。そこで、その好調要因を知るために、リサーチグループに調査の相談をしたのです。

冨田:売上が上がった要因について小林から調査を依頼されたものの、機会損失を最小限に抑えるために迅速な判断が求められる一方で、従来の調査を遂行する時間は確保できない状況でした。そこで、まずは『DS.INSIGHT』の「セグメント連携機能」を使い、それぞれの商品ページの、閲覧ユーザーの時系列キーワードを確認してみることにしました。

欠品の抑制を実現!行動データがもたらした意外な示唆

――『DS.INSIGHT』を活用して、どのような示唆が得られたのでしょうか?

冨田:当初は「履くタイプ」と「ベルトタイプ」は同様のターゲットに購入されると考えていたのですが、「履くタイプ」の商品ページ閲覧者の検索行動を見てみると、2つの商品ページ閲覧者の検索キーワードに違いがあることが見受けられました。

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「カスタム時系列キーワード」を使って「履くタイプ」の商品ページ閲覧者が行っていた検索行動を調べた様子。閲覧をアクションとしてその前後に検索したキーワードを時系列で表示している
(クリックすると拡大します)

冨田:この内容と過去の調査結果も合わせて考察した結果、「2つの商品の購入タイミングは異なるのではないか」という仮説にたどり着き、より幅広いターゲットに購入されている可能性があるのではないかという示唆を出すことができたのです。

小林:当初考えていたターゲットよりもボリュームが広いという示唆が得られたため、その結果を元に、購買部門と連携して生産計画を調整し、欠品を減少することができました。

手軽な調査が組織のハブに 社内コミュニケーションに活用

――『DS INSIGHT』の活用によって、プロダクト全体ではどのような成果が得られていますか。

小林:マタニティのプロダクトでは、妊娠中の方は、お腹が大きくなると外に出られないために、ECで購入される割合が高い商品が多い傾向にあります。そこで、『DS INSIGHT』から得た示唆を基に、自社内のEC部門に対しても、「より幅広いターゲットに対しても需要があるから売っていこう」と話をして、ECでの売上も伸ばすことができました

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冨田:『DS INSIGHT』を使うと、調査結果がデータとしてすぐに出てくるので、データを基にした社内コミュニケーションが増えた、というメリットもあります。企画段階だけでなく、コアとなるお客様層に関するふとした懸念・疑問が社内で出たときに、行動データに基づいた信頼感のある分析結果をすぐに社内共有でき、横断的な認識のすりあわせが円滑にもなりました。

 たとえば、SNSでも一部の界隈で話題になっていた「2026年の丙午(ひのえうま)」について。この干支にまつわる古い迷信から出産が避けられるのではという言説もあり、当社でも、出生数への影響があるのではないかと話題にのぼり、すぐに『DS INSIGHT』で調べてみました。その結果、現状では妊娠・出産に大きな影響はなさそうだというデータを得ることができ、すぐに社内に報告できました。日常の企画だけでなく、社内全体のちょっとした疑問に対しても、DS INSIGHTのデータを示して、答えられるようになったことも大きなメリットだと感じています。

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――赤ちゃんとそのご家族に寄り添うピジョンとして、今後のマーケティングへの取り組み、特にリサーチにおいての展望について教えてください。

冨田:今、子育て中・妊娠中の方々の環境や潜在ニーズは、目まぐるしく変化しています。リサーチグループとしては、今後も急速に変化するターゲットの思いを捉え、よりお客様の心に響く商品を届けていくための示唆を出していきたいと考えています。『DS INSIGHT』を活用して、ユーザーへのアンケートやインタビューだけでは簡単には捉えきれない「顧客の潜在的な気持ち」、ニーズの変化などを今後もクイックに把握していきたいと思っています。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:LINEヤフー株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/30 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50474