SKU数から見る店頭での品薄状況
令和の米騒動では、米価格の高騰だけでなく、そもそも米が店頭にないなど、米を買いたくても買えない状態が続きました。そこで、小売店販売データから、お店の品薄状況を推測してみましょう。
小売店の商品棚の状況を「見える化」するため、販売された商品の種類「SKU(Stock Keeping Unit)」に着目してみます。
通常時と比較して、SKU数が少ない場合は、「棚が縮小し、欠品している可能性」があると考えることができます(ただし、SKU数はレジを通過した商品だけが記録されるため、棚に並んでいても販売されなければ、データに反映されない点には注意が必要です)。
図表4は、2024年1月から2025年11月の約2年間における、全国の米の販売個数、平均単価(税抜)、米を販売した店舗1店あたりのSKU数の平均をそれぞれ指数化したものです。長期間の動向を構造的に捉えるため、日次データを週単位のトレンド(移動平均)として表示しています。
データ:インテージ SRI+(エリア:全国)※インテージ独自調査にて収集した集計用商品リストにて集計
指標:SRI+対象店舗における販売個数・平均価格(税抜)・アイテム販売店あたり平均SKU数の指数推移
期間:2024年1月~2025年11月
対象業態:スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター、ドラッグストア
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図表4より、2024年8月初旬以降にSKU数が急減し、その後も低水準が継続しました。同時に販売個数は急増、平均単価も上昇し、買い急ぎに供給が追いつかない局面が示唆されます。2025年6月の備蓄米供給後は平均価格が一時下落しました。ただし、SKU数は2024年8月前の水準に戻らず、店頭の商品の種類は依然として限定的でした。
備蓄米放出は「価格抑制」の切り札となったのか
政策決定から市場放出までの早さが注目された随意契約備蓄米ですが、「コメの価格についての国民の不安を払拭する」(※)ことはできたのでしょうか。
※小泉進次郎農相(当時)の発言より(「備蓄米売り渡し価格47%安く、契約の詳細公表 店頭2000円水準」、日本経済新聞、2025年5月26日)
ここからは、生活者の購入データを用いて、備蓄米導入による効果を見てみましょう。生活者が米をいくらで何個購入したのかを、購入価格が低い順に購入個数を足し合わせて合計が100%となるようにした、価格帯別の累積個数構成比で見てみます。
図表5は、生活者が2,400円未満で購入した米の割合を表しています。「2,400円未満」という基準は、米価格の変動の予兆を捉える目安と考え、採用しています。
データ:インテージ SCI(エリア:全国)※インテージ独自調査にて収集した集計用商品リストにて集計
指標:購入単価別個数構成比(%)
期間:2022年1月~2025年11月
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図表5の推移は、大きく次の3つの期間に分かれています。
(1)2022年1月から2024年6月まで
米価格高騰が起きる前であり、いずれの月も95%以上が2,400円未満で購入されていました。この時期は、米価格が安定して推移していたことがわかります。
(2)2024年7月から2025年5月まで
2,400円未満で購入された割合は、2024年7月から95%を切り、2024年8月は南海トラフ地震臨時情報をきっかけに買いだめ需要が急増し、56.7%へと大幅に低下しました。その後も下落が続き、2025年5月には1.0%と、生活者が購入した米の価格が一気に高騰していったことが読み取れます。
(3)2025年6月から2025年11月まで
2025年5月末から随意契約備蓄米の店頭販売が開始されると、翌6月には、2,400円未満で購入された割合が23.0%に上昇し、同7月は39.4%、同8月は35.3%と、1年前の2024年8月以来はじめて35%を超える水準まで回復しました。しかし、その後は随意契約備蓄米の販売が減り、同9月以降は21.2%以下と再び下落しました。
(1)~(3)より、2024年夏頃から生活者が購入した米の価格帯が一気に高くなり、2025年6月に備蓄米が放出されたことによって若干緩和されましたが、その後、9月頃には再度価格が高騰していったことがわかりました。備蓄米は一時的に米価格の低下を促しましたが、根本的な抑制策には至らなかったと言えます。
