購買データから読み解く備蓄米購入者の特徴と価値観
では、備蓄米を購入した人はどのような人だったのでしょうか。購買データから確認してみましょう。備蓄米を購入した人の特徴を明らかにするため、備蓄米以外の米を購入した人と比較してみます。
図表6は、2025年6月から9月の4ヵ月間で、備蓄米を購入した人と備蓄米以外の米を購入した人を3つの属性別(年代、世帯年収、家族人数)に集計した結果です。5kgの商品のみで集計しています。
データ:インテージ SCI(エリア:全国)※インテージ独自調査にて収集した集計用商品リストにて集計
指標:人数構成比(%)
期間:2025年6月~2025年9月
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(a)年代
備蓄米購入有無を問わず、購入割合が高いのは50代、70代、40代となっています。特に、40代から60代は、備蓄米購入者に占める構成比が高くなっています。
(b)世帯年収
世帯年収が低いほど、備蓄米購入者に占める割合が高くなっています。米以外の物価高騰も重なり、家計防衛としての備蓄米の需要が大きかったことが示唆されます。
(c)家族人数
1人世帯と4人以上世帯で備蓄米購入割合が高くなっており、家族人数が増えるほど、低価格帯の備蓄米が買われていたことが推察されます。
上記より、備蓄米は、家計防衛の必要性が高い層で、低価格帯の主食の選択肢として機能していたことが推察されます。
さらに、図表7では、インテージが保有するさまざまなデータソースを一つに統合した生活者360°Viewerを用い、備蓄米を購入した生活者の属性・生活価値観をまとめました。
データソース:インテージSCI ・生活者360°Viewer ※集計期間内の分析対象全体と比較して備蓄米購入者が高い傾向にあった回答結果を特徴として抽出
抽出期間:2025年5月~7月 備蓄米購入者 ※インテージ独自調査にて収集した集計用商品リストにて集計
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図表7より、既婚で、家族と同居する40~70代女性が多く出現しています。規則正しい生活や健康を心がけつつも、お金の使い方では安さを重視する傾向があります。また、外食は控えめで、旬のものへのこだわりもあり、家庭中心の食生活を重視する姿勢がうかがえます。
家族の健康や習慣を大切にしつつも、家計を考えて安価な備蓄米を購入する姿が浮かび上がってきました。備蓄米の放出によって、低価格帯の選択肢が生まれ、必要とする層に対して一定の効果を発揮していた可能性が見て取れます。
令和の米騒動を振り返って──価格と供給の安定化への“宿題”
2024年夏頃に始まった米騒動は、価格高騰と品薄という二重のインパクトで、私たちの食卓に大きな影響を与えました。2025年6月には随意契約備蓄米が市場に出回ったことにより、一時的に米価格の高騰を緩和しました。特に、家計防衛の必要性が高い層にとって、低価格帯の選択肢を提供した点で重要な役割を果たしましたが、9月以降の米価格の再高騰が示すように、備蓄米は恒久的な解決策にはなっていません。
今後は、災害リスクと市場変動を織り込んだ持続的な価格安定の運用設計が不可欠です。民間が保有するデータを活用し、市場をより構造的に理解することは、政府の需給調整や備蓄戦略の検討にも資すると考えています。本レポートが、今後の食卓の安心を守るための議論の一助となれば幸いです。
■本レポートで使用したデータについて
今回の分析は、次のデータを用いて行いました。
※今回のレポートでは、インテージ独自調査にて集計用の米の商品リストを作成し、それを元に集計した結果で分析しております。
【SRI+(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo.1(2025年6月現在)のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません【SCI(全国消費者パネル調査)】
全国15~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません【キッチンダイアリー】
1,260世帯の食卓・調理の状況を食場面(朝食・昼食・夕食)ごとに継続的に捉えたデータです。商品開発のヒントとして、また、流通向けの販促提案情報としてご活用いただけます。
