全社的なHubSpot導入で「温度感の引き継ぎ」が可能に
そこで、2023年から、段階的に現場のシステムを変えていった。まずは従来のMAをやめ、扱いやすく、コストが抑えられるという観点で選んだHubSpotを導入。これにより、MA、テレマーケティングツール、Excelで管理されていたデータを1つのプラットフォームで管理できるようになった。

そして2024年10月には、SFAと問い合わせ窓口もHubSpotに置き換えた。以前からSFAは山洋電気の海外拠点でも活用していたが、それらもすべてHubSpotに統合している。これにより、プレセールスや営業、問い合わせ窓口まで一元化され、マーケティングと営業の連携がさらに強化された。

「HubSpotを導入したことで、お客様に電話をした、メールをした、あるいはWebページが見られたといったログを、チーム全員で共有できるようになりました。電話もHubSpotの通話機能でかけるため録音が残り、次の工程の担当者が音声を聞くことで情報の欠落がなくなり、温度感を引き継げるようになった点が非常に良かったです」(小峯氏)
以前のCRMは構造化データを蓄積するものだったが、HubSpotでは音声などの非構造化データも蓄積できる。また、問い合わせ窓口の対応も共有されるので、同じ顧客が別々の窓口に連絡してきた際にも一貫性のある対応ができるようになった。
「営業やサポートなど、他の部門のメンバーがお客様とどういうコミュニケーションを取っているのかHubSpotで見ることができるため、顧客理解が深まり、それらを考慮したうえで効果的な動きをとれるようになりました」(小峯氏)
AIによるコンテンツ生成で効率的に案件創出額を5倍に
HubSpotは情報を一元管理できるだけでなく、マーケティング活動に有用な様々な機能を備えている。たとえば、メールマガジンをセグメント別に配信できるため、狙いたい業界や売りたい製品別の内容で配信したり、営業部が顧客向けに配信したりできるようになった。それまでは日本語版と英語版のメールマガジンを月1回ほどのペースで配信していたが、配信本数が大幅に増えることになった。

WebサイトにもHubSpotのポップアップやフォーム機能を活用し、流入はもちろん資料ダウンロードや問い合わせといったコンバージョンへとつなげている。また、2024年からはグローバルマーケティングの取り組みを強化し、マーケティングサイトと製品サイトが10言語対応になった。それら各国のフォームもHubSpotで作成している。

さらにHubSpotでワークフローを組み、フォームを受信するとテレマーケティングの担当者に通知が行き、1時間以内にファーストコールをかけてフォローすることも可能に。
同社ではAIも活用してコンテンツ作成の時間も大幅に削減した。こうした機能により、UPS(無停電電源装置)の施策ではコンテンツ1本あたりの工数が22時間から6.4時間に減り、年間の作成本数が4本から11本に、施策件数が4件から16件に、メール配信数が23回から118回へと大きく増加した。

「施策を内製化できるようになり、施策数は大幅に増えました。セグメント配信では、よりお客様にマッチしたニッチな情報を送ることができます。アイデアがあればすぐに試し、違ったと思えばすぐに変え、試行錯誤しています。HubSpotもAI機能を強化していますよね。コンテンツ生成機能もあり、自社らしいコンテンツとなるようAIにトンマナを登録することができるなどとても期待値の高い機能です」(小峯氏)
「どれだけ高度で最先端の機能が搭載されたツールであっても、現場の方々に使われないと成果に貢献できません。そのため、HubSpotは現場での使いやすさを重視して開発しています」(土井氏)

こうした仕組みを活用して2023年はUPSのマーケティングに注力したところ、前年比で新規案件の創出金額が5倍、件数が2.4倍という成果が出た。
「HubSpotの導入で、機動力が上がったおかげです。また、以前はシステムが分断されていたため追えなかった成果がカウントできるようになったのもあると思います。やればやるだけ成果が出ることを、メンバーみんなで実感できたのが良かったです」(小峯氏)

