未充足ニーズを中心に据えた、機能ブランディングスキームの全体像
──ここまでお話しいただいたソーシャルリスニング・モーメント設計などの打ち手は、すべて「機能ブランディング」というスキームの中に位置づけられているそうですね。改めて全体像を教えてください。
属人化を防ぎ、形式化することをミッションに、1年〜1年半かけて「機能ブランディング」のスキームを作り上げました。中心に「未充足ニーズ」を置き、その周りを以下の5つのフェーズが取り囲み、順番に進めていく構造です。
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「未充足ニーズ」を中心とした5つのフェーズ
フェーズ0:未充足ニーズの確認と満足度の特定(市場把握)
顧客に自社商品がどのような文脈で想起されるのか、そこに未充足ニーズが存在するのかを調査し、世の中との接続性を確認する。既にニーズが充足されている市場では戦えないため、勝ち目の有無を判断する。
フェーズ1:真のペインの特定(インサイト把握)
未充足ニーズがある市場において、何に満足していないのか、ソーシャルリスニングなどを通じて顧客自身の言葉から探し出し「真のペイン」を特定する。
フェーズ2:独自機能と提供価値の設計(企画・開発)
見つかったペインを解消するために必要な機能を開発する。機能性をそのまま訴求するのではなく、顧客のペインにリンクした価値を提供できるよう、開発段階からマーケティングチームが伴走する。
フェーズ3:気づき・共感の設計(クリエイティブ・コミュニケーション)
「インナーベタつかない?」のように、問いかけるコミュニケーションを設計。まだ自身のペインに気づいていない潜在顧客に「確かにそうかも」と共感してもらうことを目指す。
フェーズ4:信頼の獲得(PR)
一方的な広告ではなく、良質なフィルターを通して共感と信頼を形成する。低関与商材だからこそ、「誰かが使っている」「話題になっている」という期待感をどう醸成するかが鍵になる。メディアに向けたPR活動や、生活者の発話(UGC)を促すキャンペーンを通じて、第三者の言葉で商品が語られる仕掛けを作る。
業界の壁を越えた「ムーブメント」を起こすために
──今後の展開について教えてください。
2026年6~7月に、アセドロンの広告を実施します。テレビCMは新製品のTシャツとブラを中心に展開し、生活者の声から生まれた新商品の登場を伝えます。「とぅぅー」「べったぁー」など、我々が造語した汗特有の擬音語「アセマトペ」を用いることで、ターゲットに自分事として共感してもらうことを目指しています。
モビリティ広告は、「インナー、ベタつかない?」と問いかけるコピーで運行する予定です。モビリティは、「信号待ち」などベタつきを感じるモーメントに対して、最もクリティカルな広告手法だと位置づけています。そして、機能ブランディングのスキームで設計したフェーズ3の「問診」のコピーを、最も刺さる場所で投げかける。フェーズ0〜4を一周してきた上での最適解です。
──より中長期での構想を教えてください。
業界の壁を越えたムーブメントを起こしたいです。異業種の企業でコラボして、ライフスタイルの提案をできたら楽しいなと思ってます。たとえば「冷房は何度に設定しましょう」というガイドラインを、複数の業種で連合を組んで発信する。
飲料メーカーと飲み物での体温調整を提案したり、建築メーカーと壁材まで含めて連携できたりすれば、生活者にさらに快適な環境を提供できますよね。行政まで巻き込めると最高だな、というのが「夢」としてあります。
メーカーの使命は、文化を作ることだと思っています。たとえば、ワイシャツの下にインナーを着る文化は欧米にはなく、多湿な日本だからこそ生まれた新しい文化です。アセドロンも「一企業のブランドが売れた」というレベルでは終わらせたくありません。生活者の言葉を起点にしたこの機能ブランディングのスキームは、その挑戦のための強力な土台になるはずです。
