「今」変わったわけじゃない。消費者の意識変化の5つの原因
企業のサイト作ったりバナーを作ったりしていました。そのときに感じたのは消費者がとても近くにいること。いいものを作るとすぐ反応が返ってくるし、長く滞留もしてくれるんです。そのときに、「あぁ、CMだけじゃなくて、こういうコミュニケーションもちゃんとやることで総合的に伝わるんだな」と実感できました。
だからといって、ネットだけでも伝わらないことも感じました。やっぱりテレビが強いのは知っているわけですよ。新聞も、弱まったとはいえ何百万の人の手に届く強い媒体。だから、新しいメディアも含め、いろんなメディアを組み合わせて上手に使っていかなきゃいけないなって思いました。
それはないですね。というよりも10年くらい前からすでに変わってきていて、そのままの流れです。今変わったわけではなく、とっくに変わっているんです。消費者自体が心を開いてくれなくなってしまった。広告に出会うことが少なくなってきたんです。その原因は五つあって、
一つ目は、時代の空気が変わったということです。大量消費が善とされた時代からもっとロハス的なサスティナブルな生き方が善になった。モノを買うことが豊かだった時代から、買わないことが豊かという時代に変化しました。
二つ目は、情報洪水ですね。1994年からの10年で世の中に流れる情報量は410倍になったと言われているけれど、人間が消費できる情報量はほとんど変わっていない。だからほとんどの情報がスルーされます。広告なんてもはやスルーされるものの最たるもの。
三つ目は、成熟市場。もはや消費者は知っているんです。たとえば携帯電話にしても「どんな競合商品も本質的にはそうは変わらない」というように。そのくらい日本の市場は成熟している。
四つ目は、ネットの登場。どんなに広告で「これがいい」って言っても、買った人を中心に「本当はこうだ」ということがネット上に書かれてしまう。商品評価サイトやブログやメールで消費者が横につながって、どんどん評価されてしまう。
そうですね。ネットの影響はこれが一番強いかなと思います。
五つ目は、メディア接触の変化。4マスしかなかった時代に比べて、メディアが飛躍的に増えました。いまの消費者はそれらのメディアをきまぐれに渡り歩きます。今までならテレビにCMを流しておけば消費者に見てもらえたのに、もうそれだけでは見てもらいにくくなりました。
