SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

「消費者が心を開いてくれなくなった」
さとなお.com管理人に聞いた広告の「明日」

「今」変わったわけじゃない。消費者の意識変化の5つの原因

―――
ネット部門を立ち上げた当時はどのようなお仕事をされたんですか?
佐藤

企業のサイト作ったりバナーを作ったりしていました。そのときに感じたのは消費者がとても近くにいること。いいものを作るとすぐ反応が返ってくるし、長く滞留もしてくれるんです。そのときに、「あぁ、CMだけじゃなくて、こういうコミュニケーションもちゃんとやることで総合的に伝わるんだな」と実感できました。

だからといって、ネットだけでも伝わらないことも感じました。やっぱりテレビが強いのは知っているわけですよ。新聞も、弱まったとはいえ何百万の人の手に届く強い媒体。だから、新しいメディアも含め、いろんなメディアを組み合わせて上手に使っていかなきゃいけないなって思いました。

―――
著書『明日の広告』を今年の頭に出版されましたけども、その時期から約半年で何か変わったという感覚はありますか?
佐藤

それはないですね。というよりも10年くらい前からすでに変わってきていて、そのままの流れです。今変わったわけではなく、とっくに変わっているんです。消費者自体が心を開いてくれなくなってしまった。広告に出会うことが少なくなってきたんです。その原因は五つあって、

一つ目は、時代の空気が変わったということです。大量消費が善とされた時代からもっとロハス的なサスティナブルな生き方が善になった。モノを買うことが豊かだった時代から、買わないことが豊かという時代に変化しました。

二つ目は、情報洪水ですね。1994年からの10年で世の中に流れる情報量は410倍になったと言われているけれど、人間が消費できる情報量はほとんど変わっていない。だからほとんどの情報がスルーされます。広告なんてもはやスルーされるものの最たるもの。

三つ目は、成熟市場。もはや消費者は知っているんです。たとえば携帯電話にしても「どんな競合商品も本質的にはそうは変わらない」というように。そのくらい日本の市場は成熟している。

四つ目は、ネットの登場どんなに広告で「これがいい」って言っても、買った人を中心に「本当はこうだ」ということがネット上に書かれてしまう。商品評価サイトやブログやメールで消費者が横につながって、どんどん評価されてしまう。

―――
著書ではその状態のことを「商品丸裸時代」と書かれていましたね。
佐藤

そうですね。ネットの影響はこれが一番強いかなと思います。

五つ目は、メディア接触の変化。4マスしかなかった時代に比べて、メディアが飛躍的に増えました。いまの消費者はそれらのメディアをきまぐれに渡り歩きます。今までならテレビにCMを流しておけば消費者に見てもらえたのに、もうそれだけでは見てもらいにくくなりました。

次のページ
「疑い深い消費者」に「出会える」メディアを駆使する

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

オオヤ コノハ(オオヤ コノハ)

1979年うまれの28歳。大学時代に自身のホームページを立ち上げ、その場で書いていた日記が書籍化されたことから、ライター業を開始。ネット系、アダルト系から小説まで幅広く執筆活動を行う。大学卒業後は某出版社にて雑誌編集に携わる。結婚を機にいったん文筆業から離れるが、最近復活。いい仕事がしたいなぁと思うこのごろです。<...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2008/08/25 11:00 https://markezine.jp/article/detail/5107

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング