PRブログの今後は?
3者の視点からPRブログについてまとめましたが、結論からいうとこのサービスはいま非常に過渡期だと思います。タバコのサンプルの例のような感覚がユーザにあればOKですが、もしブログがメディアと見られているならばNOです。個人的には今後2~3年で今までの一方的な発信によるマーケティングに対して消費者は「こんな嘘ばかりの情報、普通じゃない」という感覚になっていくんじゃないかなと思っています。つまり、ここでのポイントも結局「言っていることが『正直』かどうか」という点が重要なんです。
「正直かどうか」という面で例を挙げるとすれば、今回執筆した『口コミ2.0』という本を50人ぐらいの知り合いのブロガーさんたちに送ったのですが、その上がってきた書評を見ると、ちょうちん記事がまったくないんです。ここはよい点、ここは悪い点といった、素直な感想をみなさんブログで書いている。
モノをもらって何か書くとすると、ちょっと遠慮して相手にいいことばかり書いてしまいそうなものですが、アクセスの多いブログを書いているような人たちはそのあたりのバランス感覚ができているんですね。SEO対策やアンケートといった部分で既にその価値を提供しているんだから「感想は当たり前のように思ったことを書くんだよ」という感覚です。今後はより一般の方々にもこのような感覚が育っていくのではないかと思っています。
結論からいうとPRブログを「口コミ」に使おうとするのは間違いだと私は思っています。逆に口コミを本当に起こしたいのであれば、別のアプローチを考えるべきです。PRブログはあくまで単なる計算できるマーケティング手法の1つではないでしょうか。口コミマーケティングはもっと計算のできないものですよ。
口コミを起こす! キーワードは4つ
口コミを本当に起こしたいのではあればキーワードは4つあります
- エッジ
- オープン
- ストーリー
- クロスメディア
という4つを押さえてアピールしていく必要があるでしょう。そして、冒頭に言ったターゲットと、強みを明確にすることが必要です。『口コミ2.0』でも書いているガリガリ君の例は、廉価でさっぱりとした味、つまり間違いなく美味しいというのが強みです。
プラス、ガリガリ君というつっこみどころ満載のネーミングとキャラクターがある。当初ターゲットとして想定していない人のブログなどでも書かれていますからね。コストをかけずに丁寧にやって成功したよい例だと思います。
マーケティングを考える上で今後は、「脱マーケティング」というのがポイントになると思います。要は、いかに相手にだまされていると気づかせずにだますのが今までのマーケティングだったとすると、これからはよいところ悪いところを明確にして、正直に消費者に問うていく必要があると考えています。
特にネット上では、すごく当たり前にCGMを活用した認知活動をしていくことが必要だと思います。口コミはマジックワードと言われていますがマジックワードではないんです。これからはもっと「CGM」と「マスマーケティング」の棲み分けが進んでいくでしょう。もしこの連載を読んでCGMの世界に興味を持ったマーケッターの方がいらっしゃれば、ぜひ飛び込んでもらいたいですね(笑)。