自分のエントリーがウケル土壌作りが大事
ただし「CUT-INの法則」が万能というわけではない。考えていたより短時間で飽きられたり、ターゲットとなるセルの感覚を読み間違えたり、場合によってはタイミングすらずれていることもある。
これを厳密に担保していくためには、セルに属するユーザーを理解し、同じ感覚を持って情報を提供していくことが大切だという。また、どんなにCUT-INな記事でも単発では気づいてもらうことすらない場合もある。野間氏は「砂漠に植木をするようなもの」と例え、CUT-INな情報ばかりでなく、さまざまな情報を地道に発信し続け、「森」を育てるように取り組むことの重要性を語った。
また「ウケたかどうか」を調べるために効果測定は重要ではあるが、その読み解き方には注意が必要であるという。つまり、ソーシャルブックマークに登録されたからといって必ずしも読まれているとは限らない。必ずしもPVと連動するわけではないのである。また、PVがあがっても、直帰率が高かったり、スパムブログにRSSを持っていかれたりするようであれば、真の効果があったとはいいがたいという。
こうしたさまざまなノウハウを実際に反映させるとどうなるのか、いくつかの事例が紹介された。いずれも先述の「CUT-INの法則」を複数反映させたものである。加えて、ニュースを先取りして「撒き餌」のエントリーを事前に何本かあげたり、アクセスが増加したことを感知して「まとめエントリー」をアップしたり、さまざまな工夫による「しかけ」を行っている。
100本打って1本の特大ホームランを狙おう
興味深かったのは、2003年にエントリーした内容が2008年のYahoo!ニュースに関連記事として掲載された例である。
2003年にアップした際には当然、5年後に取り上げられることを予想できるはずがない。とりあえず将来的に“有用”と思われる情報をエントリーしておくことで後々注目される可能性があるというわけである。また野間氏はそうしたソーシャルメディア活用の例として、「ギズモード・ジャパン」をあげた。
決して新しい情報を多数創り出しているわけではなく、約半分が米国のギズモードの記事を翻訳して紹介している。さらに日本のオリジナル記事のほとんどがプレスリリースやニュースリリースを情報源として書き直している。そのため、速報性は低く、ニュースとしての価値も低い。しかし、情報を発掘したり、前述の方法で情報を編集することで読者を増やしているという。
そこでの記者としての経験を踏まえ、野間氏はソーシャルメディアのネットPRを「ビッグバン」時代と呼び、「一人が発信する情報の割合は相対的に小さくなるが、負けずに出し続けるべき。全部当たるわけはないので100本打って1本当たればいいくらいの気持ちで」と語った。
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