Affinium Detect:高性能なイベント検出モジュール
第1回目の記事では、Webの閲覧行動や、銀行口座への入金履歴といったデータからいつもと異なるイベント(行動)をキャッチする事例を説明した。読者の中には、「金融機関の大量のトランザクションデータから、毎日大量のイベント対象者を抽出する事が本当に出来るのか?」と疑問に思われた方もいたかと思う。Affinium Detectは、大量のトランザクションデータの中から高速に複雑なイベントを抽出する為のモジュールである。
ダイレクトマーケティングを取巻く状況は変化している
このような製品が開発された背景については、図2を見て頂きたい。ダイレクトマーケティングを取り巻く状況において、年齢や性別といった単純な属性データでの分析では限界があり、お客様の変化や状態に基づく施策の実現ニーズは高まってきていた。従来、こうしたニーズに応える為には、大容量のトランザクションデータを扱う事が可能な巨大なハードウェアに対して投資を行い、データウェアハウスを構築するアプローチが行われていたのだが、
- システム開発及び保守コストの高さ
- システム利用にIT部門の関与が必須であり、マーケティング施策を変更したい際に素早い対応が困難
といった課題があった。
Affinium Detectは、全顧客の全トランザクションデータをデータウェアハウスに格納するというアプローチでは無く、日々のトランザクションデータを事前に定義したイベント検出ルールと照合し、イベントの検出結果及びイベントの検出に必要な状態(ステート)データだけをデータベースに格納するというアプローチを採用している。
これにより、処理速度の向上及びデータベース容量の少量化を実現している。また、ステートデータを保持する事により、過去5か月の平均給与額と直近の給与額との比較結果等を、イベントとして検知する事が可能になる。
データソースを再検索、再編成する必要がない。


システム開発を必要としない仕組み
また、イベントを検出する為のロジックについては、GUIでコンポーネントを組み合わせる事で、システム開発(=プログラミング)を必要としないロジック構築を実現している。
これにより、イベントの実装や、PDCAサイクルに基づくイベントのチューニング等を短期間で実施できる。組み合わせ対象となるコンポーネントについては、表2にまとめたが、この中でもイベントの未発生を検出するコンポーネントがある事に注目して貰いたい。

このコンポーネントを使用する事により、「継続している給与振り込みが無くなった」「公共料金の引き落としが無くなった」といったイベントを検知する事が可能だ。こうした生活パターンの変化(転職、引っ越し)を示唆するイベントがマーケティング施策上有効である事は改めて説明するまでも無いだろう。
