2008年は、実は“お絵かき”の年だった
いきなりですが、新年早々ビックリしたことがありました。老舗サブカルチャー雑誌「スタジオボイス」の新年売り号が「視覚コミュニケーションの新次元!!」と題して、YouTubeとニコニコ動画を特集していたのです。昨年末にはマガジンハウスのBRUTUSでYouTube特集もやっていましたし、ここ数年、躍進を続ける動画共有サイトが文化の面でも市民権を得てきたということの象徴ではないでしょうか。
一方で、ネットで動画共有の次にくる波はなんでしょうか? 2008年を振り返ってみると、実は「お絵かき」の年だったと言えるのではないでしょうか。2007年後半にサービスインしたイラスト系SNS「pixiv」が成長を続けている中、「手書きブログ」や「こくばん.in」といった新しいサービスも次々とブレイクしました。pixivもまた「drawr」というお絵かきサービスを立ち上げています。
手書きブログ、こくばん.in、drawrがそれまでのイラスト掲示板などと大きく違うところは、PCで描いたイラストをアップロードするのではなく、ブラウザのインターフェイスで直接にイラストを描いて、そのまま公開してしまうところです。そういったサイトはこれまでもありましたが、ここまでまとまってブレイクしたのには何かタイミングがあるのではないでしょうか。
ひとつ考えられるのは、インターネット利用者層の広がりです。ブログのようなテキストベースのソーシャルメディアを利用する技術系成人男子を中心とした層だけでなく、性別や年齢層も広く小中学生までを含むような人たちがネットで何か表現しようとしたときに、授業中にノートに書いて楽しんだ“落書き”(≒お絵かき)のような雰囲気がフィットしたと言えるでしょう。
また、テキスト系でなくマルチメディア系(画像・動画・音声)でのUGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)の視点から見ると、先に書いたようにYouTubeやニコニコ動画がすでにブレイクしています。そこで話題になっているMAD動画などは、やはりまだ誰でもが作り手になっているというわけではないようですが、お絵かき系では幅広いユーザーが手軽に作り手として参加している(イラストが得意でない人は手書き文字で)という敷居の低さも特徴でしょう。
一方、テクノロジーの視点からとらえると、Flashアプリケーションが広く使われるようになってきたことや、マシンパワーおよびブロードバンドネットワークの向上なども考えられるでしょう。理由挙げるとキリがないので、理屈はこのぐらいにして、サービスを見ていくことにしましょう。