IPアドレスと地域情報を結びつけるデータも存在する
実際にはIPアドレスから地域を割り出す方法はほかにもあり、IPアドレスと地域情報を結びつけたデータを生成し、販売している企業もあります。地域情報解析が可能なアクセス解析ツールやサービスを提供している企業も、そうしたところからデータを購入したり、自分たちで独自に情報収集をした上で、解析に利用しているのです。
また、IPアドレスとそのアドレスが使われている国の対応情報であれば、無料で配布されているものもいくつか存在します。さらに踏み込んでそれぞれの国のどこか、といった情報に関しても、「hostip.info」というサイトがフリーで情報を公開しています(図11)。
「hostip.info」はちょっと変わっていて、IPごとの地域情報をボランティアベースで集めています。hostip.infoのサイトにアクセスすると、すでに蓄積された情報をもとに、あなたがアクセスしたIPアドレスがどこの地域か? という情報が表示されます。もしこれが間違っていたら、情報を修正することができるようになっているのです。
hostip.infoの情報は、いわば信用ベースであるため、信頼度的には販売されているデータに比べて低いものではあります。しかし筆者が日本をはじめ、シンガポールやボリビアなど何箇所かの外国からアクセスしてみたところ、毎回正しく地域情報が表示されていましたので、その精度はそれほど低くはないと考えてよいでしょう。
なお、すでに述べたように同じIPアドレスを日本全国で使いまわしているような大手のプロバイダのIPアドレスはどんなに精度の高いデータであっても、正しく地域を割り当てることはできません。
したがって、アクセス解析結果の地域別のアクセス元の情報も、100%の精度を出すことは不可能です。これはほかのすべてのアクセス解析の情報にも言えることですが、アクセス解析はあくまでわかる範囲でのデータを解析した統計解析情報であり、常に100%はありえないのです。
そういったことを調べる方法はいくつかあります。一つ目は、そのドメイン名のWebサイトにアクセスすることです。たとえば「example.co.jp」であれば「http://www.example.co.jp」や「http://example.co.jp」にアクセスすれば、たいていの場合はその組織のWebサイトにアクセスできます。 Webサイトが見つからなかった場合は、そのドメイン名の登録情報に当たる必要が出てきます。ドメイン名の登録や管理業務は「レジストラ」と呼ばれる団体によって行われ、その団体はTLDによって異なります。たとえば日本のjpドメインはJPRS(株式会社日本レジストリサービス)という企業が管理しています。
そしてこれらのレジストラは指定したドメインがすでに誰かによって取得されているか、そして取得しているのは誰かを検索する「whois」というサービスを提供しています。これを利用することで、ドメイン名情報を検索することができます。 jpドメインの場合は、以下のJPRSが提供するwhoisサービスで検索が可能です。
これ以外のTLDのドメインは、AllWhois.comなどのwhoisサービスを利用して検索することができます。