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MarkeZineメールマーケティング特集

「え? このやり方って違法なの?」
いまさら聞けない改正特定電子メール法の疑問に答えます


メールはユーザーに届いていない

 適正な運用と共に、メールマーケティングで注意しておきたいのが、配信したメールがきちんとユーザーに届いているかという点だ。山下氏に、近年のメール配信事情について尋ねたところ、返ってきた答えは「メールは、配信者が考えている以上にユーザーのもとに届いていない」という現状だった。

「弊社では、各ISPやフリーメールサービスへのメールマガジンの到達状況を調査する「ストッパー!迷惑メールフォルダ入り」というサービスを展開しています。以前、ある企業に依頼されメールマガジンの配信/到達状況を調査した際、4~5割のメールがスパムメールフィルターの誤判定によりメールボックスに届いてない実状が浮き彫りになりました。メールを送信すれば必ず届くというのは大きな誤解です」

 また、昨年末エイケア・システムズが、国内389種類のメルマガを対象にメールの誤判定調査を実施した結果、その内の約7割のメールが1度は迷惑メールと誤判定を受けたという。ダイレクトに情報をユーザーに配信できるメールだが、それは受信者にコンテンツが届いてこそ。受け手に届いていなければ、そのメールは「なかったこと」になってしまう。

エイケア・システムズが行ったメール誤判定の調査結果。
配信したメールマガジンの内およそ7割が迷惑メールとしてフィルタリングされる可能性がある
エイケア・システムズが行ったメール誤判定の調査結果。配信したメールマガジンの内およそ7割が迷惑メールとしてフィルタリングされる可能性がある

PCメールの場合

 メールが届かない原因はいくつかある。PCメールの場合は、まず送信先のメールアドレスが変更されたということが考えられる。しかし、ユーザーのメールボックスには届いているものの、迷惑メールフォルダに自動的に振り分けられてしまうケースも多い。その場合、送信者側にエラーが返って来ないため、自社のメールが迷惑メール扱いされていても確認できない。

 配信したメールのコンテンツや配信エラー率に問題があるなど、複数の要因により迷惑メールフィルターの誤判定は発生する。また、IPアドレス単位でのフィルターを掛けられる場合があるため、無料のメルマガスタンドやASPサービスを使っている場合は、他の送信者の影響を受けることもある。

モバイルの場合

 モバイルの場合、問題はさらに複雑になる。例えば、受信拒否機能はキャリアによってその仕様が異なる。現在、ユーザーがドメイン指定受信拒否などの設定をしていると、送信者側にエラーが返ってくるのはドコモのみ。ソフトバンクはエラーを返さず、auはユーザーの任意で変更可能だがデフォルトではエラーを返さない仕様となっている。モバイルでは、ユーザー自身で指定する以外にもデフォルトでさまざまな受信拒否設定がされており、ユーザーの気づかないところでメールが捨てられていることも多い。

 また、携帯キャリア各社においてスパムメール対策が強化されており、送信メールのエラー率や送信速度などによって、携帯キャリアから一方的に受信ブロックを受けることもある。

迷惑メール判定されないためには地道な努力が必要

 こういった問題は、地道に解決せざるを得ないと山下氏は語る。

「PCメールの場合、『1行を長く書くと迷惑メールに判断される可能性があるので、長く書かない』『HTMLメールを送信する際は、テキストメールにも対応するマルチパートで作成する』といった点を、メール作成時に気をつけるべきでしょう」

「モバイルの場合は、会員登録時にユーザーに対して『フィルターを外す』といった注意事項を伝えることが第一です。最近は、『ドメイン指定受信を解除してください』などの情報は登録フォームに記載されるようになりましたが、現在のフィルタリング機能の発達を鑑みると、さらに丁寧な説明をする必要があります。せっかくメールを送っても読んでもらえなくなってしまいます」

 さらに、エラーメールへの対策は特に重要なポイントとなる。ダブルオプトインで登録させることで配信時のエラー率を低減させたり、配信毎にエラーメールを適切に解析、処理することで、常にきれいな配信リストを維持するなどの施策は必須だ。また、配信速度という点においても工夫は必要で、各キャリアによって受信キャパシティや受信特性が異なるので、それを考慮した配信を行わないと配信が滞る事態も発生してしまう。

 この様に、メールコンテンツの事前注意も重要だが、利用しているメール配信システムによっても到達率は大きく変わる。新たにサービスを選択する際は、メール到達率を意識して「エラーメール解析の精度」や「携帯キャリア別の受信特性への対応」に注意すべきだろう。また、既に配信システムを利用している場合、まずは自社のメールマガジンの到達率を把握することが重要だ。問題があれば、専門会社からコンサルティングを受けながらシステムやコンテンツを見直す必要がある。

 メールマーケティングは、ユーザーとダイレクトにコミュニケーションを取る広告手法。適正な運用を行い、きちんとユーザーのもとに届けることが必須事項であり、確実に効果を上げるためのカギといえる。

メール運用者が知っておくべき最新事情/基本知識のメールマーケティング事情を知りたい方は、【MarkeZineメールマーケティング特集ページへ!

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この記事の著者

大正谷 成晴(オショウダニ シゲハル)

1973年生まれ。フリーランスライター・エディター。2001年よりビジネス誌を中心に活動を開始。現在に至る。趣味はサイクリング、料理、投資。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/11/29 12:56 https://markezine.jp/article/detail/6575

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