コミュニティサイトに見る、モバイルサイト利用者の積極性
他のメディアに左右される、という点を見ると一見受動的に見えるモバイルサイト利用者の動向だが、利用に関してはむしろ積極的、かつ能動的だ。
それを端的に表わしているのが、自ら情報発信の必要があるコミュニティサイトの利用の多さである。モバイルSNSの代表といえるモバゲータウンの月間PV数は、SNS最大手のmixiや、ポータルサイトであるYahoo!モバイルのそれを大きく上回っている。「GREE」など他のモバイル系SNSや、「モバイルスペース」「魔法のiらんど」「@peps!」といった“ホムペ”(ホームページ)作成サービスの月間PV数も、モバイルサイトの中では大きなものとなっており、ユーザーが積極的に利用していることが理解できる。
モバゲータウン:ディー・エヌ・エー2009年3月月次推移のご案内より、2009年3月時点
mixi:ミクシィ2008年度第3四半期決算説明会資料より、2008年12月時点・携帯電話からのみの値
GREE:グリー2009年3月2日プレスリリースより、2009年2月時点
Yahoo!モバイル:ヤフー2009年2月月次報告より、2009年2月時点
MobileSpace:エーウォーカーWebサイトより、2008年5月時点
魔法のiらんど:魔法のiらんどWebサイトより、2008年6月時点
@peps!、Chip!など:ピーネストWebサイトより、2009年3月時点・携帯電話からのみの値
また近年、プロフィールの内容を適宜更新して自分の近況を伝える「プロフ」や、自分の現在の状況を逐一書き込んで報告する簡易ブログの「リアル」など、モバイル独自で発展しているコミュニティサービスが話題となった。こうしたコミュニティの特性を見ても、モバイルサイト利用者の行動が頻繁、かつ能動的であることを見て取ることができるだろう。
情報発信を伴うコミュニティサービスが積極的に利用されるのには、コミュニケーションに対し積極的な女性、さらに可処分時間が多い若年層がモバイルサイトの利用に積極的だということが強く影響している。だがディー・エヌ・エーがモバゲータウンで、グリーがモバイル版GREEで急成長を遂げたことからも分かるように、多くの人が時間を費やしているモバイルサイト利用者に向け、効果的なアピールができれば得るものも大きいといえる。
ここまで紹介した内容をまとめると、モバイルサイト利用者は
- 移動中や外出先より、自宅でのんびり利用する方が多い
- 他のメディアの影響を受けることが多く、特にテレビの影響は大きい
- Webサイトの利用は頻繁であり、かつ行動も能動的
- じっくり調べるより、思った時にすぐ決める
といった傾向が強い、ということになる。こうした行動特性を見ると、モバイルサイトはPCサイトよりむしろ、従来のメディアに近い形での接触・利用傾向があるといえるだろう。
