すべてを自社で賄うのはナンセンス
「すべて自社内で開発する時代は終わった。パテント(特許)をたくさん取得する意味も薄れてきている」とコロニー氏は言う。
これまでのイノベーションは、予算付与→研究→作成→パテント(特許)→パッケージ化というフローで生み出されてきた。つまり、自社内で完結されるブラックボックスな進め方だった。
しかし、今は技術もユーザーニーズの進化も早すぎて、自社内だけで進めていては革新的な商品はできないと強調する。そこで、コロニー氏は1つの事例としてP&Gを挙げた。
同社は、この流れを敏感に察知し、ユーザーの声を元に新製品を開発したり、他の企業との共同で製品を作っていった。この実現に一役買ったのが、社内外でソーシャルネットワークを構築するという手法であった。「情報を素早く集めて活用するかが会社を成長される大きなポイントだ」。
マーケティングとテクノロジーの統合が加速
不況になると、情報システムの予算を減らしたり、マーケティングの人を解雇しがちだがこのままではいけない。多くの場合隔たりがあるこの2つの部署を、CEOはまとめる必要がある。この融合が成功する例を数多く見てきたという。
その例として、
- 雑誌Esquireが表紙に世界初の電子ペーパーを採用
- 米国最大手のケーブル通信事業者のComcast本社ビルにある全面LCDの壁
- デンソーが発明したQRコードとその活用
などが紹介された。異なる視点を融合することで、大きなイノベーションを生み出した好例だ。
カスタマーに主権を持たせろ
あらゆる商品が世界中に出回り、熾烈な価格競争を繰り広げている。その影響で、ブランドロイヤリティは低下しユーザーはブランドにこだわらず商品を選びはじめている傾向にある。
フランスの5番手の銀行が「あなたが銀行のオーナーであればどのようなサービスをするか」というサイトを立ち上げたところ、何万件ものアイデアが集まった。そのアイデアを選定し、実現し続けることにより現在では業界3番手の位置まで来ている。「ユーザーとサービスを作り上げることによって、ブランドや知名度は後からついてくるのだ」。
高みの見物ではダメ
最後に、コロシーは以下のメッセージを会場に送った。
「高見の見物をせず、Twitterのアカウントを作ろう。例えば嫌でも、積極的に触れないと何が起こっているのかは、わからない。最低限でも社内ブログ、できれば社外ブログを用意すべきだ。なぜなら社員も、既存客も、見込み客も、あなたの事そしてあなたの考えを知りたがっているからだ。世界は新しい世代を中心に変わりはじめている。それにあなたから歩みよることが、成功への近道となるのだ」。