まずはA/Bテストの見直しから
しっかりと「お出迎え」をすることは最低限のマナーであることは述べました。そのうえで、さらに来訪者の興味喚起を促進させるのに適した施策が「A/Bテスト」です。
A/Bテストとは、同じ流入条件で情報を配信する際に、最適な見せ方を検証するテスト手法で「スプリットラン」とも言われます。折り込みチラシ広告などでも広く取り入れられている手法であり、たとえば文字の大きさや色、写真の配置位置などをテスト項目とし、それぞれ複数パターンを試すことで、どの訴求内容が一番効果的なのかを導き出す手法です。
非常に細かいことと感じられるかも知れませんが、A/Bテストをおこなうことで、同じ流入条件下でCVRが10~20%改善することもざらなので、やらない手はないと思います。
しかし、A/Bテストを実施するといっても、ただやみくもに実施しても効果が出にくいため、そのうち実施作業が面倒になり、やめてしまうケースが多いのも事実です。
そうならないためには、最初から多くの改善を求めてテスト項目を欲張りすぎるのではなく、まずは管理できる範囲でのテストを繰り返すことで、小さな成功体験(改善効果)を積み重ねていくことが重要です。
効果的なA/Bテスト
では、具体的にどのようなA/Bテストが効果的なのでしょうか。
例えば、水道工事関連のサイトがあったとしましょう。このように生活に密着している商材やサービスは、その利用シーン(目的)の緊急度合いに応じて、流入検索キーワードなどに変化がみられ、成約率も変化する傾向にあります。
Step1:利用目的の緊急度合いに応じて、検索キーワード群をセグメント化
- 最高緊急度KW群:トイレ故障、水道管破裂、緊急処置、深夜対応…
- 通常緊急度KW群:水漏れ、水道管の詰まり、水道工事…
Step2:各セグメントごとに対応コンテンツ作成
- 最高緊急度KW群:「トイレ故障→トイレのトラブル一発解決」「深夜対応→24時間フルサポート」などのコンテンツを用意
- 通常緊急度KW群:「水漏れ、詰まり→手遅れになるその前に」「水道工事→安心のサポート体制」などのコンテンツを用意
Step3:より効果的な訴求を目指してA/Bテスト
- 最高緊急度KW群…即時対応できることを全面訴求できる「今すぐお電話を」等のコンテンツが効果的。また、申込ボタンなどを赤色に統一するだけでも効果が出やすい
- 通常緊急度KW群…安心感をあたえるコンテンツが効果的。例えば、「一人暮らし」や「女性」といった複合キーワードを含めて検索してきている際には、女性スタッフの写真を使ったコンテンツを見せたりすると、お客様に安心感を与えることができる
上記は、あくまで一例ですが、流入キーワードを来訪ユーザーの目的や検討期間の長短ごとにセグメント化し、その目的に応じてクリエイティブの作り方を工夫し、テストを重ねることで大きな改善効果につながるケースが多いので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
ロングテール理論の崩壊
冒頭にLPOがロングテールに有効だと述べましたが、もちろん弱点もあります。
それは、サイト名や企業名が有名になればなるほど、テールから流入してくる人が少なくサイト名などのビックキーワードで流入してくるケースが圧倒的に多いため、そのキーワードからニーズを裏読みするのが難しい(商品が知りたいのか、IRが知りたいのかどうかも分からない)ことです。
また、一度テールで接触した消費者であっても、二回目以降の再来訪時にはビッグキーワードやお気に入りで再来訪してくるケースが多く、前回つかみかけた顕在ニーズが一気に潜在化してしまうケースも多いです。そのようなユーザーをしっかりと捕まえるためには、行動ターゲティング技術が必要となります。
次回は、その行動ターゲティングについて詳しくご説明したいと考えております。