動画広告の需要が高まる一方、「制作コストが重い」「クリエイティブがすぐ摩耗する」といった悩みに頭を抱えるマーケターは少なくありません。そうした中、広告代理店のココラブルは生成AIを活用したクリエイティブツール「TikTok Symphony」を本格導入。静止画中心だった制作体制を動画中心へと一変させ、クライアント事例ではCTR2.8倍・CPA10.7%減という大幅な効果改善も生まれています。本記事では、同社が試行錯誤の末に行き着いた「AIクリエイティブ特有の不自然さを消す4つのプロンプト原則」や具体的な運用事例を公開。生成AIの活用が進む時代において、マーケティング組織が目指すべきクリエイティブ制作のあり方に迫ります。
TikTok広告の最重要課題は「クリエイティブ制作」
━━TikTok広告をはじめとした動画広告の制作や運用において、現在どのような課題があると感じていますか。
佐藤(ココラブル):一番の課題は、「成果の出る広告クリエイティブの探求」に多くの時間を奪われてしまう点です。
自社でスマートフォンを使って撮影することも多いですが、「こういうシーンが欲しい」というピンポイントのニーズを満たすのは容易ではありません。場所の確保や人物の手配が必要なケースもあれば、スタジオ・モデル・ヘアメイクを手配するような大掛かりな撮影になることもあり、1回でコストもリソースも大きく取られてしまいます。
そして、TikTokは広告クリエイティブの摩耗が非常に早いプラットフォームです。トレンドの移り変わりが早く、常に新しい動画を投下し続けなければならないため、「検証するための素材が足りない」というジレンマに陥る企業様は多いはずです。
━━TikTok for Businessから見ても、同じような課題を抱える広告主や広告代理店は多いのでしょうか。
加藤(TikTok for Business):クリエイティブの制作は、ほぼすべての企業様が抱えている課題だと言っても過言ではありません。TikTok広告でも静止画クリエイティブを活用することはできますが、最大の成果を得るためには動画クリエイティブが推奨されます。しかし、動画は作るまでのハードルが非常に高く、本数を担保しきれないという悩みをよく耳にします。
現在TikTokで伸びている企業様は、とにかく圧倒的な量のクリエイティブを作っています。初期に数本作っただけでは、すぐに効果が落ちてしまうためです。スマートフォンを使って自分たちで撮影し、運用者がそのまま動画編集も行うような「運用と制作が完全に一体化した体制」を構築できている組織が、今まさに成果を伸ばしている印象です。
制作のあらゆる課題を解決する「TikTok Symphony」とは?
━━そうした課題を解決する手段の一つとして「TikTok Symphony」が登場しました。まずはサービスの概要を教えてください。
牛島(TikTok for Business):TikTok Symphonyは、TikTokが提供する生成AIを活用したクリエイティブソリューション群の総称です。その中心となるのが、ブラウザ上で使える制作ツール「Symphony Creative Studio」です。商品画像やアイデアといったシンプルな素材から、TikTokらしい広告動画を数分で作れます。TikTok for Businessのアカウントがあれば、無料で使い始めることができます。
主な機能は、制作現場の悩みに合わせて大きく3つに分けられます。
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ゼロから「作る」
テキストや商品画像から、動画や画像を生成します。最近では、チャットで指示するだけでAIエージェントが商品を分析し、構成案から動画の完成まで導く「Symphony Agent」も登場しました。 -
出演者を「立てる」
撮影をしなくても、デジタルアバターに商品を紹介させたり、台本を読み上げさせたりできます。現実にはキャスティングが難しい人物像も表現できます。 -
今ある素材を「増やす・広げる」
既存の動画をリミックスして複数のパターンを作ったり、英語の動画を日本語など各国の言語に翻訳・吹き替えしたりできます。
完成した動画は、そのままTikTok広告マネージャーに連携できます。そのため、「作る」から「配信して検証する」までが一つの流れでつながります。また、ブランドの既存の制作フローにSymphonyの機能を組み込める「Symphony API」も提供しています。
━━他の動画生成AIツールと比べて、どこに強みがあるのでしょうか。
牛島:一番の違いは、「TikTokで成果を出すために作られている」点です。たとえばSymphony Agentは、TikTokで成果を上げている広告やトレンドのインサイトを参照しながら構成を提案します。そのため、冒頭のつかみやテンポ、縦型の画づくりなど、TikTokで見られやすい要素を押さえた動画を少ないステップで作れます。佐藤さんのお話にもあった「検証する素材が足りない」という課題に対して、仮説ごとのパターンを素早く用意し、検証の回転数を上げられるのが最大の価値です。
また、広告で使っていただくことを前提に、安心して使える設計にしています。生成した動画の権利は原則として利用者に帰属します。入力した素材や生成物が、AIモデルの学習に使われることも現時点ではありません。生成物はAI生成コンテンツとして表示され、配信前にはTikTokの通常の広告審査も通ります。
━━ココラブル様では、案内を受けた際にどのような期待感を持ちましたか。
佐藤:案内をいただいた約1年前は、まだ生成AI技術による動画制作が世の中に馴染んでおらず、「本当にそんなことができるのか」という驚きが先行しました。ただ、TikTok Symphonyのすごいところは、多くのAIツールと違って追加費用がかからず試せる点にあります。
未知数な部分はありましたが、我々が常に抱えていた「素材不足」という課題を時間的コストも含めてクリアできる可能性を感じ、これは試すしかないと思いました。
━━実際に現場の運用へ組み込んだことで、プロセスや企画の自由度にはどのような変化が生まれましたか。
佐藤:従来のプロセスでは、アイデアを思いついてから撮影して完成するまでに1ヵ月程度かかっていました。しかしTikTok Symphonyを使えば、頭の中にある演出をそのままプロンプトで打ち込み、1日もあれば具現化できてしまいます。
たとえば、ショートドラマ風のクリエイティブは、通常ならキャスティングから撮影、編集まで非常に大きな工数がかかります。しかし、TikTok Symphonyを活用することで、商材やサービスの世界観に合ったショートドラマもスピーディーに制作・検証できるようになりました。現実にはアサインが難しいようなニッチな人物像やロケーションも、AI技術を活用すれば一瞬で再現できるため、企画の自由度が飛躍的に上がっています。
AI生成コンテンツの不自然さをなくし、品質を高めるプロンプト設計のコツ
━━制作にかかる時間やコスト、そしてPDCAのスピード感は具体的にどれくらい変わりましたか。
佐藤:定量的な変化として最もわかりやすいのが、クリエイティブにおける動画と静止画の比率の逆転です。昨期はチーム全体の制作物のうち静止画が7割、動画が3割という割合でした。しかし今期は、動画が約7割を占めるまでになっています。
これまでの撮影や編集に対するコスト・リソースをかけずに動画を作れるようになったことが、このパラダイムシフトの大きな要因です。場所の確保や人物の手配といった制約から解放され、大掛かりな撮影ではカメラマンやヘアメイクの手配、出演者の起用期限といった課題もなくなり、より多くの仮説検証をスピーディーに回せるようになりました。
━━生成AIのクリエイティブで課題となるのは、AI技術を活用した際に生じる不自然さだと思います。不自然さを抑えてクオリティを高めるために、現場ではどのようなプロンプトの工夫をされているのでしょうか。
佐藤:AI技術に頼るだけだと、「AIっぽさ」や独特な違和感が出てしまうことがあります。そこで我々は、現場での試行錯誤を経て、大きく4つのプロンプト設計ルールを言語化しました。
1つ目は、「捨てるものを最初に宣言する」こと。たとえば「テキストなし」「第三者視点禁止」「映画のような過剰な演出は禁止」と最初に定義し、ノイズとなる条件を排除します。
2つ目は、「感情は英語と日本語のニュアンス両方で伝える」こと。AIの言語モデルは英語ベースであることが多いため、「Crying emotionally」という英語に加えて「泣いて崩れる感じ」といった日本語のニュアンスを足すことで、感情表現の精度が上がります。
3つ目は、「動詞を時系列に書く」ことです。「自然に動かして」と指示するのではなく、「微笑む→目線を上げる→髪をかきあげる」と順序立てて指示することで、より人らしい動きになります。
最後は、「世界観を視覚的なキーワードで伝える」こと。「代官山の緑に囲まれたおしゃれなテラスカフェ」「家賃15万円程度のきれいな日本のアパート」といった具体的な言葉を入れることで、シーンの解像度が格段に高まります。
まずはこの4つの原則を意識するだけでも、生成される動画のクオリティは大きく変わります。ココラブルでは、今回ご紹介した原則に加えて、現場で頻発するAI動画広告の「失敗あるある12選」とプロンプト改善策をより詳しく解説する資料も提供しています。実務でそのまま使える手引きとして、ぜひダウンロードしてご活用ください。
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CTRは2.8倍、CPAは10%減!ワンバンクの運用事例
━━実際のクライアント事例において、従来のクリエイティブと比較してどのような成果が出ていますか。
佐藤:AI家計簿アプリ・金融系サービスを展開しているスマートバンク様の事例をご紹介します。こちらの企業様では、夫婦・カップルで口座を共有できるペアカードと家計簿アプリを提供する「ワンバンクペアカード」、フリーランス・個人事業主向けに請求書の早期現金化(ファクタリング)を提供する「ワンバンク請求書買取」、銀行振込の請求書をクレジットカードで支払える「ワンバンクあとばらい」の3つのサービスで支援を行っています。
「ワンバンク請求書買取」のクリエイティブでは、メインターゲットである「現場仕事の職人さん」の解像度を極限まで高めた動画を作成しました。実際の職人さんをキャスティングして撮影するのは非常に困難ですが、TikTok Symphonyを使えば、作業着を着たリアルな雰囲気の人物を簡単に生成できます。このクリエイティブは、CTRが全体の平均と比較して約2.8倍という高い数値を記録し、CPA(顧客獲得単価)も約10.7%安くなりました。
一方の「ワンバンクペアカード」では、クレジットカードのキャラクターを生成し、ポップで便利なイメージを伝える動画を制作しました。ターゲットも訴求内容もまったく異なる2つの商材ですが、TikTok Symphonyで制作できるクリエイティブの幅広さを活かすことで、それぞれのユーザー層に深く刺さるクリエイティブを展開できています。
加藤:高いクオリティでありながら、演者の力量に依存しないというのも生成AIクリエイティブの大きな強みですよね。実写撮影では、演者の演技次第で伝わり方が変わってしまいますし、撮り直しにもコストがかかります。TikTok Symphonyであれば、撮り直しをせずに何パターンでも作り直して比べられるため、工数を削減しつつクリエイティブの質を底上げすることが可能です。
佐藤:クライアントからも、「生成AIツールを使っているから手抜きだ」とネガティブに受け取られることはほとんどありません。むしろ、AI技術の活用に対してポジティブな反応が多く、しっかりと成果につながっていることが評価されています。
TikTok Symphonyを使いこなすための本質的なポイント
━━AI技術を活用して手軽に動画が生成できるようになる中で、マーケターが意識すべきことや、最も価値のある業務は何だとお考えですか。
佐藤:「ターゲットの解像度を上げる」という根本的な部分です。どれだけAI技術の性能が上がっても、ユーザーや商品のことを深く理解していなければ、正しいプロンプトを構成することはできませんし、出てきたアウトプットが良いかどうかの「判断」もできません。最終的な責任を持ち、成果を判断するのは人間にしかできない役割です。
そのため弊社では、AI技術が一般化する前から徹底している「クリエイティブチームと運用チームの目線合わせ」をより重要視しています。「このクリエイティブのどの要素が数字に効いたのか」を全員で言語化し、共通の価値観や目標を持つことが、AIツールを強力な武器として活用するための最大のポイントだと考えています。
━━TikTok Symphonyをうまく活用するためのアドバイスはありますか。
加藤:佐藤さんが仰る通り、まずは商材を分解し、「どういう訴求をして、何を伝えたいか」という根底の考え方をしっかり持つことが大前提です。TikTok Symphonyを使えばそれっぽい動画はすぐに作れてしまいますが、戦略がないまま量産しても決して効果は出ません。正しいクリエイティブの考え方を持った上で、それを具現化し、確度を高めるための手段としてAI技術を活用するべきです。
牛島:もう一つお伝えしたいのは、「まずは触ってみる」ことの重要性です。AI技術はこれからも進化を続けますし、実際に使っている企業とそうでない企業の差は、今後ますます開いていくと感じています。Symphony Creative Studioは、TikTok for Businessのアカウントでログインすればすぐに試せます。最初は遊び感覚でも構いません。手元の商品画像1枚から動画を1本作ってみて、どんなアウトプットが出せるのか、経験値を溜めるところから始めていただきたいです。
AI技術を活用することで進化するマーケティング組織の次世代像
━━最後に、ココラブル様が今後目指すインハウス支援やクリエイティブの展望についてお聞かせください。
佐藤:これからは、どの企業も同じように優れたAIツールを使える時代になります。その中で差別化を図るためには、ツールによって生まれた「余白の時間」をどう使うかが鍵になります。我々は、ターゲット理解を深めるためにSNS上の生の声を拾いに行ったり、グループインタビューを実施してAIのペルソナと往復させたりといった、より深いインサイト発掘に時間を使っていきたいと考えています。
また、広告運用をインハウス化する企業様も増えていますが、どうしてもリソースが足りない部分が出てきます。我々は代理店としての枠にとらわれず、プロンプト設計のコンサルティングなど、時代や企業様のニーズに合わせた柔軟な支援体制を提供していくつもりです。TikTok Symphonyに関しても、機能がさらに拡充していくはずなので、引き続きクオリティの限界に挑戦していきたいですね。
━━TikTok Symphonyは、今後どのようなソリューションへと進化していくのでしょうか。
牛島:TikTok広告で成果を出すには、運用の最適化とクリエイティブの質の向上、どちらも欠かせません。プラットフォーム側の最適化技術が進む中、最後に成果を分ける変数はクリエイティブです。Symphonyは、単に動画を作るツールから、TikTokのインサイトをもとに企画から制作までを伴走する「AIエージェント」へと進化し始めています。今後も生成の精度を高め、機能を広げていきます。代理店の皆さまと一緒に、AI時代の新しいクリエイティブ制作の形を作っていきたいと考えています。
加藤:これまでは「動画を作るリソースがない」という理由で、TikTokへの展開を足踏みしてしまう企業様が多くいらっしゃいました。しかしTikTok Symphonyを使えば、次々にクリエイティブを世に出して、市場の反応を見ながら素早く運用を回していくことが可能になります。制作と運用がシームレスに一体化し、より早く、より多くの挑戦ができる世界を、TikTok Symphonyを通じて実現していきたいですね。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:ByteDance株式会社
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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