伊藤忠商事と電通グループは2026年8月31日、電通グループの連結子会社である電通総研への公開買付け(TOB)を軸とした戦略的提携を発表した。伊藤忠グループが持つ幅広い事業基盤・購買データと、電通の広告・マーケティング力を掛け合わせ、「ITサービス」と「リテールメディア・データ」の領域で成長を狙う。とりわけ後者では、ファミリーマートの購買データと店頭メディアを、電通の広告力で"稼ぐ事業"へと引き上げる構想が前面に打ち出された。
「ITサービス」と「リテールメディア」、二領域で収益の柱を作る
会見の冒頭に登壇したのは、伊藤忠商事 常務執行役員 第8カンパニープレジデントの細見研介氏。2026年2月までファミリーマートの代表取締役社長を務めていた人物だ。同氏は、今回の提携を「ITサービス」と「リテールメディア・データ」の二領域で両グループの成長を加速させるものと位置づけた。伊藤忠グループが持つ幅広い事業基盤と、電通グループが持つ広告・マーケティング・テクノロジーの力を結びつける座組みである。
今回、伊藤忠グループは、伊藤忠商事などが出資する合同会社VICを通じて電通総研株にTOBを実施し、成立後は所定の手続きを経て非公開化する。電通グループが引き続き親会社として株式を維持し、伊藤忠グループが約38%を保有する合弁会社となる予定だ。IT領域では電通総研への出資を通じて、リテールメディア領域では業務提携を通じて、両グループの強みを掛け合わせていく。
【1】IT領域:電通総研の業務知見×CTCのインフラ力で「5年後500億円」目指す
電通総研の本業はシステムインテグレーション、すなわち企業向けの業務システム開発である。同社は1975年、電通と米GEの合弁会社「電通国際情報サービス(ISID)」として創業し、2000年に東証一部へ上場。製造・金融を中心に業務システムを手掛ける独立系SIerとして成長してきた。
電通総研 代表取締役社長の岩本浩久氏は、創業時を第1、上場時を第2の創業と振り返り、2024年の社名変更でコンサルティングとシンクタンク機能を束ねた現在を「第3の創業」と位置づけた。その上で今回の提携は、第3の創業を確かなものにする施策だと説明する。
背景には競争環境への危機感がある。「AIの進展でお客様のニーズはますます高度化しており、さらに成長力を高めないと大手との競争に負けてしまう」と岩本氏。同社は成長を加速させるパートナーシップを模索しており、伊藤忠グループの提案が自社の成長戦略と合致したと語った。

IT領域でシナジーの相手となるのが、伊藤忠グループのCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)だ。伊藤忠商事 専務執行役員 情報・金融カンパニープレジデントの野田俊介氏は、電通総研が製造・金融のビジネス部門向けのコンサル・開発力に強く、CTCが通信・流通のIT部門やインフラ構築に強いと整理。両社は顧客基盤の重複が少なく、補完性が高いと述べた。
その上で野田氏は、電通総研とCTCを含むデジタル事業群全体での協業により、5年後に売上で500億円以上の新たな取引を生み出すとの見通しを示した。質疑では、電通総研とCTCの相互クロスセルで各社250億円規模が可能との内訳も語られた。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
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